異世界からの無人島
なんとなくで書いたストーリーです。
文章は上手くありません。
《もし無人島に何か一つ持っていけるとしたら?》
誰しも一度は聞いたことがあるであろう話題だ。
俺の友達は《食料》とか《サバイバルナイフ》やら《ライター》《友達》等々のありきたりなことばかり言っていた。
だが俺はそんな物などは望まない。"何か一つ"の制限がないのだから反則ギリギリを攻める。
【家】
これを答えればいいだけだ。
これなら無人島で寝床をいちいち作る必要もないし、寝てる間を蛇や蚊などの危険生物から十分に身を守れる。
反則ではない。一つは一つだ。
でも【家】だけで生活できない。無人島だから上下水道もなければ電気もないのだから。
だったら、そもそも無人島で生活せずに脱出すればいいのではないかと俺は考えたので
【燃料が満タンでGPS機能付きのクルーザー】
と答えれば万事解決だ。
さすがに反則かもしれないが……
反則なら反則で、ありきたりなやつを選ぶが、選ぶにあたってはその無人島の情報をしっかり知る必要がある。
島の大きさは、川はあるか、森はあるか、気温は、湿度は、危険生物はいるか等々の情報だ。
というか、そもそもなぜこんな話をするかというと……
そう!まさに今、その場面に直面しているからだ。
─1時間程前
俺はどうやら事故って死んだらしい
すると天国のような所で神を名乗る優しそうなおじいさんに『異世界で生き返らせてあげる』と言われた。
聞く話によると、どうやら俺は異世界に行ける条件が揃っているらしいからだ。
俺が生き返れる異世界は剣と魔法の世界で魔物等が存在する中世レベルの定番の世界らしい。
異世界に行くにあたって基本的な神からのサービスとして
・異世界言語の理解
・異世界で適応できるだけの丈夫な肉体
・異世界のお金を少々
を与えてくれるそうなのだ。
そしてもう一つ……
神『まだか?もうあまり時間がないのじゃが。【異世界に持って行きたい地球の物一つ】は決まったか?』
そう、望む物を一つ神様が与えてくれるそうなのだ!
しかも、それに神の力で6つのオプションを付け加えてくれるらしい!
「決めました!【最新の高級キャンピングカー】で!」
『キャンピングカー?それでいいのか?』
「はい。トイレ、シャワー、キッチン、ベッドやソファー付きな割に車体が大きすぎないやつをお願いします!」
キャンピングカーに元から付いてる物だから1つは1つなはずだ。…普通付いてるよな?
まさに完璧なチョイスだ。
これなら異世界でもそれなりに生活していけるはず!
『う~ん。それだけ付いて大き過ぎずか……難しいのぅ……そうじゃ!オプションで【空間拡張】を付けたらどうじゃ?』
「空間拡張?何ですかそれ?」
『簡単に言うと、車体の大きさはそのままじゃが、車内は通常の数倍は広くできるということじゃよ!』
「そんなことできるんですか!」
オプションってまさかそんな魔法のようなオプションだとは思わなかった……
せいぜい太陽光発電で動くようにしてくれるとかが限界かと……
『無論できるぞ。わしは神じゃからな!でも突飛なオプションは却下じゃがの』
「じゃあ!1つはその【拡張機能】で!」
『うむ。残り5つオプションの希望はあるかの?』
「じゃあ【壊れない】ってオプションはできますか?」
『できるぞ』
「それってタイヤの磨り減りや空気圧の減少などもなくなる効果はありますか?」
『う~ん、まぁいいじゃろう。摩耗や消耗もなくなるようにしてやろうかの』
「ありがとうございます!2つ目はそれで!」
『あと4つじゃよ』
「じゃあ【燃料無しで走り、電気も水道も使え、下水の処理も自動】ってオプションを付けてください」
『それはさすがに突飛すぎじゃ!……じゃがまぁガソリンが尽きたら終わりなのもたしかじゃしな。……よし!【魔石燃料】としてならその電気と上下水道のオプションも受けいれよう』
「魔石燃料?」
『その名の通り魔石を燃料とするんじゃ。魔石とは魔物の核じゃな』
「魔物を倒して燃料の魔石を集めるってことですか……」
俺、魔物と戦えるかな……
『生き物を殺すのに抵抗があっても魔石はお店でも売ってるぞ。どうするんじゃ?やめて他のにするか?』
「……します。【魔石燃料】にします」
『うむ。あと3つじゃよ』
「あっ!車の中を【快適空間】にすることはできますか?湿度も温度も空気も丁度よくて凸凹道を走ってもまったく振動がこないような空間に!」
『いいじゃろう。湿度、温度、空気も快適で外部からの衝撃も感じない【快適空間】じゃな。あと二つ』
「【透明化】ってできますか?よく考えたら異世界でキャンピングカーってかなり目立ちますよね?不審者としてすぐに捕まるイメージしかなくて……」
『そうじゃな。キャンピングカーをお主の意思で自在に【透明化】できるオプションということにしておこうかの』
いいんだ!
というか、神様、大抵の希望オプションは叶えてくれてるな。優しい!
