『そのお胸は邪教徒の証』
刺客が来てた。
夕食とシュークリーム祭りが終わって残党を持って会議、と校長部屋に戻ったら居たみたい。
烏隊の伝令の女の子、黒いローブの死神っぽい格好の青髪ショートカットの綺麗な子が先に入ってね。
「悪い時に来たようだな、あんさつしゃ」
とか言うが早いか、部屋の隅に隠れてた刺客の人を逆エビ固めしちゃった。
「お”お”お”!!」
それで女の子にエビ固めされてた刺客の背の高い男の人から音がね。
めきめき・・・
って。
わぁ・・・。逆エビでそんな背骨がきしむ音、初めて聞いちゃった。
「あ、あの? 烏の子?」
「イスタです。名乗りませんでしたっけ? あ、烏の子だけでずっと通してましたね、オーセンエンデさん」
「すいません。・・・イスタさん?
刺客の方からせめて名前とか聞いたり情報を吐かせるとかしないのです? その方死んじゃいますよ?」
「大丈夫です!この刺客、ほんと間が悪いですね!
静寂の女神の司祭が居るこの場にのこのこ来るなんて!」
「!?」
刺客の方がなんかこっち見てる。
静寂の女神の司祭とか言われてます、オーセンエンデさん(本体)、そこのとこどうですか?
(司祭ではありません。ただ、特別な恩寵を頂いていた『闇乙女の寵姫』ではあります。あの方は怒ってるでしょうが)
怒ってたかなー。
たぶん、あの幼女だよねえ、女神。なんかおっさん魂わかっちゃった。
そして烏のイスタさん、なんか凄いこと言い出した。
「すぐ死体にしますから! そちらの宗派ならではの魔法、『死体使役』で全部情報もらいましょう!」
「そ、そんな卑劣でド外道な!!?? うん。できますね。『死体使役』の技使えます。なんならもっと上級のも」
「!!???」
おっさん魂、みなに邪教徒って言われたの、すこしわかっちゃった。
少しずつわかっちゃった案件が増えてくね!
そっかー。ゲームと違って宗派限定魔法あるのね。
死体を操る系の魔法、効果終わったら死体が骨も残さず全部灰になるんだよねえ。再利用防止で。
(・・・昔、疫病が流行った時に司祭と信徒が有無を言わせず灰にしていって大問題になった事があります)
あー。山狩りされた時いわれた『糸玉狩り』はそれが原因かー。なぞが解けちゃった。
ここの世界、土葬中心だから大問題だよね。
「ぎぶあーっぷ! ぎぶあーっぷ!!! ぜんぶ、ぜんぶ言います――!」
刺客の男の人、すごい勢いで床を叩きはじめたよ。
うん。許してあげようね。
◇
公爵さん派閥の方から放たれたLv29の凄腕暗殺者だったらしい。
なんか『幻腕のなんとか』とか格好良い二つ名付きで言ってた。
腕を切り落として本当に幻にしちゃおうか、とか烏のイスタちゃんが無駄に脅しかけてた。
きっとストレス溜まってるんやね。お仕事大変そうだね。
刺客のかわいそうな人はドナドナされて教会の地下牢へ。
懺悔室っていうんだって。まっくろい教会だね。
「さて邪魔が入りましたが本題でーす」
「はい」
「サーシャ様達二人はここで謹慎待機です。余計な火種をこれ以上増やさないで頂きたい、って教会の本部からのお達しです」
「ミネア、判ってる? あなたのおかげで私の評価までもだだ下がりよ?」
「さーしゃ。わたしはかなしいです。みんながいじめます」
「あ! ご、ごめんね!ミネアはがんばってるよね!
ほら、オーセンエンデさんのお胸に顔埋めていいから」
「・・・」
(埋めてあげてください)
「ほら、こっち来て」
「「えへへ・・・」」
なんかロリっ子二人来た。
横にぴったりくっついておっぱいに左右からおでこで頭突きしてる。
ぽよんぽよんが楽しいらしい。
(かわいい)
オーセンエンデさん本体はご満悦だ。
「うちの子達をたぶらかさないでくれます? そのお胸は邪教徒の証ですよ?」
「すごいセクハラ・・・」
「失礼。心の声が漏れました。さてオーセンエンデ姫。
西の港エルダのお姫様。
最初の統一王『名前を失った偉大な王』の高貴な血筋の方。
この国で『神聖ミーティア帝国』の初代女帝やりませんか?
我が教会は全力でバックアップしちゃいますよ?
カムバックお姫様生活ですよ?さらに改宗乗り換え特典も盛り沢山ですよ!」
なんか凄い提案されてる気がする。
(されてますよ!)
秒で断った。
オーセンエンデさんが存在する全理由がエロMOD接待用NPCだったという事。
そんな女帝なんて全世界へ知れ渡る恐怖感を忘れないで頂きたい。
主人公さん達の良識を信じてはいけない。
そうだね、リチャードさんにポロロンさん?




