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『デコ眼鏡さんMPKご乱心』

10/18 デコ眼鏡さんの外見が142cmのロリになったので表現をいじりました。



「ぐがあああああああ!!!」

小屋がガンガン揺れる。



「どうしてこんな事に・・・」

直前に積み上げたフラグのおかげか。



「ああ、助けて・・・助けて・・・

 帰ったらサボってた聖堂の掃除をしますから・・・」

部屋の隅っこで頭を抱えて座り込んでる娘を見る。

デコ出し黒髪メガネ。大仰なだぶだぶの服。小柄なロリっこだ。



「出て行ってくれないかな?」

「鬼! 外で殺されろって言うの!?」

「私がとばっちりで殺されるのですけど!」



――災厄を連れてきた小娘は目当ての司祭だった。



さて街を探すかと出かけるタイミングで走ってきて

エリアボスの恐竜も連れてきた、という塩梅(あんばい)だ。

ティラノサウルスって感じのがド迫力で追ってきたね。



「あなた、沼の魔女でしょ!?

 アレは貴方のペットじゃないの!?

 躾け(しつけ)なさいよ!」


「知らない子ですね・・・。

 それよりそっちこそ司祭というなら

 神の加護でどうにかしないの?」


「やろうとしたわ! 毒矢と投げ槍で!」

「なるほど」



ぐおおおおおおお!!!



怒り狂うボスの攻勢に小屋が潰されそうだ。

レベル1の魔女にどうしろと。



「司祭さん、レベル上げお願いできる?」

「は?」

「・・・強さを上げる儀式みたいなのない?」


「ありますけど!

 レベルとか神学の専門用語とかわかりますけど!

 こんなボロ小屋じゃ神様の目が届かないわ!」


「ち、ゴミめ」

「!?」



うーん。

元のゲームでもタゲれてると建物に逃げても敵が追ってくるんだよね。

その場合は物理的に小屋が壊れそう。



「ね、ねえ?

 魔女の家なら結界とかで大丈夫なんでしょ?」


「そうだったら良いねえ」

「ねえ! 大丈夫だと言ってよ!

 安心させてよ! このアバズレ女!」


「すぐ外に出て行ってくれないかなあ!」

「あれ? 魔女ってビッチ呼ばりされると喜ぶんじゃ?」

「しらん」



ガジガジガジ・・・ぼき!


外壁が良い音だしてる。

気休めに壁の外へ『樹木召喚』を使ってみる。

これは3枚のお札的な魔法でささやかな藪を作って邪魔する魔法だ。


ぐわあああ??


びっくりしたのか攻撃が止まった。

なお30秒もすれば自然に藪は消える。



「魔法の品、なにを持ってる?」

「いやよ! これは私のものよ!」

「言ってる場合かな!」



確認。

・司祭のローブが回復魔法のマナ軽減とマナ回復速度上昇

・杖が悪霊退散( ターンアンデッド)

・ネックレスがマナの上限アップ

・回復ポーションx3



「――しょぼい」

「悪かったわね! きー!!」


なんというかレベル3~8ぐらいのキャラが持ってるような装備だ。



「ネックレスを貰うよ」

「え! 毎度あり! 3200ゴールドです!」

「お代はあなたの命の値段なんですけど?」

「鬼! 小屋から出て殺されろって言うの!?」

「言うよ」

「きー!」



強引にもらった。

魔法陣のあるテーブルに持っていってエンチャント解析をする。

「どうするんだっけ。うん、こうかな? よし。初めてだけど上手くいったぞ」

「よし! じゃないでしょ!? あああ!」



『魔力上昇』を解析!

解析されたネックレスが光になって消えた。




続いて引き出しから最上級の魔石をずらずらと取り出す。

これは小屋MODに最初から入ってた奴だ。

勿体ないが使うことにする。



踊り子衣装に『魔力上昇』を次々と付与していく。

全箇所に付与したおかげで随分とアップできた。

一箇所につき30ポイント上がって装飾品と装備の9箇所を漬け込む。


レベル上昇で例えると+27レベル相当にはマナだけ達する。

HP100 マナ100 →370 というとこだ。



「これで上級魔法が使える」

「あ・・・あ・・・」

「うまくいくか分からないけど」

「あなた馬鹿なの!? あ、あんな大きい、貴重な魔石を使うなんて!

 それに初めてとか言ったよね!? エンチャスキル低いなら最高級魔石と普通の魔石の差はほとんどないじゃない!」

「1箇所でマナアップが6ぐらいは違うよ?」

2割も違う。けっこう大きいよ!


「あなたの使った魔石、30万ゴールド分はあったわよ! 豪邸が建つわよ!」

「そんなに」



あれ? 

最高級魔石でも7~800ゴールドとかだったような。

今回使った分を高く見積もっても1万ゴールドってとこのはずでは?