それなら……
「それで……最後のオプションなんですけど【キャンピングカーにだいたいある備品】……てのはだめですか?」
もうこれ言ったら最初の"何か1つ"の縛りを越える反則だが
『備品とは例えばなんじゃ?』
「キャンピングカーにキッチンがある以上、普通は皿、箸や調理道具があるものでしょ?
そしてトイレやシャワーがある以上、普通はトイレットペーパー、バスタオル、シャンプー等があるものでしょ。そんな感じで"キャンピングカーである以上"必要最低限の備品は欲しいな~…なんて」
『た…確かにそうじゃな。……お主が持っていきたい物に《キャンピングカー》を望んだのにキャンピングカーに普通ある備品がないなんてのものぅ…………じゃが……う~む?これは微妙なラインじゃの~前例がないわけじゃないが……』
何か持っていきたい物"一つ"
なのにそのオプションでたくさんの物を付けろってのも変な話しだからな……
だが
「お願いします!そこをなんとか!急に元の人生が終わって右も左もわからない世界に行く俺に同情して……」
『はぁ…仕方ないのぅ。認めよう。お主は地球では若く誠実、才能もあり人生これからという時に子供を庇って事故で死んだ十分に同情できるやつじゃったから、特別にじゃよ!』
「─ありがとうございます!」
『うむ。じゃあ確認するぞ。お主が望む物は《最新の高級キャンピングカー》、オプションは【空間拡張】【壊れない】【魔石燃料】【快適空間】【透明化】【キャンピングカーにだいたいある備品】でいいかの?』
「はい!それでお願いします。あ……そういえば、俺以外に異世界に行った人って今までいたんですか?」
『もちろん何人もいたぞ。かなり珍しいことじゃがな』
「その人達ってどんな物を望んだんですか?」
『そうじゃのぅ~…《銃》だったり《日本刀》に【切れ味増加】【手元に戻る】【重量変化】などのオプションを付けた者もおったりしたな。たまに《戦闘機》とかを望む者もおったが異世界にはあまりに突飛すぎるため却下したがの』
「やっぱり他の人は戦うことを前提に物を選んでるんですね……」
やっぱり考え直すべきかな?
『うむ。………あっ!、もう時間を過ぎておる。急で悪いがお主を異世界へ送るぞ。達者でな』
神様がそう言うと俺の体が光に包まれだした。
「えっ、急すぎですよ!まだ色々聞きたいことがあっ───」
俺はその瞬間光に包まれ消えて行った。
気がつくと俺は、草原にいた。
…………ここは異世界なのか?
急すぎる。
まぁ終わったことを言ってもしょうがない。今は状況確認が優先か
体は……うん、問題ない。
事故の怪我はないな
それどころか以前より丈夫そうだ。
服は事故直前まで着ていた学ラン姿…ついでに学ランのポケットに金貨が10枚ある
おそらく神様がくれたこの世界のお金だろう
そして今いるここは草原、遠くに山、森、近くに街道らしき道が見える。人はいない。
時間は……だいたい太陽の位置的にお昼ごろ?
いや、地球感覚で考えてはダメだ。
ここは地球ではないからな……
もしかしたら太陽が2つあるような世界かもしれないし
もっと詳しく神様からこの世界のことをききたかったな
まぁ、この世界のことは後々自身で知っていくとするか
そして……さっきから俺の後ろにたたずむメイン
最新の高級キャンピングカー
外見を見る限り、色は白色、後ろにはハンドルを回したらテントが開くやつがある。イメージ通りだ。
【透明化】も試してみるか…………おぉ!ちゃんと見えなくなった!
透明化解除……おぉ
いいね!
さっそく乗りこんでみるか!
まずは後ろの居住スペースから乗り込むか
指紋認証…─ウィーン
ドアの開き方も近未来感があってカッコいい!
そして内装は─
おぉ、広い!いや……広すぎる!
あり得ないぞ……メインの空間だけで20畳はありそうだ……
天井も5mはあるし、ロフトもある!
キッチンもトイレもシャワー室もある……
……家じゃん!
どういう原理なんだろな?車体と中の空間が釣り合ってなさすぎる……【空間拡張】あなどってた。想像以上だ……
そしてメインルームのリビング空間にはIHクッキングヒーター付きのキッチンスペース、ソファーや折り畳みテーブルや戸棚がある
ソファーは背もたれを倒せばベッドにできそうだ。ベッドソファというやつか?
【キャンピングカーにだいたいある備品】のオプションのおかげで各種調理道具やシャンプーやトイレットペーパー、寝具類等々が備わっている。
しかも驚いたことに冷蔵庫もあるうえ、床下の収納スペースに組立テントやランタンやバーベキュセットのようなアウトドアドアグッズまで収納してある……
着替えや防寒着、登山服から水着まで……
確かにアウトドアを目的とするキャンピングカーには載せてそうな物ばかりだが……すごすぎない?
神様、サービス精神旺盛だろ!
ちょっと申し訳なくなる……
まぁ、いい!素直に喜ぼう
だいたいキャンピングカーの性能も把握できたことだし移動するか!燃料は満タンのようだし!
キャンピングカーのおかげで衣、住、は確保できたとしてもこのままじゃ餓死してしまう。どこか食料調達できそうな所に行きたい。できれば町。なければ釣り竿もあるし魚がいそうな水辺!
