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エロMODされちゃう・・・!

10/10 誤字と脱字を修正。次話は11日0時更新です。

「ふはははは! デコ眼鏡くやしいか?

 悔しかろう? 良い気味だ」

「むきー!」




高笑いする山賊の首領。

悔しがるデコ眼鏡。無の表情をするサーシャ。

そしてわたしだ。



山賊にあっさり捕まった。



「く、( コロ)!」

「良い・・・! 実に良い・・・!

 ほらおひねりだ。拾って良いぞ!」

「むきー!」


壁に鎖で3人とも繋がれてる。

両手をあげられて壁鎖のよくあるエロゲ構図だ。



どこで判断間違えたかな!



山賊のアジトに見張りも居ないので突入したら

扉から直で鉄の檻の中だった。

3人とも入ったら扉が閉まって檻に閉じ込められた。



アライグマのトラップか。

酷い。

こんなのに引っかかるなんて。



「・・・すみません。

 どうやら領主の使いが山賊の仲間だったようです」

シスターサーシャが小声で詫びる。



「ふふふ。お嬢ちゃん、悪い時に居合わせたな。

 この腐れ聖職者2人だけの予定だったんだがね」

「お頭――!

 それじゃこの上玉は好きにしていいって事ですかい!」

「やったー! やんややんや」



犯される! 山賊たちにエロMODされてしまう・・・!



「止めてください! この方は無関係な人です!」

「サーシャさん・・・」

「へえ。じゃあシスターがお相手してくれるのかい」

「この方は当教会の関係者です」

「おいいいいいい!」



秒で裏切った。



「・・・すみません。

 わたし、貴方と違ってエッチなことは駄目なんです」

シスターサーシャが小声で詫びる。


「謝るとこ違くない?」

だめだ、この人達。



山賊が近寄ってきて胸揉んできた。

ふにゅん



ぐぬぬ・・・!



く。山賊と替わりたいぐらいだ。

(――馬鹿? あなたの体でしょうに)

冷静な心の突っ込みが胸に響く。つらい。



「そこまで。

 ――その汚い手をオーセンエンデたんから離せ」

「ひゅう」


壁際にいる腕を組んだ男が凄む。

山賊が口笛を吹いて手を引っ込めた。

ホストみたいな優男だ。源氏名でセイヤとかありそうな。


「むかつく男」

「オーセンエンデたん、やめて。

 その言葉はとても辛い」




サーシャが小声で尋ねてきた。



「知り合い? 貴族のドラ息子か何か?」

「知らない人です。・・・本当に」



と答えつつも内心は絶望だ。



自分をオーセンエンデと認識してるあの男は、

どうみてもMODを知ってるプレイヤーです。



こんにちわエロMOD人生・・・



終わった。


あたいの人生終わったわ・・・!



「ごめんね。本当は手荒な真似はしたくなかったんだけど」

「チッ!」

「どゆ事!?

 僕のオーセンエンデたんはそういう事言わない!」



檻に閉じ込められた時はまだ余裕があった。

この男が来て謎の力で武装を解除させられたのだ。

そしてあっさりと山賊に手鎖付けられて連行だ。



謎の力。

それは真名魔法( セゴイ)だ。

ゲームでは選ばれし英雄であるプレイヤーのみが使える。

呪文書がないので全ての魔法を覚えてるオーセンエンデでも使えない。

ゲームのクエストとメインシナリオで解放するやつだ。



武装解除( ディスアーム)』の真名魔法( セゴイ)は装備武器を解除して一定時間行動不能にさせる必殺技だ。

クールタイムがかなり長いとはいえ決まれば勝ち確の技だ。



「へへへ。ところでリチャードさん。

 お代は2人分ですがどうしやすか?」

「ああ、そうだな。デコ眼鏡は要らないかな」

「そんな! どういう事ですか!

 私がそこの白いのはともかく、サーシャより劣るとかですか!