「そのあたりの話は後に。詳しく聞きたいから」

「は、払わないわ! あなたが勝手に使ったんだから!」

「・・・」


物価の話とか常識のすり合わせをやりたいだけなんだけど。


下準備してから小屋が壊れるまえに外に出た。





ゲームに実装されてる全ての魔法を覚えている。


元ゲーム(バニラ)のあまり強力でない魔法と追加で入れたMODの強力な魔法だ。

強力、と言ってもバニラに比べたらというレベルでゲームバランスをぶち壊すほどでもない。


凶悪な敵追加MODの鬼難易度とちょうど良いぐらいのを選んで導入したのだ。

バニラの最上位魔法がMOD魔法だとレベル30ぐらいの魔法に相当するが

クリアレベル40以降も遊ぶ場合だとレベル相応の威力がある魔法が必要になるのだ。



そういうちょうど良さなので全魔法を覚えてるレベル1は無双できる強さではない。



というか術式を知っていても起動マナが足りない。

つまりエリアボスレベル60はレベル1状態だと話にならないところだ。


レベル60というのはマナ消費5~700を要求するような魔法でようやく戦えるのだ。



本来(元ゲー)ならば。



「右手に『雷神剣』、左手に『凍える渦』・・・」

魔力370で使えるベストを選択だ。


『雷神剣』はオーラソードの上位魔法でラスダンでも使える頼れる剣だ。

突き刺すと雷で敵に継続的なダメージを与え続け、さらに累積する。



これはボスのようなHPが高い敵には有効だ。



300ほどマナを消費する。

一度呼べば40分状態が維持されるので、その間マナを回復する。

非戦闘状態のせいか6~7分ほどで全快した。



『凍える渦』は唱え続けてる間、周囲の気温を下げる。

敵に凍傷でダメージを与える。

そして副次的な効果として空間を凍らせてスローにさせる。


使い勝手が良いようで悪いのは敵味方関係なしに巻き込むからだ。

今のマナ量なら40秒は連続で使える。

垂れ流しでなく要所要所で発動して自動回復と併せれば十分に使える。



回復や防御は、このレベル差だと意味がない。



「やるか」

準備を整えて扉から勢いよく出る。

走る。

白い踊り子衣装の飾り布が流れる。



ぐおおおおお!


ティラノが雄叫びを上げて突っ込んできた。

ダンプカーが突っ込んでくるみたいな迫力だ。


一瞬のための後、左から来る噛みつきを外側に避けて()わす。



ぐおおおお!



焦った。思った以上に早かった。


『凍える渦』のスロー効果と、カニパリィでみっちり練習した成果でかろうじて、ってところだ。

攻撃が目の前に来てからでは避けれない。

動作の起こりのなるだけ早い時から体を動かしてギリギリだ。



数秒前のを解説するとティラノが少し顎を引いたのを見た。

これが攻撃の起こりはじめだ。

即、左足をステップしつつ右足を引いて半身になる。

一瞬のためから0.5秒ほどで瞬時に迫りくる顎。


回避行動があと少し遅れていたらぱっくり喰われてた。


空振った巨大な顎が目の前に現れる。

左の掌をぴたっと貼り付ける。



ぐああああ!



『凍える渦』の左手があたった効果だ。

パキパキと鱗が凍っていく。

直当てすると冷気耐性があっても通る。

右手の剣で追撃はやめる。



しゃがむ。



返す形で二撃目が来た。

頭の上を巨大な顎が通り過ぎる。


顎に向かって右手の剣を下から突き刺す。

一旦『凍える渦』を切った左手を使って剣柄を押し込む。



『どぉおおおおんん』



世界が超スローになって重低音がした。

自分の姿、白い踊り子の美少女が見える。

他人事のような世界だ。



剣の根本まで突きこみ雷撃を存分に食らわせてから抜く。

続いて右に走り抜けて左手でティラノの体表を凍らせながら足元へ走っていく。



踏み潰しが来る。



転がりながら剣を振る。脚に良いダメージが入った。

雷神剣の紫電が走る。



「いける!」

思ったとおりだ。

元ゲーそのままではなく、別ACTが混じってる世界だ。

直感的に「勝てるんじゃね?」って思って戦ってみたらまともに勝負になってる。



それになんと言ってもこの体の反応が良い。

すごい身軽に動く。相手の動きも良く見えきってる。


まるでACTゲーのヒロインみたいに軽快だ。

レベル=強さの世界に別の世界が混じったみたいだ。



下を走り抜ける。

相手が振り向き居場所を探そうとしてる。



逆の足の甲に左手を当てて、曲芸じみた動きでぐるんと回る。

飾り布が流れる。


左手の『氷の渦』がティラノの足を釘刺しにして、右手の『雷神剣』はがっつりと足首を切り刻む。



ぐぎゃああああああ!



両足をズタボロにされたティラノは堪らず体を落としてきた。

外に逃げる。


走ってそのまま頭に向かった。

頭の位置が下がってる。

ティラノの鼻面に右手の『雷神剣』を思いっきり叩きつけた。



『どぅうううううんん!』

致命打が入った。




ぐぎゃあああああああおおおおおおお!!



2度目の致命打に加えて、氷と雷撃の上級魔法の効果が直当てで回ってる。

あとは切り刻むなり『氷の渦』で触り続けても良い。

詰みだ。



「ふーふー」

エリアボスが断念したようだ。

暴れるでもなく大人しくトドメを待っている。



獣ではなく人間みたいな目だ。

瞳に剣を持った白い姫君が映る。



その姫君の顔は旧知を憐れむ表情をしていた。



(――案外これまで仲良く暮らしていたのかも)

とどめを刺すのを躊躇った。



「・・・ねえ、君。うちの番犬にならない?」

交渉してみた。



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