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『死の囁き《ダークウィスパー》』

1章はじめに登場人物紹介、そしてよーやくオーセンエンデさんの絵を描いて投稿しました。

キャラデザが想像したイメージと違って違和感ありすぎたらごめんね。

 でも頑張って描いたから愛でてやってね、オーセンエンデさん可愛いよ!って。




ぽよーん ぽよーん とロリっ子ふたりが白踊り子オーセンエンデのお乳に戯れる。


黒ローブの青い髪の美少女がホットチョコを手に話を続けてる。



「そーですか。お国の再興もできて良い話だと思ったのですが。これ以上のカードはこちらにはありませんね。考えなおしませんか?秒で断られるのは流石に心外です」


「なぜ私にそんな話を持ってきたのです?」


「都合が良かったのです。


 ひとーつ。最初の統一王の高貴な血筋。これ必須。

 ふたーつ。めんどくさい取り巻きがいない。

 みーっつ。そんな方が偶然そこに居た。

 よーっつ。しかも飛び抜けて綺麗な子。ここの国民も大満足です。

 いつつ。『力の王(パワーズ)』の特別な恩寵持ち。だれも王家の血筋に疑問を持たない、王家でもレアな存在。



とても理屈が通ってません?

背景を掘れば掘るほど『あ、このひとしかおらんわ』ってなりましたよ?

Lv60の化け物をペットにしてるとか馬鹿な話も。


そう。これから混乱するこの国を1つにまとめて魔王子に対抗できる素敵なお姫様の登場演出、我が教会のプランナーがすごい張り切ってます」



「見切り発車で動いてる・・・」


「ええ。早いほうがいいですからね。

 無理というなら仕方ないです。代わりの心当たりがいればご紹介ください。妹さんとかいません?」



だそうですが、どうですオーセンエンデさん?

(妹はここの二人だけです。一人っ子です)


