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『烏のイスタ』




たわけ、と幼女が言った。



『100の星の宮の鍵』で真っ暗な祠に1人来てる。

長い糸玉(アリアドネリンク)』の光る糸玉を転がすと果たして、黒い髪の美しい幼女がそこに居た。



「そう気安く会いに来られるとまるで私が暇のようではないか? 地味に傷つくぞ?」



「次はお菓子を持ってきます」



「・・・。まあ良い。それで何を聞きたい?

 まさかミーティアの使徒の運命を変える手段とか言うであるまいな?」


「話が早くて助かります」


「イスタ、と言ったか。アレは夜明けにあの『蠢く者』に取られる契約だ。あの中で蠢く亡者の1つとして加わるのだ。馬鹿な娘だな。年に1日やりすごせば不死を得るという契約だが、ああいった手合は罠を一緒に仕込むものなのだよ」


「・・・」


「なんたってそうしないと自分が消えてしまうからな。アレも永遠ではないということだ」


「で、どうしましょう、謎の幼女様。アレの退治方法をご教授頂ければと来たのです」



「そうだな、謎の棒を握ってた男を魂に持つ娘よ。信徒のそなたと違ってあの(イスタ)は私には関わりない事だ。そもそもミーティアが本来どうにかすべきだろうに。決まった運命を書き換えるのは私ではなくあの娘の権能(けんのう)だ」


「ぐぬぬ」


「・・・行ってやれ」


「?」


「あの娘が最後に願っていただろう?『名を失った最初の王』の遺物を持ち出すことを。夜明け前に届けてやれ。私の提案はこれでおしまいだ。次は茶菓子を待つ。甘いのは好きだがくどすぎる甘さは好かぬ。紅茶も茶葉を複数楽しみたい。ああ、それと酒はいらぬぞ?」



「うけたまりました。が、本題の方をいま少し建設的な話をー」


「烏のイスタは夜明けにその人生を終える。これで確定だ。私は見た運命を伝えた。目玉をくり抜くか?」



謎の幼女、静寂の女神は立ち去った。



(・・・はー。緊張しました。でもやはりあの方は大変お優しい方ですね!)

うーん。迷宮へ行けって言われてもなあ。



(行けば何か判る事があるかもしれません)

なにがあるのやら。


(見るまで考えても仕方ない事というのが世の中にはありますよ? 慎重すぎて何もできなかったのは嫌です)


そうだね。時間はない。行って全力で考えるか。



オーセンエンデのAIは最適を選び全力で行動する。

先のことが判らないなら判らないなりに全力を尽くすのだ。





「オーセンエンデさん戻って来ないね」

「うん。仕方ないよ。でも私達はミーティアの使徒。こういう気に入らない運命は?」

「粉砕だー!」

「「yhhhhhaaa!!!」」


気炎を上げるロリっ子二人に目を丸くする烏のイスタ嬢。

「あの、サーシャ様、ミネア様。お気持ちはありがたいのですが、何をなさるつもりですか?」


「いつだって最後にものを言うのは圧倒的な暴力」

とミネア。


「そう、物理的な力よ。だいたいミーティアのしもべになりたい人って自身の運命を変える為に入信するのよ? イスタ、あなたが範を示さなくてどうするの?」

とサーシャ。


この二人は模範的なミーティアの使徒なのだ。

強引なドリブルでゴールまでぶちこむ。

時にはサッカーをラグビーにしてゴールに飛び込むのだ。



「そ、そう言われると弱いのですが」

まだ常識のあるイスタさん。大困惑。


「そしてここは州都メルゼブルクの大きな教会。退魔の品はいっぱいあるわ」

「あくまはぶっころしだー!」



教会の倉庫から大量のアイテムを持ち出しだー。

教会の人達もてんやわんやだ。



「戻ったよ! おや、いいかんじに準備してるね!」

「オーセンエンデさん! おかえり!」



オーセンエンデがガラス瓶を脇に抱えて帰還だ。

イスタのところへと歩く。

魔法の掛かったガラス瓶、そして一冊の鍵付きの古い日記帳を渡す。



「これは何のお土産でしょう?」

「あ、これね? 最初の統一王の墓地に寄って来たよ。これ貰ったの」

「! ありがとうございます、オーセンエンデさん。これで心残りはありません。最後の任務も果たせました」



ちょとと前の会議で統一王の墓地から遺物を持ち出して新たな王の権威付けに使いたいと話していたのだ。

会議終わって即持ち帰ってきた形となる。



「不死の守護者は無事通してくれたのですね」


「無事というか。その辺りの話は後で改めてするわ。今は混乱すると思うから」


「はい」


「うん。夜明け前に1つ、特別任務良いかな?」


「なんなりと。頑張りますよ、わたし? こう見えてもお強いので」


「ええ。じゃあミネア、サーシャも来て。作戦会議するよ。あのエセ死神をぶっころすよ」


「!?」


「「おおー!!!」」


「なにびっくりしてるの、イスタさん。あなたはミーティアの使徒さんでしょ?」










コケコッコー!!!!