 目ン玉腐ってるのか、くそ男。有り金全部置いていきな!」


「どういうことだよ!?」

「あー、リチャードさん。このデコ眼鏡はこういう人なんで」

「なによ! 粉挽きの親父の癖して山賊頭なんて恥をしりなさい!」

「お前が俺への借金をきっちり返してさえくれてれば

 俺も山賊稼業に手を染める事もなかったんだが」

「恥を知りなさい!

 自分の悪を環境のせいにするなんて!

 小豆破産したのはあなたのせいよ!」

「くそ! このデコ眼鏡・・・!」


粉挽き小屋の親父山賊が呪詛を吐いた。




サーシャがいたたまれなさそうだ。

「粉挽き小屋の親父さん、ミネア司祭にすごい額を貸して

 離婚して先祖代々の粉挽き権利も取られちゃったんですよ」

「ミネア司祭は一体そんなお金を何に?」

「・・・小豆相場です。しかも色んな人も巻き込んで」

「OH・・・」





「まあ山賊もこれで終わりだ。おまえさん達2人を高く買ってくれるリチャードさんが居てね。これでお前さん達の借金はすべて帳消しだ」

「はー。なるほどねえ。

 サーシャ。

 オーセンエンデさん。元気でね。

 私は綺麗になった身でまた明日から頑張るわ」

「腐れデコ眼鏡・・・」


サーシャがすごい顔しながら呪詛を吐いた。



ホストみたいなリチャードさん(プレイヤー)が咳払いしてから切り出した。


「ああ、そのことだが。

 今は手持ちがないがすぐに用意してこよう」

「さすがリチャードさん、わかるぅ!」

と粉挽き小屋の親父。

「え”」

そしてあてが外れたミネア司祭。


「たとえ性格が最悪のデコ眼鏡でも僕は愛せる。

 愛してみせる・・・!

 すべての美人、美少女はコンプリートするべきだ」

「最高の性格と言いなさい。

 口説き方がなってなくてよ?」

「うん、そうだね」

「むきー!!」


ミネア司祭が鎖で繋がれたままじたばたと足をもがく。

見苦しい。



「へへへ。それじゃ先に2人を連れていきますかい?」

「いや。4Pしたいから後でまとめてにするよ。

 行って連れてだと道中が遅れるしね」


商談がとんとんとまとまっていく。

紳士的に最悪な会話だ。


リチャードがニコニコと笑顔をふりかけてくる。


「いやー。まさかオーセンエンデたんが居るとはね。

 ハイネスブルグに居なかったから諦めてたんだよ。

 どこに居たんだい? ずっと探してたんだ」

「モテモテですね、オーセンエンデさん」

「絶望だわ」

「ふふふ・・・すぐに戻るよ。

 ん――!」


キスしようと顔を近づけてきた。



『どぅううううん』

世界が超スローになった。

自由な足で股間( リチャードさん)をクラッシャーしたのだ。



「お・・・がぁ・・・ががが・・・」

「ひ!? り、リチャードさん!!」



脂汗をだらだら流して胃液を吐きながらえづくリチャードさん。

粉挽き小屋の山賊親父が青ざめて駆けつけてくる。

周囲の山賊たちは大笑いしておひねりを投げつけてきた。



喧騒を尻目に行動を開始する。

世界が超スローで視点が俯瞰( ふかん)して見える。



オーセンエンデは全ての魔法を覚えてる。


左右の手それぞれで魔法を開始。

時間との勝負だ。最適と信じた行動を全力だ!


左手。

『念動《 サイキック》』 マナ消費 150/秒

ずっと機を見て探していた。

テーブルの上に無造作に置かれた手枷の鍵だ。

右手の魔法もあるので0.1秒ほどだけ使って弾き飛ばす。

というか同時発動した結果出力が1秒も持たなかったのだ。


頭上の鍵穴に直行ではなく

おひねりに紛れてぽーんっと放物線を描いて足元へ来た。


超スロー世界だと精密な動作ができる。

足先でキャッチ。

ぐるんと足を頭の上へ上げて鍵穴へin。



かちゃり



目を丸くしてるサーシャにウィンク。

鍵が開いて自由になった。



右手。

「『雷神剣』!」

自由になると同時に召喚魔法が発動完了。


頼れる剣、『雷神剣』だ。

丸腰から呼び出せる剣のありがたさよ。



まだリチャードは( うずく)まってる。

一気にリチャードの頭を叩き割った。








ーーーーーーーーーー


「ええ、俺たちはリチャードの野郎に無理やりですね」

「「「そうですそうです!

