未来へ ③
「おっ!さすが表の所長だぜ!サオリンも中々鋭くなってきたな。そうだな、本来金庫は組立てたりしねえよな。あるとしても扉を付けるだけだ。不思議だよな。でもそれには理由がある。この金庫は呪物を保管する金庫なんだ。普通の金庫じゃない。
壁が三重になっていてな、それぞれの壁と壁の間に呪物を静める符と、外からの呪霊やオーラ攻撃を防ぐ符が敷き詰められている。その効果が永遠に続けばいいんだがそうもいかねえんだ。御守だってそうだろ?古い物は神社に持って行って新しい物を買う。金庫もそうしてえが・・・値段がな。そこで東九条家が開発したのが、五年に一回符を交換する事が出来る金庫だ。
分解して符を入れ替えることによって効果を持続させることが出来る優れものよ。あとこういう入り口が狭い部屋に入れられるという利点もある」
「確かに金庫の使い捨てって嫌だね。でも良く考えられてるよね。金庫の壁と壁の間に符を埋め込むことで呪霊が人を利用して、金庫の外側に貼られた符を外すことも防げるのね。映画とかマンガでよくそんなシーンあるもんね」
「ハハハッ電気ショックが良かったのか?冴えてるじゃねえかサオリン。さらに強盗対策として本来はその壁も分厚い鉄板を使ってるんだが、それだとこのアパートの床をいくら補強したとしても抜けちまう。そこでアーサー探偵事務所用に鉄板を、鉄の3分の2の重量でありながら強度は2倍あるチタン合金に変更し、さらにスリム化することにより、強度と重量をクリアして安全にこのアパートでも何とか使えるようにした。まあ特別製だから値が張ってよ。本来なら俺の氷狼移送の取り分で払いたかったんだが、600万するんだわ。俺の氷狼移送の取り分とこれから依頼こなした時の俺の取り分で払っていくから、サオリン金を貸してくれ」
「もう!アンタは勝手にそんな高い物を買って」
「この文献集めとか、呪物収集はスパイ犬としての俺のライフワークなんだよ。頼むよ。それに絶対いつか役に立つ。サオリンも読んでおいて損はない代物ばかりだぜ。それにここに依頼内容記したファイルを保管しても良い。あと―」
「わかった、わかったわよ、出すわよ。私が今まで稼いだお金から出すから。探偵事務所を設立したって言うのに、依頼人の秘密を守るための金庫もないなんて信用に関わるからね」
「さすがサオリ~ン♪大好きだぜ~~」
「もっもう!調子が良いんだから~」