「「「イスタ・・・イスタ・・・夜明け・・・夜明けがきたよ・・・」」」



ぬた・・・

  ぬた・・・



まっくらな、まっくらな教会の廊下を無数の亡者が蠢き集まる死神が歩いていく。

ザトウムシが這うようなぞわっとする歩き方だ。


黒いボロボロのローブに大きな骨の杖。骨の先には残った髪の毛で縛られたドクロが5つほど結びつけられてる。



暗い通路の奥には光る赤い目。

イスタの魔眼の光だ。



「「「かわいい、かわいいイスタ・・・。迎えにきたよ。イスタ・・・・。おまえさんの居場所はこれからずっとここだよ、イスタ・・・」」」



「死神! 最後くらい顔を見せてはどうだ!」

「「「ひひひ。ああ、そうだね。見せてあげようね。お前さんはこれから光を失うのだから」」」



死神がフードを外す。

無数の顔が死神から現れた。

それらの目は糸で縫い付けられてる。



真ん中の顔だけ目が赤く輝いている。


「「「ひ、ひ、ひ。イスタ。お前さんの目は綺麗だねえ。ずっと待ち望んでいたよ。ずいぶんと、ずいぶんと、長く今の目を使ってきた。新しい魔眼持ちの綺麗な、綺麗な、宝石、宝石の目。わしのわしらの、新しい目、まっていたまっていたまっていた・・・」」」

「手伝うよ、おばあさん」



「戦技 『戦乙女の風刃』!」



イスタが魔法の掛かった剣で死神の目をくり抜く!

死神が目を押さえて(うずくま)った。



「「「イスタぁ・・・このせっかちな、せっかちな娘・・・」」」



「ふん、捕まえてみろ」

「「「ああ、お仕置きしてやるさ、イスタ!」」」



イスタが死神の目をガラス瓶に閉じ込める。

蠢く死神が追ってくる。



目がなくても死神の嗅覚は鋭い。

問題なくイスタを追跡できる。


過去には異次元へ移動して逃げようとした者もいたのだ。

目をくり抜かれた程度でどうってことはない。

どうせイスタの綺麗な目を使うのだ。



「イスタ、こっち!」「OK!」

月の光の扉へ飛び込む。

死神も続く。



『100の星の宮の鍵』

星のある間、静寂の女神の祠がある場所へと移動できる魔法の品だ。



はたしてその祠の場所へと移動した。





「「「イスタァ・・・」」」



ぬた・・・

 ぬた・・・



まっくらだ、まっくらだ、まっくらだ。


だが見える、見える、光る糸が見える。


しっているしっているしっている、だれだれだれだれ、だれがそれをしっている?



無数の囁きが木霊となって響いていく。




男の声が響く。

「確かに約束の品は受け取った。ああ、可愛そうなワシのイスタ。こんなクズの為に長年光を失って」


「「「だれだ、だれだ、だれだ。わしのわしのかわいいイスタをイスタを、よぶよぶよぶ、おろかおろかおろかな奴はだれだれだれだれ」」」



「随分良い姿になったな、セーゲル!」

「「「だれだれだれだれだれ!」」」

「ワシの名も思い出せぬか、セーゲル。ワシは覚えていたぞ、400年もの間!」



大きな剣が死神を吹っ飛ばした!