運転席に座ってっと、エンジンをかけてっと……
ナビがあるな……
GPSもない異世界で使えるわけな…………使えた
神様ありがとう!
えっと……近くの街までは……だいたい街道に沿って5キロか……
そもそも中がこんなに広いからっていっぱい物を積んでるけどちゃんと走るよな?……重すぎて走れないとかやめてくれよ……
─アクセル……グッ
───ブゥーン
予想以上にスムーズに進んだな
これも神様の力か?
それとも最新で高級なキャンピングカーだからか?
安全運転を心がけて運転を楽しんでいこう!
何せ俺は免許取り立ての初心者ドライバーだからな
ブゥーン
─────
車を走らせること十数分──街に到着
車は【透明化】させて茂みに駐車させてっと
よし!異世界の街へかりだそう!
どんな人達がいてどんな食べ物があるのか楽しみだな!
ナビの表示によるとこの街は《東街》という名らしい
街へは普通に検問とかなしで入れるみたいだ
町並みは……よくあるヨーロッパ風だな。
大通りに出たが、人で賑わっていてとても平和そうな街だ
この異世界が魔王に支配されてるとか飢餓や戦争に苦しんでいるとかの可能性は多分ないだろな。
しかしこの世界は剣と魔法のファンタジー世界らしいが…道行く人達を見る限り武器を装備してる人はいても獣耳の獣人やら亜人らしきファンタジーな人は見当たらないな……
たまにエルフみたいな耳がとんがった人を見かける程度だ
異世界っていっても地球とたいして変わらないのだろうか?
ん?…えっ!
……前言撤回
今……頭上をホウキにまたがった人が空を飛んでいった……
しかも前を荷馬車が走っているのが見えたが……
明らかに引いているのは馬じゃない……あれは巨大なダンゴムシだ……
うん。ここは確かに地球とは異なった世界であることは十分理解できた
それにしてもさっきから俺、周囲からじろじろ見られてるよな……
多分、俺が今着ている上から下まで真っ黒な学ラン姿が原因か
街の人達の服装を見るに俺の服装が浮いているのは十分わかる
腹も減ったが腹ごしらえの前に服を買って着替えようか
目の前に服屋らしき店もあるしちょうどいい
───────────
よし、この見るからに街人Aな服装なら目立たないだろう!
そして買い物ついでにこの世界の通貨のことも知れたしな
神様がくれた金貨10枚はこの世界で10万ウェン。だいたい円でいったら10万円ぐらいだろう。
神様、太っ腹すぎる。
今は服を買って手持ちは金貨9枚銀貨5枚の9万5千ウェンだ。
それにしてもさっきの服屋の人は親切に色々教えてくれたな~
外国人は日本人に比べて不親切とはよく聞くもんだから異世界人はどんなもんかと心配したが杞憂だったみたいだな。
まぁ、それはそうとさっそく飯を食いにハンターギルドとやらに行くとするか
何でハンターギルドに行くかというと
服屋の人に安くて美味しい店はどこか、この街で働くとしたらどうしたらいいかと尋ねたら─
「ハンターギルドに行けば飯屋もあるし、あんたみたいな世間知らずな流れもんでも日銭を稼ぐぐらいの仕事依頼はあるから行ってみろ」
─と言われたからだ。
ハンターギルド──
ついてそうそう美味しそうな匂いがするな。さっそく入ってみよう!
一階の左奥に飯屋の受付カウンター、右奥がハンターギルドの受付カウンターがあるみたいだ
冒険者っぽい人だけでなくいろんな人がいて賑やかだな
デパートのフードコートみたいだ
まずは左で飯を食べてからギルド登録をしよう
といって飯屋のカウンターに来たものの……
メニュー表を見てみるが写真がないのでどんな料理なのかまったく想像がつかない……
いや、もちろん字は読める。神様の異世界言語理解のサービスのおかげで。
だけど書かれている内容が
・オーク肉のソテー
・大蛙のもも串
・ミノタウロスのステーキ
──等々
多分、馴染みのない肉を使ってる……
だがまぁ、よく見れば馴染みのある料理名もちらほらあるな
・ハンバーガー
・ピザ
・うどん
テーブルで食べてる人を見る限り俺が知ってる料理に間違いないだろう
神様が今まで何人も異世界に送ったことがあると言ってた時点で地球の料理や技術もある程度この世界で広まってると予想はついてた
まぁ、ひとまずハンバーガーとオレンジジュースにしておこう
うん。以外と美味しい!
ハンバーガーに挟んでいる肉は何の肉かあまり想像したくないが……他はまんまハンバーガーだ。レタスもトマトも俺のいた世界のものと変わらない。
オレンジジュースももちろ俺の知ってるオレンジジュースの味だ。
腹もふくれたことだしギルドに会員登録しにいくかなー
服屋の人の話しではハンターギルドに登録しておけば俺みたいな身元不明なやつでもある程度は身分を証明してくれるギルドカードとやらを発行してくれるらしい
会員になれれば魔物討伐や薬草採取、溝掃除から土木作業まで、自分にあった依頼をうけて報酬金を得られるそうだ……フリーターみたいなもんか?