そっかー。


「心当たりはちょっと無いです。でも最初の統一王の血筋はそんなに珍しい物でもないでしょう。そこそこな貴族なら入ってるはずです」


力の王(パワーズ)の加護持ってる王家の方はそんなにポンポン居ないですよ。

・・・うーん。どうでしょう?とりあえず統一王の墓地から何か王家ゆかりの魔法の品を持ってきてくれません?」


「墓荒らし」


「子孫の役に立つのです。喜ぶでしょう。

 その品の権威を使って誰か良さげな人を代理にしましょう。

報酬は教会に掛け合って弾みますよ? 最初にあげた統一王の血筋が必須、としたのはお墓から呪いなく遺物持ち出しをする為です。

加護は魔眼持ちじゃないとわかりませんが、誰もが目で見る品はパレードで皆に見せる事ができますから」


国民大満足、忠誠度上昇効果極大ってね。



はい!とミネアが手をあげた。


「オーセンエンデさんが迷宮に行くなら一緒に行きたいです」

「行きたいです!」


「謹慎です。

だめです。

あなた方が一緒だったら、うっかりお墓崩壊、すごい王家の呪いで関係者全員悶死とかありそうです」

「「チッ!」」


ミネアが残念と天井を仰いだ。

「あー。ほしかったな。いっぱい宝箱とかあっただろうな」

「待機です」



うん。ただしい判断だったね・・・。



「で、どうでしょう?」

「その。私は思うのです。

 わたしではなく、新たに王になる予定の方が遺物を取りに行く方が丸く収まりませんか?」

「そんな命知らずの王家の方、目下大募集中です」

「・・・はい?」

「不死の守護者が墓荒らしを成敗してくれます。貴方なら『力の王(パワーズ)』の恩寵もあるので戦わなくて済むかも? です」

「かも?」

「いやー。こればっかりは行ってみないとわかんないです」

「・・・ミーティア教団の人達って、なんというか、その運命へぶちかまし勝負するの好きですね」

「ふろんてぃあすぴりっと、って奴です」

「他宗派を巻き込まないで・・・!」



それで何か別の候補者が見つかったら、手伝うのはどうでしょう?っていう話でまとまった。



協力したら色んな足りなかった魔法の品を融通してくれるだとかで折れた。




魔石と、ほうぼうで探したけど見当たらなかった鍛冶と錬金の上昇エンチャ付き装備をくれるって言うから・・・。



さいきょうをつくれる。目指せちゃう。



夜も遅いし、お開きで寝室へ移動しよう、と部屋を出た時に事件は起こった。




ああ、真名魔法(セゴイ)の使い手ってホント、手に負えない。





「! ごめん!」

「!?」



さあ寝室へとロリっ子を二人両手に装備して廊下に出たら烏のイスタに突き飛ばされた。



『死があなたに忍び寄る。

 骨は脆く、肉は硬く。血は黒く。

 誰も逃れる事はできない』



ぶぉん



衝撃波が通り過ぎてった。



「っ! これは『真名魔法(セゴイ)』!?」

烏のイスタがまともに喰らったみたいだ。



廊下の奥に誰か居る。



「チッ。4コンボ失敗か。だが・・・」

低い男の声。



「戦技『疾風舞踏(ウィンドダンス)』!」

一気に距離を詰めてイスタに剣を突く。

イスタは咄嗟に短剣を出してそれをガード。




「く! 体が!」

「ふむ。すごいね、君。『死の囁き(ダークウィスパー)』をまともに喰らって動けるの。Lvはひょっとしたら50とか超えてなかった? 短剣でこの腕前だし、まともに戦ったら僕負けてたかもね。さてもう一回」



『死があなたに忍び寄る。

 骨は脆く、肉は硬く。血は黒く。

 誰も逃れる事はできない』



真名魔法『死の囁き(ダークウィスパー)』の重ねがけだ!



「いいでしょ? これクールタイムが30秒しかないんだよ。そして相手のステータスを強制的に下げていって、最終的には消失さ。ドラゴンにも効くんだよ?公式チートさ」




真名魔法(セゴイ)にこのゲーム的発言。

こいつ主人公(プレイヤー)だ!


私、ミネアとサーシャも加勢へと動きだす。





「そしてばいばい。『幽幻門(アストラルゲート)』!」



消えた!ずるい!まずい!

あいつ、『幽幻門(アストラルゲート)』と『死の囁き(ダークウィスパー)』でこっち4人まとめてハメ殺すつもりか!





「・・・『魔眼』」

烏のイスタさんの目が赤く光る。

知らない能力だ。




「いまだ! 戦技『戦乙女の一閃』!」



一陣の風。



どーん。



ぐしゃ。




「・・・あ? おい、嘘だろ?」

「なにが嘘か本当かは私が決める。お前は『死』だ!」




遠くの突き当りまで移動してて壁に男を押したてて短剣で心臓を貫いてた。



・・・。



いやー、烏の子ってそういえば戦女神(ミーティア)の直属って最初に自己紹介してたねえ。うん。




「「「すご」」」



としか言えなかったね。

ミネアとサーシャも目を白黒させてる。

みんな蚊帳の外だったね。


はー。『幽幻門(アストラルゲート)』って便利な魔法だけど次元に潜ってから元に出た瞬間は自分も位置とか感覚が狂ってるのよね。それで一瞬の隙が出るんだ。気をつけよう。


なんか格ゲの硬直に超必入れるみたいな綺麗な動きだったわ。





「イスタ、大丈夫?」

「サーシャさま、まだです!」




壁の男が叫んだ。

「惚れた!! お互い生きていたらまた会おう!!」

やつはまだ生きてた!


ステータス低下と短剣でダメージ足りなかったとか、装備がよいとかあれか!




『死があなたに忍び寄る。

 骨は脆く、肉は硬く。血は黒く。

 誰も逃れる事はできない』



「!」


最後の悪あがき。

3度目の『死の囁き(ダークウィスパー)』をかけて男はイスタを蹴飛ばして拘束を解く。



窓を割って飛び込む。



「『落葉の魔法陣』!」 マナ消費90

飛び込みながら男が落下予定地へ魔法を使う。


「『突風』!」 マナ消費 45

そしてオーセンエンデが魔法で男の体を突風で押してサポートだ。



「え? ちょ? お、おあああああああああああ――!!!」



ぐしゃ



って音した。



死んだ。




格好良いとこ、ごめんね。

主人公(プレイヤー)はみつけ次第、全殺ししておかないと不安しかないし。


オーセンエンデは呪文書がある全ての魔法を覚えている。

そして全ての魔法と行動選択肢から最適を選ぶAIを持ってる。

ゲームではポンコツだったけど、今は頼もしいね!


