未来へ ①
今日は大晦日。ここ京都の朝は一段と冷え込む。
こんな日は布団から出たくないと、いつまでも布団の中でモゾモゾとしている沙織に一匹の獣が襲い掛かる。
「サオリ~~~~ン!朝でしゅよ~~~~!早く起きるでしゅよ~~~」
アポロが沙織の顔をペロペロと舐めて覚醒を促す。
しかし沙織も負けず、顔を舐めているアポロを掴んで布団の中に引きずり込む。
「わ~~サオリン止めるでしゅよ~~・・・布団の中気持ちいいでしゅ~~~アポロも瞼が・・・」
アポロは沙織の術中におち、ス~ス~と寝息をたて始めた。沙織はあと五分、そう思ってアポロを抱きしめながら寝ようとすると、もう一匹の獣が襲い掛かる。
「は~い朝ですよ~。電気ショック出しときますからね~」
二人の身体にバチバチと眠気など一瞬で吹き飛んでしまう激痛が襲った。
二人は慌てて、布団を押しのけ飛び起きた。
「アダムこの馬鹿!アンタもコーギーならアポロみたいに布団に飛び込んでくる可愛い行動しなさいよ。電気ショックって何考えてんの!?」
「アダムひどいでしゅ。アポロは起きてましゅたのに~」
「アポロ、お前はサオリンを起こしに行ったはずなのに一緒に寝ちまうなんて何してんだよ。この俺の助手でありながら情けないぞ。これは俺の依頼をこなせなかった罰だ。それと今日は早起きして掃除をするって言ったのはサオリンじゃねえか。今日の昼前には東九条家の写真部が、俺達の会社設立を祝って、アポロや俺も撮ることが出来る奴が来てくれるんだろ?ほら、早く起きてメシを食え、さっさと掃除するぞ」
「ごっごめん。そうだったね。今日はやることが一杯あるんだもんね」
「アダムごめんでしゅ~。助手をクビにしないで欲しいでしゅよ~」
「クビになんかするかよ。俺の助手はお前しかいねえだろヘヘヘッ」
今度はアダムに飛びつきペロペロするアダム。
「アハハハッコラッ止めろよアポロ。さあメシを食うぞ。ホットケーキが冷めちまう」