事業を始める金もなく身元不明な俺がこの街で働くとしたら現状ここ以外選択肢はないのだろう
受付はここでいんだよな?
「すいません。俺、ハンターギルドの会員になりたいんですけど」
受付には美人な女性がいた
「あっ、はい。新規会員登録をご希望ですね。でしたらまずはこの水晶に手をおいてください」
「こうですか?……なんか水晶が白く濁ってしまいましたけど……なんなんですかこれ?」
「これは過去に悪い行いをどれだけしたかを測る魔道具で、一定以上を超えた方は会員登録をお断りしてるんです」
「へぇ、それで俺はどうなんですか?」
「この色なら十分合格です。会員登録に際して登録料1万ウェンかかりますがよろしいでしょうか?」
「登録するのにかなりするんですね。どうぞ」
俺の財布袋から金貨が一枚減ってしまった
「こちらも仕事ですから。それではお名前と年齢を教えてもらえますか?」
「名前は赤井……の前にちょっと聞いていいですか?異世界人に会ったことあります?」
「いや、ないですね。ですが2年ぐらい前に王都の方で珍しい魔導武器を持った異世界人が逃げ出したことや近々王城で100年に一度の勇者召喚が行われるって噂はよく聞きますね」
「異世界人が逃げ出した?異世界人って捕まるんですか?!詳しく教えてくれます?」
「え…えぇ。異世界人は昔から稀に現れてこの世界に新知識や技術等の恩恵を与えてくれる存在として見つけ次第王城で手厚持てなされてきたんですが。2年前に現れた異世界人はどうやらそれらの待遇を"利用されてる"軟禁されてる"と勘違いして王都から逃げ出したそうですよ」
「なるほど、なんとなくわかった気がする」
そいつが第二の人生を異世界で楽しもうと思ってたとして、王都で常に行動を制限されて地球でのことを毎日聞き出されるような生活だったとしたら逃げ出したくなる気持ちもわかる
俺だって手厚待遇だったとしても逃げ出したかもしれない
「それとついでに勇者召喚も詳しく教えてください」
「勇者召喚は100年に一度だけ行える王家秘伝の召喚で異世界から30人ぐらいの異世界人を召喚するらしいですよ」
「30人も異世界人を?何のために?」
この世界は魔王に困ってるとか戦争をしてるみたいな感じではなかったが……
「ドラゴンや強い魔獣を倒すためにです。異世界人はこの世界に来ると能力値が飛び抜けて高くなる可能性が高いらしいですよ。私も詳しくはありませんが……というかお名前と年齢を早く……」
「あっ、すいません。俺の名前は…………」
どうしよう……
俺の名前は赤井涼というが……名前的に異世界人だとばれるかな?
偽名……ギメイ……アーカイ……アカーイ……リョー……リオー …………リオン
「リオンだ。18歳のリオン」
この世界ではリオンで通そう
「はい了解しました。リオン様18歳でよろしいですね?それでは能力値を測りギルドカードを発行しますのでこの石板に手をおいてください」
今度は石板か、これも魔道具だろうな
おっ、なんか光だした
ガチャン
なんかカードがでてきたぞ
「終わりました。これがリオンさんのギルドカードでござ…………え?」
受付の女性はでてきたカードを見て固まった。
「どうしたんですか?」
「凄いですよ!リオンさん!魔力値が飛び抜けて高いです!ど、どうぞ、これがリオンさんのギルドカードです」
なんだ?すごいのか?
なになに、これがギルドカードか。免許証みたいだな
────────────
Fランク冒険者
名前/リオン
年齢/18
能力値
体力/200
筋力/200
魔力/5000
体術E、剣E、斧E、槍E、弓C
魔法適性/無し
───────────
「確かに魔力値だけ高いですね。でも魔法適性が無しってありますよ?」
「そうですね。基本的に魔力量は0~100が普通。これだけ魔力量があるのにもったいないです。火水風土光闇のどれかの属性の魔法適性さえあれば大魔導師も夢じゃなかったはずですよ」
「つまり魔力があっても魔法が使えないってわけですか……」
「魔法適性じたい10人中1人が一属性もってるか持ってないかの確率ですし……しょうがないことですけど」
「そうなんですか……なんか残念だな」
「でも魔法適性がなくても魔力を使ってできることもありますよ!魔力を体に纏って防御力や攻撃力を上げたりできますし。高い技術が必要ですが軽い物を魔力で包めば浮かせることもできます!」
「ホウキに乗って空を飛んだりとか?!」
「確かにそれは物を浮かす応用版ですが風魔法の適性が必要なので……リオンさんはできてせいぜい木板を少し浮かせてキックボードにするぐらいですね」
「いや、それでも十分面白そうです!どうやったら習得できるんですか?」
「それならちょうど明日このギルドの裏にある訓練場で初心者冒険者講習が開かれるのでそれにご参加ください。そこで魔力制御の指導も受けられます。もしそこで実力を見せればFランク冒険者からいっきに昇格することもありますよ」
「何時に来ればいいですか?」
「朝の7時から12時まであります」
あっ、壁に時計がある……この世界も地球と同じで1日は24時間みたいだ
……1…2…3…4…………うん。俺の体感速度と同じ速さで秒針が動いているし間違いないな……
いやそれっておかしくないか?
