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ナイトのピッピ ⑫

しばらくすると、サヤカとアポロが部屋に入ってきた。


「よう窮屈な思いをさせて悪かったな。俺はアダムだ。探偵をやってる。他のみんなもそうだ」


「アポロでしゅよ~宜しくでしゅよ~」


「サヤカッス。カワイイッスね」


「所長の西九条です。みんなサオリンって呼ぶからそう呼んでくれたら嬉しいなあ。いきなり捕まえられて、びっくりしてると思うけど、私達はアダムの言う通り香山さんを守りたいと思ってるの。だから味方よ、安心して・・・えっと何て呼んだら良いかな?」


ミミズクは、探偵団に香山を害しようとするオーラを感じなかったためだろう、先程までの攻撃的なオーラを静めて、落ち着きを取り戻した。


「・・・僕はミミズクの精霊ッピ。ピッピって山の住人から呼ばれてるッピ。だからピッピって呼んで欲しいッピ」


「ピッピ!良い名前ね、ヨロシクね」


「やっと冷静に話出来るくらいには落ち着いたか。今から鳥籠をあけるけど暴れるんじゃねえぞ、俺達は味方だからな。ピッピ、お前が本当にマナナを守りたいなら俺達の話を聞け」


ピッピはアダムの目を見定めるように見つめる。そして静かに頷く。


「よし。サヤカーン、開けてやれ」


サヤカは市販の鳥籠にも付いているような横開きの入り口を開けてやる。

ピッピは外に出ると大きな翼を広げ、バッサバッサと羽ばたく。


「じゃあ時間がないから早速本題に入ろう。ピッピ、今日がヤバイ日ってわかってるよな」


「ピッ」


「でも、ここで今みたいに、呪いを祓っても意味が無い。大本を叩くんだ」


呪いという言葉に香山が反応する。


「えっ私呪われてるの?何で?誰に?」


「それは俺も分からねえ。これからそいつに会いにいくんだ。すまねえが本当に時間がねえ。この事件の詳細はサオリンとサヤカーンに伝えてあるから、後で聞いてくれ」


香山は沙織とサヤカを見る。二人は香山を見て頷く。


「ピッピ。これは東九条家で購入した、呪いを発動している者を見つけるアイテムだ」


アダムは床に一メートル四方の京都の中心部及び周辺の市まで書かれている地図を広げる。


「それでこの地図に付属している、このアイスホッケーのパックを小さくしたような物の後ろ蓋を開けて、さっきの呪いの残滓を入れる」


アダムはまだ床でうっすらと残っていた黒いもやを掬って入れる。


「そして、パックを地図の上におくとあら不思議、呪いの発生源を教えてくれるってアイテムだ」


パックは、しばらくウロウロしていたが、急にある山に向かって進み出す。


情運山じょううんさん


パックはその山の上で止まる。


「やっぱりここか。こんなに大量の呪いが襲ってくるなんて、一人で出来る訳がねえ。こりゃいよいよ時間がねえな。ピッピ今からここ―」


アダムが振り返った時には、すでにフワリと浮き上がり、怒りの形相を浮かべているピッピがいた。


「そこに敵がいるッピね!」


「待てピッピ、一人で行こうとするな!一人じゃ無理だ」


ピッピはアダムの言う事など耳に入ってないようで、沙織がぶち破った窓の方に向きを変え、今にも飛んでいきそうだ。


「チィッ、クソ!」


アダムは説得を諦め、東九条家で購入した小型の発信器をピッピに投げつける。その直後、部屋に暴風が吹き荒れ、部屋にいる全員が壁まで吹き飛ばされる。


「あの野郎!待てって言ってんのによ。おいアポロ行けるな?俺と一緒に来い!」


「了解でしゅ!」


「サオリン、サヤカーン、マナナは車で後から来てくれ。場所は情運山。細かい場所は俺が今、ピッピに付けた発信器が、俺のゴーストウォッチにリンクしてるから、お前達は俺の位置を目印に追いかけて来てくれ」


「分かったわ。気を付けてね二人共」


そう言うとアダムは、沙織の符の結界を破るため、窓に向かってショットガンを放つ。結界に大きな穴が空き、そこからロープを垂らし、スルスルと降りていく。アポロも同じようにアポロの半分くらいのスピードで降りていく。


アポロが下に着くと、そこにはレーシングバイクに跨がるアダムがいた。


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