相手が魔法を発動した途端に心の内のオーセンエンデさんが的確に相手の魔法の正体を判断、そして対案を提案。

良い感じの案、採用。

そしたらあとは体担当のおっさん魂は全力実行だ。



『落葉の魔法陣』は落下ダメージを0にするMOD系の便利魔法。

地面にクッションをつくるの。

探索ですごい便利な魔法でMOD魔法導入してるプレイヤーはよくお世話になるんだ。

魔法さえ発動できれば谷底に落ちてもノーダメなの。



欠点がひとつだけあって、落下予定地の魔法陣から外れると普通に落下ダメージもらっちゃうのね。



落下ダメージはかなり大きくてLvカンストのキャラでもわりとあっさり死ぬの。



この教会の五階で下は石畳だし仕方ないね。

『突風』で落下予定地から思いっきりずらしちゃった。

元々大ダメージ喰らってたし、ありゃ無理だね。





ごめんね。

高校生ぐらいだったのかな?

あのかっこよさ溢れる言動。

だれにもそういう時期ってあるよね。




きっちり死んだのは確定なので安心して欲しい。


この後、教会の人がこの騒ぎに起きて確認してくれた。



「暗殺者、死亡確認!」って叫んでくれたからね。




さよなら、名もなき主人公(プレイヤー)さん。







「イスタ、大丈夫?」

烏の子の確認だ。


ミネアとサーシャと一緒に烏の子に駆け寄る。



ゲームだと『死の囁き(ダークウィスパー)』って便利な真名魔法で、時折仲間まで巻き込んで厄介だったけど、この世界だとどういう感じか判らない。




「はぁー はぁー はぁー」

息が荒い。



『治癒』を3人で掛ける。



「大丈夫、でーす。私はここで死ぬ『運命』ではありません」


大丈夫じゃない人ほど大丈夫っていう感じの受け答えだ。




死の囁き(ダークウィスパー)』ってなんだったっけ。

ステ低下以外にも、ゲーム的にもまずいバグが入った真名魔法だった記憶が・・・。




「「「「「ひひひ・・・。イスタ。残念だったねえ」」」」




背後から男とも女とも、老人とも子供とも取れる、多重に混じった1つの声がした。

ぬたぬた、っていう嫌な空気だ。



「振り返るな!! それは私の『死』だ!」

イスタちゃん、まじシリアス。



みんなビクンってなって固まったね。



「「「「ひひひ。イスタ。心配しなくてもワシはお前さんだけのものさね。ただ、よくないねえ。そう、よくないねえ。真名魔法(セゴイ)を沢山あびたのは良くないねえ」」」」」



「・・・」

みんな黙って背後からの謎の声を聞く。



あー、これなんだろうねえ。また『力の王(パワーズ)』関係なのかな。バーゲンセールだね。


(・・・おそらく、違う、と思います。ただ、とても良くないモノだとは思います)

心のオーセンエンデさんも困惑だ。




「薄紫の月の23。私の『死』はそれだ。なぜ今来た?」


「「「「違うね。たった今変わったのさ。緋色の月の21だよ。朝日が来たら終わりだよ」」」」


「! 真名魔法(セゴイ)・・・」


「「「「察しがいいねえ、イスタ。その賢さが好きだよ。真名魔法(セゴイ)で運命がずれたのさ。だがワシはお前さんと契約したのは確かに『緋色の月の21』だったのだからね。だから契約を忘れてくれるな。お前は真名を私に渡して、仮初(かりそめ)の不死を得ていたのだ。女神の元ではなく私の元へ来る事を忘れてくれるな」」」」



「・・・契約は契約だ。見くびって念を押してくれるな」



「「「「ひひひ。そうかい。そうかい。それは悪かったねえ。

 そこのお前さん達! わたしがこれを聞かせるのはね、次はそこのお前さん方の助けになれるからと思うからだよ?どうしようもない事態になったら思い出しておくれ」」」」



背後の良くないモノがすーっと消えた。



ふー、と安堵の息がだれともなく出る。

緊張した。



「イスタ、今の話ほんとう?」

「申し訳ありません、サーシャ様。・・・以前、どうしようもない状態になった時にアレと契約をしてしまったのです」



「オーセンエンデさん・・・」

ミネアがうちしがれた瞳で見てる。サーシャも見てる。





「少し1人にして頂けるかな? イスタさんを守ってて」

「「はい!」」





『100の星の宮の鍵』を取り出した。

会ってくれると良いけど。




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