時計を俺と同じ地球人が伝えたとしても……秒針の刻む速さまで同じなわけがない
この星は地球と同じスピードで自転しているのか?それともここは異世界といっても時空や次元が違うだけの地球?パラレルワールド?
……
……考えても仕方ないか。俺の感覚と同じならありがたい、ぐらいの気持ちでいよう
「わかりました。それで参加費用は?それと何を持ってきたらいいですか?」
「参加費は無料です。持参物は愛用の武器があればそれを持ってきてください。なくても借りれますのでご安心を」
「え、無料なんですか?」
「はい。大半の初心者の方はお金に余裕もありませんし、何より経験が浅く簡単に死んでしまいがちな初心者冒険者を無くそうと考えての講習ですから」
「なるほど。こちらとしてはありがたいかぎりですね。じゃあ、明日また来ます」
「はい。この度は登録ありがとうございました。よければ二階のショップも見ていってくださいね」
「はい、ありがとうございました」
よしこれで俺もハンターギルドの冒険者になれたわけだ。
えっと……今は昼の12時か…
依頼書が張り出されてる掲示板でもみてみよ
なになに……ワイバーン討伐……逃げ出したペットの捜索……オークの肉4体……トイレ掃除……護衛
色々あるがやっぱり一番報酬がいいのは魔物討伐系だな~……でも条件がDランク以上とかBランク以上なんだよな
依頼をこなしていけばランクは上がるっぽいけど俺は魔物と戦えるかな?
日本のような平和な世界で育ってき俺が?
人よりちょっと運動神経がいいだけで殴りあいのケンカもしたことがないんだよ俺?
もういっそ、どこか安全な所で自給自足生活でもして穏やかに暮らしてみるか─……なんてな。
今度は二階のショップとやらでも見に行こうかな
へぇ、ショップって武器や装備品とかを売ってんだな。色々あるぞ魔石まで
どれも高いな……剣一本は欲しいところだが……
金がたまったら買いにこよ!
とりあえず今日は食料を冷蔵庫に入るだけ買って帰ろ
食材さえあれば小腹が空いた時に自分で作って食べれるし
しかも店で食べるより安くすむはず!
となると、買い込むにしても一度に持って帰れないよな……今ですら片手に学ランを抱えてる状況だし
仕方ない、往復するしかないか~
ギルドを出て商店街に来たが何を買おうか?
おっ!オーク肉と言うのがあるぞ!
オークって魔物だよな?少し抵抗があるが食べてみたいな
複数のブロックで買って帰ろ
あとはバナナにリンゴ……試しに見たことないフルーツも買っておくか!
あっ、じゃがいももあるな。
いも類なら冷蔵庫に入れなくても保存できるから買っておこう
あとはパンだな。食パンにフランスパン…メロンパンまであるぞ!買おう、
ふぅ~、疲れた~
お店とキャンピングカーを3往復もしてしまった。
車の時計も異世界時間に合わせておいたが、もう3時を示してる。
このあとどうしようか
買い物ついでに街もだいたい見て回ったしな~
このままキャンピングカーでのんびりするのもいいかも……
そういえば八百屋のおじさんが街から東に3キロ行った所の海岸からの景色は最高って言ってたな……
まだ日も明るいしドライブに言ってみるか!
─ブゥーン
あっ森を通る道になったな
動物や魔物が飛び出して来ないか気をつけていかないとな。
車体が透明化しているし、どうやら透明化中はエンジン音がしないからより一層注意を
いっそ人目もないし透明化を解除しとくか?
でも、八百屋のおじさんがこの森付近は盗賊がよく出るって言ってたしな……
…………ん?……前方に人影?
馬が死んで倒れた荷馬車……
刀を構えた少女が1人と……
その少女を囲む刃物を持った男が4人……
まじかよ言ったそばから盗賊だ……しかも少女が襲われてるし
盗賊A「へへへー!この女は上玉だ!高く売れるぜ!」
盗賊B「こいつの持ってる武器も値打ちものだぜこりゃ」
盗賊C「可愛がってやるぞ嬢ちゃん」
盗賊D「ぐへへへ」
うわ……明らかに悪人が言うようなセリフが聞こえてくるな……
助けてやらないと!
少女「残念だけどあなた達は終わりよ!死にたければかかって来なさい!でも、命の保証はないけどね!素直に捕まった方が身のためよ」
えっ!少女も何で挑発してんだよ!?
て、そんな事考えてる場合じゃない!!
今の少女の発言で盗賊がキレたみたいだ刃物構えて襲いかかろうとしてる!
アクセル!
─ドシーン
盗賊2人を死なない程度にふっ飛ばせた!
残りの盗賊も急に仲間がふっとんだことに混乱してる!
今がチャンスだ!
透明化解除!
ドアのロック解錠!
少女に近いバックドアを開く!
「あんた!今のうちに早く乗り込め!助けてやる!」
そう言って俺は手をさしのべた
少女は少し驚いた様子で固まったがすぐ俺の手を握って答えた
少女「あ、え、えぇ!」
よし!少女ものりこんだな!
─バン!ガチャッ
ドアロック!
透明化!