「「「いたいいたいいたいいたいいたい!!」」」



「よし、魂が散ったぞ! 狩れ! 狩りつくせ!」

「「「かしこまり!!」」」

「あ。イスタはじっと待ってなさい」

「・・・あ、あの、私はたしかにイスタだけど、おじいちゃん?」

「待ってなさい」

「はい・・・」



「星の光よ、輝け! 『星剣の間』!」 マナ消費200だ。

オーセンエンデが最適な魔法を使う。



おお。このMOD魔法使ったのは初めてだな。

設置タイプの魔法で青い光が空間を包む奴だ。

自分と仲間(フォロワー)にHPとマナの自動回復のバフが掛かって敵のステータスを下げる魔法。40分持続だ。


光源系の魔法は設置型は撮影やら暗い場所でエロMODする時にしか使わなくて、エロMODにはこういう青い光だと使いづらいのよね。綺麗だけど。


移動しながら使えるやつだと迷宮探索で使えるから使いやすいのだけどね。


『雷神剣』も詠唱始め。マナが溜まる端から消えていくけどマナ回復がこの空間だと異様に早い。

すぐに呼び出せた。


たぶん『星剣の間』以外にも墓地っていうのが都合いいんだろうな、静寂の女神の恩寵的に。





「ははは! 礼をいうぞ、静寂の使徒(サイレンス)!お前が来る運命をずっと待っていたのだ!」

「は・・は・・・は・・・」



そう。

このお爺ちゃん騎士、――ミイラなのでお爺ちゃん騎士は統一王の迷宮の不死の守護者さんの1人なんだけど、ずっと私が来るのを待っていたらしい。



お仕えしていたお姫様、――名前はイスタ、の目をくり抜いて逃げた当時の宮廷魔道士への復讐をずっと待ち望んでいたそうなのだ。



長い糸玉(アリアドネリンク)』を使って統一王の迷宮に入った。

するとこの光る糸玉を不死の騎士が拾って話しかけてきた。


「お前は静寂の女神の使徒か? いやその光だともっと特別な恩寵、会話すらも許された身と見える。ではワシの予言の者か?」

とか言い始めて、とんとん拍子だったね。


「ぼーっとするな、静寂の使徒(サイレンス)

「は、はい」

ざしゅ、ざしゅざしゅ、と散らばった亡者を成仏させていく。



「うまく行くもんだねえ」

イスタがしみじみ。


「オーセンエンデさんは知恵者なのです」「あんしんなのです」

ミネアとサーシャからの信頼感がなんかすごい事になってる。

悪い気はしないね!



作戦。


星のある間にしか使えない『100の星の宮の鍵』を使うので夜明け前に行動開始。


教会の雄鶏の止まっていた竹の中にお湯入れたら朝と勘違いした雄鶏がコケコッコー。


イスタが死神の目を奪って誘導。祠へジャンプ。

祠は統一王の墓地内部にもあった。

さすがは死と運命の女神だよ。

そんで不死者にわたす。


あとは皆でこの無数の亡者が集まった死神を物理的に殺す。←イマココ


っていう寸法だ。

もともと聖なる墓地っていう地形効果も有利で守護者以外の亡者には都合が悪いらしい。ざくざく物理的に成仏してってる。



不死の騎士がだいぶ剥がれた『蠢く者』に攻撃つづけてた。



「「「わしがわしがわしがきえてきえてきえていくいく死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬのはいやだいやだいやだいやだ・・・」」」

「ワシがこの途方も無い年月、どんな想いで居たことか。お前もそんな体で生きてどうするつもりだったのだ、セーゲル」


「「「にくいにくいにくいにくいワシのワシの研究研究、不死不死不死・・・真名魔法(セゴイ)真名魔法(セゴイ)真名魔法(セゴイ)・・・」」」

「!」



「「「ふきとべふきとべふきとべふきとべ爆炎爆炎爆炎爆炎、きたれきたれきたれきたれ」」」



「まずい! 皆、にげろ! セーゲルの・・・!」


真ん中で戦っていた不死の騎士が吹き飛んだ。

真名魔法(セゴイ)』の発動で爆風が起こったのだ。



なにそれ、発動から攻撃開始ってMODによるチートか!?




『黒き太陽 白き月 我は望む 滅びを望む

 聞け 星に叫ぶ始祖の声を 波間に叫ぶ偉大な者の声を

 大地は陽のごとく赤く 天は黒く 海は乾く・・・』




周辺に散った亡者達もぎょっとして一斉に逃げ出す。

え? そういう系なの、君等? きみたち?



「だまれ、たわけもの」



光る糸玉が杖を大きく掲げた『蠢く者』に絡む。



「ここは墓地だ。静まれ亡者共」

やばい感じの魔法陣が糸玉にほぐれて消されていく。



黒い長い髪の謎の幼女が現れた!