  すべてリチャードが悪いんです」」」



ほぼ街の住民の山賊たちが土下座整列した。


「ええ。良いのですよ。間違いは誰にでもあります。

 許しましょう」

「ミネア司祭・・・!」



リチャードの持ち金で借金が帳消しになったミネア司祭。

全てを許す聖母のようだ。


シスターサーシャも実に穏やかな顔だ。

隣に座ってビールを片手にご満悦だ。


「ええ。山賊なんていませんでした。

 この街のみなさんは良い人ばかりです」

「う、うん」

はたして山賊と街の表稼業をあっさり切り替える住民は良い人なのだろうか。



リチャードというクズプレイヤーが死んだ以外は皆幸せなのでなんともだ。



プレイヤーを殺してよかったのだろうか。

メインシナリオの進行とかどうなるのやら。

と不安がなくもない。



「それにしても真名魔法( セゴイ)を使う人って最近増えてるんですかねえ」

とシスターサーシャが気になる事を言った。



「増えてるの?」

「なんか少し前から増えてるみたいですよ。

 これも魔王子復活の影響でしょうかね」

「はー」



なんかプレイヤーは他にも居そうだ。

メインシナリオの進行は安心だ。

エロMODの不安は続行だ。



「いやー。リチャードさんは惜しかったですね。

 けっこう格好良かったのですが気持ち悪かったですね」

「そうですね。

 女の人を売り買いしなくても良さそうでしたね」

「オーセンエンデさん」

「はい」

「良い感じの殿方が居たら紹介よろしくお願いします」

「・・・探してみます。

 ちなみにどんな感じの人を?」

「そうですね!

 ペド野郎じゃない子供が好きな寛容な人がいいです!」

「ペド」

「孤児院をですね、やってると多いんですよ。

 子どもたちはヤサグレた子が多いのですけど

 女の子だけに優しい人とか」

「あー。まあ、そうでしょうね」

「・・・うちの暴力こそ全てを解決する教理って

 子どもたちにはとても評判良いのですが

 反面、弱い子の肩身がねえ」

「そりゃそうでしょうね」

「どうしたら良いと思います?」

「あの? あなたの教団って弱者救済とかないのですか?」

「お。おおお?

 どうやらうちの教団に興味がでましたね?

 入信どんと来いですよ?

 カモン、ミネア司祭! オーセンエンデさんが入信です!」

「真実に、真実に目覚めてくれたのですね!

 歓迎しましょう、オーセンエンデ!

 入信料は5万ゴールドです!」

「待て」



リチャードさんの死体を横目に宴会が三日三晩続いたのだった。


ーーーー


教会の差し押さえが解除された。


「いきますよー? あれ、おかしいなあ。

 お布施が足りないのかも?」

「ミネア司祭、息するように嘘つかないでください」

「し! サーシャ! 黙っててよ!」

「・・・ミネア司祭に問題があるのではなくて?」

「!?」


レベルアップの秘跡は効果なかった。

入信は断った。



そして決めた。

これから闇の女神へ会いに行く。

魔石を得る為に。





「さあ行きましょう! 私達の未来の為に!」

「なんかごめんなさいね。

 私も申し訳ないので付いていきます」

お馬さん破産したミネア司祭と達観したサーシャも一緒に。





スケベシーンを期待して開いた人には申し訳ありません。

胸の中に住むオーセンエンデたん(本体)の頑張りに今後ご期待ください。




気が向いたら続き書きます。

評価とブクマは喜びいきりたちます。

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