はぁ、一安心…………
バンバン……ガンガン
「あいつら、車を攻撃してるな……透明化してるのに」
少女「驚いた……」
少女は車の中を見回しながら驚いている
そりゃそうか。この世界の人でも驚くよな
「大丈夫!安心していいぞ。俺は怪しいもんじゃない。ちょっと車動かすからそこのソファーにでも座ってて!」
少女「えぇ、わかった……」
よし、少女も救えたし、とっととここから離れようか
盗賊をひかないよう気をつけてっと
─ブゥーン
───
あそこから……かなり離れたな
「あんた大丈夫だった。俺の名前はリオンっていうんだけどあんた名前は?家まで送ってあげる」
「私の名前はカリンよ。リオンは私を助けてたつもりかもしれないけど。正直、あんな盗賊4人なら私一人でなんとかなってたわよ!」
カリンとやらはかなりの強がりみたいだな。
「ははっ、強がるなって。剣と装備はしっかりしてるみたいだがどうみてもカリンじゃむりだったって」
カリンは歳は15、6あたりで、手足がスラッとしてるし、金髪ロングで凛々しい顔した女の子にしかみえない
「嘘じゃないわよ!それにもともとあの盗賊を掃討するためにあそこにいたのよ!!はいっ、これが私のギルドカード!」
これは……俺と同じハンターギルドのカードだな
────────
Bランク冒険者
名前/カリン
年齢/17歳
能力値
体力/208
筋力/185
魔力/98
体術D、剣C、斧E、槍E、弓F
魔法適性/風、火、光
───────────
「Bランク、え……?まじで?」
「マジよ!」
「じゃあ、俺が助けなくても盗賊を倒せてたどころか……俺は邪魔しただけなのか?」
「そうよ、わかった?私強いの!」
「ハハハ……ごめん……」
「ふふっ、冗談よ!気にしないで、あの場面でリオンの手をとって乗り込んだのは私自身だしね!」
「そういえばそうだ、なんでだ?」
「盗賊何かより優先すべき事ができたからよ。……あっ、もう少し眺めのいい海岸があるから車走らせてて」
「あ、俺もその海岸を見に行く途中だったわ。それで優先すべき事ってなんだ?」
俺は車を走らせながら尋ねた
「あなた、異世界人でしょ!」
「え!……ん?どういう事かな?」
どうしてばられた?!!
「誤魔化さなくていいわよ。わかっているから。まさか会える日がくるなんてね~。それにしてもこのキャンピングカー素敵ね」
……この世界でキャンピングカーの存在を知っているってことは…………
「まさか、地球人か!」
「ピンポーン!私の本名は青景夏音。2年前に地球で死んでこの世界で生き返った正真正銘の日本人よ!リオンは?」
「俺は赤井涼。4、5時間ぐらい前に死んでこの世界で生き返った日本人だ。まさかこんなに早く同じ境遇の人と出会えるなんて思わなかった!」
「はぁ?!4、5時間前?!!早すぎでしょ!!……ま、まぁ、それならリオンは運がいいわね。何せ初っぱなから先輩の助言を聞けるんだからね!」
「カリンの方が年下だろ?俺18歳だし」
「異世界経験では先輩なの~!2年よ!2年!私がどれだけこの2年を生き抜いてきたことか……!」
「はいはい。それでカリン先輩はどんな助言をしてくださるのか?」
「バカにしてる?まぁいいわ教えてあげる。第一に異世界人だとばれてはいけない!あなたは偶然にもすでにリオンという偽名を使っているから運がいいわね!もしばれてしまったら──」
「王城に呼ばれて生活が制限される、とかだろ?」
「なんだ、もう知ってたのね。そうよ!私はこの世界に来てすぐに名前から異世界人だとばれ、王城で暮らすことになってしまったわ。手厚待遇で料理も美味しかった……だけど毎日数時間、取り調べのように地球のことを語らなければならなかったし、自由に街を歩き回ることも難しく、いつも監視される日々。私が望んでた異世界生活はもっと自由で楽しくて冒険だった……!だから私は上手く逃げ出して王都から離れた《東街》で偽名を使って冒険者を1年半ぐらいやってるの!この金髪も光魔法で変えてるだけで本当は黒髪よ!ほら」
カリンの髪が黒くなった
「おぉ!これも魔法だったんだ。ずっと変えてて魔力とかの消費は大丈夫なのか?」
「髪の色を変えるぐらいの魔法はほぼ魔力は消費しないわ。そんなことよりわかった?異世界人だとばれちゃいけないってこと!」
「あぁ。わかった、わかってた」
「そして助言2つ目!異世界ではまずハンターギルドに登録するべし!さっき見せたギルドカードはある程度身分を証明してくれて依頼をこなしてランクが上がれば色んな所で優遇してもらえるわ。そしてギルド裏の訓練場で技術的な指導もしてくれるから私なんて剣術がEから一年半でCまで上がったのよ」
「いや……もうすでに登録してるぞ……ほら、俺のギルドカード。明日は初心者冒険者講習を受ける予定だし」
「あきれたわ、本当にこの世界へきて4、5時間なの?今のところ、私が言った助言全部知ってたのね。…………あっ!それと知ってる?私達、異世界人は能力値が高い可能性が高いってこと」
「知ってる。だから近々あるらしい勇者召喚が噂になってんだろ?」
「ハァー、どんだけ情報収集能力が高いのよリオン……」
「偶然だ」
「そしてリオンのギルドカードをみる限り、魔力値が飛び抜けて高いわね。魔法適性が一つもないのがもったいない」
「それ、ギルドの受付嬢にも言われた。それでカリンはどうなんだ?何か高かったか?」
「さっき見せたでしょ。魔法適性が風火光の3属性もあるのよ!凄いでしょ!1000人に1人の確率らしいわ」
「なるほど確かに凄い」
「3属性もある上、私の武器が強力だったから……あの時あのまま王城に留まってたら今頃ドラゴンや魔獣討伐のための駒にされてたと思うわ」
「武器?もしかしてその腰に下げてる日本刀ってまさか神様に与えてもらったやつか?」
「そうよ、最初は神様に《戦闘機》って頼んだのにダメって言われたのよ。神様ケチだと思わない?」
あれはお前だったのか!