ふふ・・・『力の王(パワーズ)』のバーゲンセールだな。

この幼女、暇なんだろうなあ。



「・・・」

謎の幼女にチョップされた。

なんか顔に出てたらしい。




「う・・・う・・・ワシの、ワシの体が・・・」

『蠢く者』のところに骨ばったミイラの男が1人居た。

目がくり抜かれた男だ。

たぶんセーゲルっていう魔道士だ。



「よいか、私はここに来なかった。いいな?」

糸玉が消える。謎の幼女も消える。手助けはここまでらしい。



ありがとうございます、謎の幼女様。

終わったらすぐ所望されたお菓子と紅茶、あとぬいぐるみとか買ってきます。

うちのティラノっぽい恐竜のヌイグルミが通りにあったんだ。

ちょっと面白かったから気になってた。いい機会だ。




「お前、お前が原因か! アルリアンデ!」

別人と間違えられてます!



「お前はこの手で殺してやる! 来い! 『死神の鎌』!」マナ消費 666



うわ、やばい感じの召喚武器!

あの! あの! それ魔王子(ラスボス)とかもオーバーキルする感じのじゃないことかしら?

そんなの王様とか公爵さんみたいに爆散しちゃうよ?



「死ね!! ワシをただの魔道士と思うな! 大勢の剣士達、英雄たちの知識も経験も得たのだ!!」



10m程ひとっとびで飛んで来た!!!

セーゲルが大鎌を大きく振る。



「オーセンエンデさん!!! 危ない!!! 避けて!!」


だれかの悲鳴。


超スローで時間が流れる。



『どぅうううんん』




左手に『凍える氷の渦』を発動と同時に横に振る。



大鎌が弾かれた。



「!?」

目を見開くセーゲルさん。



続くは右手の武器、先程から召喚して亡者達を相手していた『雷神剣』さん。



セーゲルを突き刺す。



   ずばーん!



致命打。



「あ・・・あ・・・ばかな・・・」



こうして死神退治は完了した。

あとはサーシャが塩撒いた。

ちょっと良い岩塩だ。



いやー。

攻撃弾き(パリィ)が決まって良かった。

あのジャンプに併せて勘でやってみたね。



(・・・あの? なんか凄い不安と安堵感があるのですけど、もしかして)



うん。あの死神の鎌がひょっとしたら攻撃弾き(パリィ)無効というか、こちらの『氷の渦』の手で弾けるか判んなかった。というか素手攻撃弾き(パリィ)は初めてだしね。

やー。よかったよかった! 振った後で左手が魔力の盾じゃなかった事を思い出したよ。重さがないとうっかりするもんだね。



(・・・そ、そうですね)

オーセンエンデさん本体がすごいドキドキしてた。

うん、終わった後だけど私もすごいドキドキしてるよ!



「「「すご」」」

「お見事、静寂の使徒(サイレンス)!」



「はー。Lv1でLv60の恐竜を倒しただの、古竜退治の立役者とか信じられなかったけど、信じるしかないわ、オーセンエンデ姫」

イスタも褒め称えてきた。



「うん。ところでイスタ良い?」

「はい」

「実はまだ終わってないんだよ、予言」

「・・・」

「『イスタは夜明けにその人生を終える』と謎の幼女様が言いました。この物語にケリを付けないと多分、よくない事が起きる」

「そっか・・・」



そう。

オーセンエンデさんとの作戦会議でも夜明け前に死神と戦うのは死神に『朝日が来たら終わり』という約束を破らせて自滅を誘うべきだ、って話になったのだ。


まさか謎の幼女様、つまり静寂の女神様まで来るとは思わなかったけど。



「朝日が来たらイスタの人生はここで一度終えるよ。そうしないと運命のうねりが後々良くないから」

「運命と死の静寂の女神の使徒が言うならそうだろうね。・・・途中で来たあの輝く光、あれ女神様なんでしょ?オーセンエンデさんは本当に『力の王(パワーズ)』の恩寵が強いんだね」

