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未来へ 21

沙織は軽く化粧をし、スーツに着替える。

外からは表札を取り付ける音が聞こえる。さっきまでここが良い、いやここが良いとアダム、アポロ、サヤカの三人が揉めていたが、何とか良いところに決まったようで笑い声が聞こえる。


沙織は机に飾ってある写真立てを手に取る。それには幼い頃の沙織と両親が、砂浜で手を繋いでいる写真が入れられている。


写真の中の沙織の顔は心から笑っており、明日への不安などなく、両親からの愛を一身に受け幸せそのものだ。


今日の晩ご飯はお母さん特製ハンバーグがいいな~。夜は三人で寝るんだからね。明日はお父さんとお母さんと何して遊ぼうかな~とそんな事ばかりを考えていて、沙織はその写真を見ると両親が生きていた頃の思い出が次々と蘇る。


しかしこの写真を見る時、沙織は必ずしも幸せな気持ちにはならなかった。写真の中の笑顔の自分を見ると寂しさや悲しさが溢れてくるのだ。両親の元に逝きたいと泣いたこともあった。怒りが抑えきれず暴れたこともあった。


でも今は違う。沙織はこの写真を見て、過去の幸せな一ページだと思えるようになった。何の不純な思いなどなく笑顔が溢れ出る。


「今の私にはアダム、アポロ、サヤカちゃんがいる。お父さんお母さんが死んでもなお守ってくれたこの命で、この思い出に負けない位の楽しい思い出を沢山作っていくからね」



「おーいサオリ~ン。まだか~早く来いよ~。表札も出来たぞ~。撮影班は待ちますって言ってるけど早くしろよ~」


「そうでしゅよ~。サオリン早く来るでしゅよ~。お手々繋いで写真撮るでしゅよ~」


「所長がいないと始まらないッスよ~」


沙織を呼ぶ声がする。


「ごめーん。すぐ行く~」


沙織は写真立てをおいて外に出て行く。


「まったく所長なんだからしっかりしろよ。化粧を頑張ったところでお前の中の下スマイルは修正出来ねえんだからよ」


バキッ


「痛えな!俺の鹿撃ち帽がズレるだろが!」


「アンタは何度言っても分らないのね。私はカワイイの!アンタの美的感覚がズレてるんだから帽子もそのままズレてるのがお似合いよ。もうその感覚のズレって探偵として致命傷じゃないかしら?写真を撮り終わったら緊急会議を開くわ。議題はアンタの解雇についてよ」


「ちょっお前、今から創立メンバーで写真撮ろうって時に解雇ってどう言う事だよ」


「そのままの意味よ!ちょっとアンタ、一緒に写ると修正大変だから別撮りして貰えるかしら?解雇にならなかったら写真の右上に鎖で縛られたアンタを移植してあげるから」


「このアマ言わせておけば!」


二人は毎度おなじみの言い合いになる。


「写真屋さ~ん。もういいッスよ。カシャッといっちゃって下さ~い」


「えっいいんですか?でもケンカ・・・」


「いいッスいいッス。これがアーサー探偵事務所なんス。私の大好きな探偵事務所なんスよ」


カシャッ


今、沙織の机の上にもう一つ写真立てが増えた。アダム、アポロ、サヤカそして沙織 社員全員で撮った写真だ。サヤカとアポロは笑顔だが、沙織とアダムは恐い顔をしている。


「もう!サヤカちゃんったら・・・」


沙織はそういいながらも、写真の中の怒った自分の顔を見て、両親の写真を見た時と同じくらい素敵な笑顔を浮かべていた。



いかがだったでしょうか?少しでも笑って頂けたなら幸いです。


この『余命・・・』も長いですね~。僕としてはまだまだ続きを書きたいと思っているんですがどうですか?面白くないのかな?どうなんかな〜?


続きとしては「動物達のストライキ!」「お正月」とか書くつもりです。気長に待って頂ければ幸いです。


取りあえず新しい話も完成させたいと思います。

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