「突飛すぎたからだろ。それはしょうがない」
「《戦艦》もダメ《戦車》もダメ《超豪華客船》もダメだったわ。しまいには『時間がもうない。急いでくれって』いうからおおまけにまけて《日本刀》にしたの。オプションで【切れ味増加】【手元に戻る】【刃こぼれなし】【重量変化】【索敵】【伸縮】効果をつけたわ。いくつか渋られたけどゴリ押しした」
「ははっ、すげぇなカリン……神様に対して少し上から目線じゃない?」
「いいのよ。第二の人生を左右する選択だもん。少しがめついぐらいがちょうどいいの!それよりあなたはどうなのよ?この車内が異様に広い《キャンピングカー》を望んだんでしょ?」
「あぁ、オプションは【空間拡張】【壊れない】【魔石燃料】【快適空間】【透明化】【キャンピングカーにだいたいある備品】を頼んだ」
「リオンも人のこと言えないぐらい凄いオプション付けてるじゃない!」
「確かに言えてるな。あっ、着いたぞ、ここだよな海岸って」
車は崖っぷちから3mほどの所に止まった
「えぇ、驚くわよ。この海岸からの景色は壮大だから!」
そんなに?まぁ車から降りて見てみるか
…………
おぉ……!
確かに!これは凄い
1か所島が遮ってるが丸びた水平線が見渡せる!
青い空と青い海が果てしなく広がる
崖下から聞こえる激しい波の音
海から吹く少し強めの潮風
遠くに一つ島があるが他には何もない。船1隻も
「確かにこの光景は壮大だな!それにしてもなんで船1隻ないんだ?」
「それはこの数十㎞続く海岸は下がえぐれたような形状をしているから一度降りたらねずみ返しのように簡単には戻れないことと、波打ち際は打ち付けるような強い波のせいで小さい船は簡単に沈んじゃの。かといってこの世界の造船技術は歴史が浅いし、異世界人が星は球体だと伝えてもなお航海時代になってないからねー」
「へぇ、詳しいな」
「2年もこの世界にいたから色々調べて知ったの。
それにしてもここにくると毎回あそこに見える島に行ってみたい気持ちが高くなるのよねー!」
「あっ、そういえばあの島はなんなんだ?ポツーンとあるがかなりデカイ島だよな?」
「魔獣島と呼ばれている島よ」
「魔獣島?魔獣がいるのか?」
「わからない。だって行って帰ってきた人がいないからね。だから誰かがあの島には魔獣がいるんだって言って付けられた名前らしいわ」
「で、そんな島にカリンは行きたいって?」
「だって考えてもみて!手付かずの島、未知の世界、こんなに冒険心を揺さぶられることはないわ!もしかしたらドラゴンがいるかも!」
「そんなに行きたいならホウキ乗って飛んできゃいいのに。風魔法の適性あるんだろ?」
「確かに私、習得してるからホウキで飛べるけど。私の体重と魔力量で飛べる距離を考えてもせいぜい200mで魔力が尽きるわ。島までは少なくとも5㎞はあるから到底無理ね」
「なるほどな。いつか行けるといいなカリン」
「そんときはリオンも一緒ね」
それは……今後ともよろしくという意味?
「あ……あぁ、いいぞ。いつか金貯めて、デカイ船買って遠くの港街からあの島に冒険しに行こう!……これからよろしくなカリン!」
「私こそよろしくリオン!……ん?……っとどうやら敵が来るみたい。刀の【索敵】に反応がある」
「もしかしてあれか?あの馬や巨体ダンゴムシに乗ってこっちに向かってる集団……」
「みたいね。どうやらさっきの盗賊が仲間を連れてきたみい……」
「カリン急いで車にのりこんで!」
「大丈夫よ!見たところ盗賊は7人。私が倒してやるわ!」
「いいから!位置的にここはまずい。戦うにしても少し移動してからだ!」
俺達の後ろは崖プチだ
「確かにそうね。移動しましょ」
よし!エンジンかけてっと
透明化!