「オーセンエンデさん、ここまでしてイスタは駄目なの?」

「うん。ちょっとお外に戻ろうね。朝日が来たら『100の星の宮の鍵』が使えなくなるから」



こうして一同はメルゼの教会へと戻ったのだった。


「イスタさん。

 じゃ、特別任務お願いね」










「わたし、こんなめんどくさいお姫様任務は聞いてないのですけど?」


「そんなめんどくさいお姫様任務を押し付けようとした罰です。でも満喫してませんか、お姫様生活?」


「・・・するな、っていうのが無理でしょ?」


「おお、我が姫。美しうございます。じいは嬉しいですぞ」


「この爺さんも一緒に居るのが謎なんですけど?」


「いや良いでしょ。不死の騎士だよ? すごい腕前だし」


「ふむ、姫? ワシ、臭う?」


「お線香の臭いしかしないよ!」 



どたどたどたとドレスを持ったメイドさん達がなだれ込んできた。


「ひめさまー! つぎこれ着ましょ! 着ましょ! きゃーきゃー!」


メイドさんが代わる代わるきゃーきゃーしてる。






イスタは美少女なので着せ替えがすごく楽しそうだ。




「うう。私なんかよりサーシャ様がやれば良いのに・・・!」


「だめよ、イスタ。お姫様の夢を叶えてあげなきゃね?」






最初の王の失われたお姫様の夢。

それをイスタが叶えていくのが名前を引き継ぐ条件だ。

白い鍵の日記帳の持ち主、不死の爺さん騎士のロースレイが仕えた姫君イスタの夢だ。



そう、烏のイスタは夜明けに死んだのだ。

これからは姫、神聖イスタ帝国の初代姫王(※クイーンではなくプリンセスキングっていうらしい)の人生が始まる。

神聖ミーティア帝国は幼い姫君の日記を尊重して神聖イスタ帝国となるのだ。


魔眼持ちのイスタはこのイスタ姫と同じ血統らしい。

ロースレイによると瓜二つだとか。



オーセンエンデとしても面倒な案件がうまく処理できてバンザイだ。



なんか事態に釈然としないイスタが憮然としてる。

イスタ姫は青いショートカットの可愛らしい美少女だ。

王と公爵を失ったこの王国の混乱も教会のプランどおりにうまくまとまるだろう。




それにミーティア教団の本部でも結構なファンが居たらしくて大盛りあがり、プランナーさん達も可愛い娘の晴れ姿に上機嫌だ。



「わたし、姫様になったら戦場とかに行けないのですけど?」

「普通は喜ぶものよ、イスタ」

「うう。サーシャ様、変わって。わたし、無理ですよぅ。こんな山だしの田舎娘なのに、お姫様なんて」

「はい! ミネアが替わります!! うん、そうしましょう、イスタさん! すぐ替わりましょう! わたしもいっぱいお姫様したい!!」

「え、ミネア様、変わってくれるの! やった! 替わる替わる! 書類! 書類作るからサイン! サインをお願いします!!!」

「出来るわけないでしょ、イスタ。何ミネアレベルの知能になってるの」

「うう・・・そんなあ・・・」

「ぶー。サーシャ、最近わたしに当たりがつよない?」

「そうかなあ」

「・・・は!? そういえばサーシャはこうだったわ! むきー!!」


サーシャとミネアが取っ組み合いを始めた。

不死の騎士のロースレイさんが慈しむ目だ。


(かわいい。みんなかわいい)

胸の中のオーセンエンデさんも上機嫌だ。




「あ、そうだ! イスタ、これ。冬の花を見つけたの!きっと女神様からの贈り物よ!」

「あ、ほんとだ。冬に咲く珍しい花!」



ミネアが花かんむりをイスタに着付ける。

イスタがはにかむ。



「うん。プリンセスクラウンはこれで良いかな。ほんとに女神様からの贈り物みたい」




(うん。大団円ですね)


胸の中のオーセンエンデさんが嬉しそうに呟いた。



州都メルゼが神聖イスタ帝国の首都となり、新しい歴史が(つづ)られていく。






<3章 終わり>




誤字が幾つかあったので慌てて修正だ! イスタがイスカとかになってた。てへ。おのれグーグルimeだよ。




ーーーーーーーーーーー



なんとか3章着地しました!


うん。ミネアさんがドラゴンパレードでいきなり王様を木っ端微塵にした時はど、どうするの!?これ!? あの子なんてことしてるの!?

ってなったよ!


・・・いや2章終わった後にね。章の区切りつけた方がええねえ、ってなってじゃあ3章の出だしだけ仮置きしとこうか、って置いたら王様が大変な事になってた。


なんとかなるもんだね、王様が爆散しても。

最終的にイスタさんのとこに落ち着くまでは色んなプロット案が出て、公爵さんが木っ端微塵になった後にようやく着地が見つかったとかどーとか。

 



ブクマや評価とかは喜びます!


気まぐれ更新なのでブクマとかしてると嬉しいです。

サイトの方で気まぐれ絵とかの更新してるかもしれません。

どんどんぱふー

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