──────────
盗賊C「見ましたか親分!また姿が消えましたぜあの変な形の馬車!」
盗賊D「ヤバいですぜ。あの馬車、人をぶっ飛ばしやがるんだ!」
親分「そう焦るな!動けば車輪の跡でわかる!売ればいい金になりそうだが、気付かれた以上それも無理か……仕方ねぇ手順通り部下を怪我させた落とし前として殺すだけにするぞ!やれ!」
───────────
アクセル全開─
「待って!あいつら車の前に何か樽を投げてきたわ!踏まないで───」
「了解!……ん?また何か飛んできたぞ」
「火矢……ま、まさか!伏せて!!!」
──ボッッカッーーーーン
ドボーンガラガラガラズシャーン
崖は崩れキャンピングカーは海へと落ちていった……
────────
その光景の後、崩れた崖を覗きこむ盗賊団
盗賊「やりましたぜ親分!やつらえぐれた崖っプチにいたから火薬樽の爆発で崖が崩れてそのまま海へまっ逆さまだ」
親分「こりゃ確実に死んだな…………ん?」
─ピシッ…………ピシッ
親分「おい!!!お前ら!ここから離れろ!ここも崩れ──」
ピシッビシッビシビシッ!!
「「え?」」
─ガラガラガラズシャーン
「「「うわぁああぁ!……ぁ……」」」
爆発の衝撃が更に崖に亀裂を入れ盗賊団を巻き込み崩れていってしまったのだった───
────────────
──ガラガラガラズシャーン
「うわ、また崩れてきた!、危なかった!」
キャンピングカーの車内を透明化させ外部の様子を俺達は眺めていた
「あのままあの場所にいたら更にきた崖崩れに確実に巻き込まれてたわね!」
「落ちた時に横転しなかったおかげで車をすぐに走らせれたのは幸運だったな……」
「それにしても海に落ちた時は本当に死を覚悟したわよ…」
「あぁ、俺も死ぬかと思った。海に落ちても壊れず動くし海水も入ってこないのもオプションの【壊れない】と【快適空間】のおかげだな」
「というか、本当にムカつくわね!あの盗賊!許さないわ!!!いつか絶対捕まえてやる!」
「……いやその必要はいらないみたいだ。崩れた崖をよく見てみろ」
「え…………?!…………
「どうやら盗賊の方も崖崩れに巻き込まれたみたいだ……転落死と濁流にのまれての溺死だ……自業自得だ……気にするな」
「……そうね」
「それと俺達もピンチだ……どうやってもこの車で崖を登れそうにない……このえぐれた海岸って数十㎞あるんだろ?登れそうな場所にたどり着くまで燃料もつかな……もしかしてカリン魔石もってたりする?」
「もってないわ」
「だよな~」
これって完全に終わった?
異世界生活初日に?
「「………………」」
「……そうよ!魔獣島よ!前に望遠鏡で魔獣島を見たとき魔獣島の海岸は砂浜だったわ!あそこからなら水上に上がれるわ!」
「なるほど!……いや、しかし島までの間に大陸棚とか谷とかないよな?」
「そんな心配せずにいこうよ!他に選択肢がないのに迷っていたら日が暮れるわ!」
「それもそうだな。行こう!」
そして魔獣島まで約5㎞の道のりの海底ドライブが始まった。
────
水深約10m……岩礁なし……砂地の海底が続く……
海は驚くほど澄みわたり……
巨体な肉食生物なし……小魚が車の周りを泳ぐのが見えだしたころ所々にサンゴ礁が見え始め
それらを避けて走らせる
魔獣島……到着
「着いた~!見てリオン!魔獣島よ!」
カリンがキャンピングカーから飛び出て砂浜をテンション高く走りだした。
「そうだな。まさかあの海岸で約束した数十分後に願いが叶うなんて想像もしてなかった。何か色々考えてたのが馬鹿らしくなるぐらい簡単に着いたな」
「本当に!今日は最高の日ね!同郷のリオンに会えただけでなく夢にまでみた魔獣島にまで来ることができるなんて!!リオンありがとう!」
カリンのやつテンション上がりすぎて今の状況わかってないのか?
「それで異世界経験豊富なカリン先輩は~このろくな備えもしに来てしまった無人島でどうするつもりですか~??」
少し嫌みな言い方すぎたかな?
「そうね。今日はもう日が暮れてきて危ないからキャンピングカーで一夜を明かしましょ!」
「よかった。テンション上がりすぎて"今から島を探索だ~"とか言いだすほど馬鹿じゃなくて助かった」
「馬鹿にしないでよね!そこまで馬鹿じゃないわよ!何せ異世界で1年半も冒険者をやってるのよ!先輩よ!無人島生活でも先輩である私に任せとけば大丈夫よ!」
「おー、じゃあ頼りにしてますよ先輩。…って、そんなことより腹が減ったから飯にするぞ。車に入れ。車に積んでた食材でオーク肉のしょうが焼きを作ってやる」
「おー、リオン料理できるんだ!楽しみ!」
そしてキッチンでさっさっと作って食べたオーク肉のしょうが焼きはとても美味しいかった
【快適空間】のおかげで匂いもひろがらないみたいだ
そしてシャワー浴びて
眠くなるまでカリンと元の世界でのことやこの世界のことなどを語りあい
カリンがソファーベッドで
俺が梯子を登ったロフトで寝て
俺の異世界初日は終わった。




