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『はじまり』

『序』


「・・・それをやったら魂が交じるかもしれんよ?」

「本来なら終わっていた命です。

 復讐が成るのなら安いことだわ」

「オーセンエンデたんにおっさんの魂が混じるのは

 我にとって耐え難い」


「私に見せて貰った未来より無残な事はあって?」

「おっさんが混じるよりは良いだろう」

「私はそうは思わないわ。あんな、未来・・・」


「強情者め。仕方ない。

 未来を見せたのは我の手落ちだ。

 解っていたのだ。お前が嫌がることを」

「あなたはすごい嬉しそうでしたね」


抗え( あらがえ)たい欲求だ。

 おっさんは選ばせてもらうよ」

「うん。

 ――出来れば家族が悲しまない人で」

「ははは。惜しまれるおっさんにするさ」

「~~」

「良い顔だ」



   暗い部屋。

   壁にロウソクの炎で照らされた影が踊る。

   うねうねした影が娘に絡む。



「事は成った。

 これで術理の外を歩むであろう」

「ありがとう」

「それゆえに我も未来がどうなるか見通しできぬ」

「望むとこ。

 意識が遠くなってきた。お別れね。ありがとう」


「しばらくお休み。我の可愛いオーセンエンデ」










『真夜中の来訪者』




金縛り中に目を開けたらマネキンにレイプされてた。





目を閉じてから目を開く。



くるみ割り人形のようなマネキンにレイプされてた。



「!?」



ヤバイ。落ち着いて天井のシミを数えるんだ・・・。

違う、そうじゃない。

今の状況が何かを冷静に・・・。


「フンスーフンスー」

緑の苔が生えた等身大の人形みたいなのが

股の間に入って腰振っとる。


「なんだ、これ」

・・・。

色々あってパニックになってる。


「・・・」

腰振ってるマネキンの股間がつるつるだった。



九死に一生を得た。突起物はなかった。

セーフ! セーフです!



気分に余裕が出てきた。

マネキンに腰を振らせたまま状況を確認する。



「胸、あるなあ・・・」

ゆさゆさと豪快に揺れてる胸。声は女の子ボイス。

踊り子っぽい白い衣装。

乳房がこぼれそうでこぼれないギリギリで揺れてる。



「部屋は、どこだろう。うちじゃないなあ」

天幕付きのでかいベッドで寝ている。

部屋は薄暗く、壁一面の窓からは月明かり。

ごちゃごちゃとした部屋でそれほど広くはない。



これは夢だ。覚醒夢って奴だ。

脳が作り出したリアルな夢って奴だ。


いい歳したおっさんが女体化してのっけから

レイプされかけてる夢を見てるのはまずい。



「・・・ねえ、君、そろそろどいてくれない?」

「フンスーフンスー」


マネキンは言葉が通じない。

よく見ると手足がなく胴体と頭だけの人形だ。

服屋にある衣装マネキンってやつだ。



「フンスぅ・・・」


マネキンが満足したのか部屋の片隅に移動していった。

股間がツルツルで助かった。




「体、動くな」

金縛りが解けた。

とりあえず胸を揉む。



「お。おおおおお・・・」


でかい上に弾力と手触りがすごい。

温かいマシュマロに近い。これはすごい。

覚醒夢すごい。



「肌質すげえなあ」

実際のところ女の子の肌質は男とそんなに変わらない。

だが稀にすごい肌の娘がいる。雪白のもち肌。

それになった。



「顔はどんなんだ」

姿見の鏡で全身を見たい。



部屋をざっと見渡す。

木造の部屋。本棚と薬やらが入った棚がある1面。

残る3面は窓があってテーブルに色々な物が載ってる。

姿見の鏡は置いてないようだ。



扉は1つ。



開けてみた。

外だ。冷たい空気が流れ込む。


「わ・・・」

ここは湖のコテージかなにからしい。


扉の外はテラスで、そのさきは霧がかった湖が広がってる。

雪もちらほら降ってる。

我が夢ながらすごい臨場感だ。



「寒い」

半裸に近い踊り子衣装だ。部屋に引っ込む。



「ああ、それより鏡だ。鏡」

部屋を改めて探すとベッドの枕元に鏡がついてた。

覗いてみる。

 


「ん」

金髪セミロングボブ。

美少女、って感じの美少女だ。

青い瞳が印象的な美少女だ。



夢だからかすんなりと受け入れる。

それからまた部屋を見渡して、マネキンに目を止めた。

外に出して湖に放り込んだ。



「さて夢から覚める前にどう楽しむか」


Q おっさんが美少女になりました。なにをしますか?

A ナニをします。


そんな問答を思い出した。

ベッドに戻る。

いろいろと確認をした。


(~~~~!!!!)

なにか後ろからポカポカ叩かれた気がするが。

いっぱい女の子確認した。





『後悔、後に立つ』


ーーーーーーー



「面白い夢みたなあ」

翌朝。起きた。



おっぱいが胸についてた。真顔になった。



「お・・・お・・・?」


おぱいー!


思わずほっぺをつねる。



「・・・」

これは何か。

実はおっさんだったのが夢だったのではないか。



「そう、私は美しい。そしてかわいい」

ポーズを決めて現実逃避をする。



水差しから水を飲み落ち着いた。



改めて昼の光で部屋を見る。


棚には瓶詰めの生薬。

それにフラスコとか試験管。

怪しげな文様のついた大鍋。

魔法陣のついた作業台。

本棚にはずらりと魔術書。



魔女の部屋って感じの部屋だ。



本を手にとってパラパラと読んでみる。

見たことない文字だ。

なのに内容を理解していく。

たぶん、これはやはり夢なのだろう。



本棚の本を全部頭の中に収めた。

魔法が使える気がする。




「んー。試してみるか」


外のテラスに出る。



「寒い」

雪が肌寒い。

即部屋に戻って毛布をひったくり被ってから外に出る。

毛布を貫通する寒さで手がかじかむ。



湖にぷかぷかとマネキンが浮かんでる。



「あれで良いか」

使える気がする魔法を使ってみる。



「『炎』」

人差し指を向けて念じる。

血が熱くなって指先に集まる。

腕から指先に向かって内側から光って骨が透ける。



ごおおおおおお



「ぎゃー」

マネキンが悲鳴をあげて燃えた。

10秒ぐらい継続してみた。まっ黒焦げになった。



「あまり火力がないのかな」

使った魔法は最下級の魔法だった。

もっと火力のある魔法をと力を込めた。



腕が光る。光り続ける。

力が吸われていくのに光るだけで何も起こらない。



(――体の力、マナは100)

と心の内側から呟かれた。なるほど100か。

今試した術式の『火球』は250だな。

足りない。




「ゲームみたいだな。ん?」

突然思い当たった。

これ昔ハマってた世界的人気ゲームだ。



ユーザーMODが盛んで本職のR18ゲーム顔負けのエロMODで遊べる奴。

MODというのはゲームを拡張するデータファイルだ。

対人のあるオンゲーと違ってオフゲーはこの辺が緩い。

元のゲームだけでも十分遊べるが、MODにハマると無限に時間が吸われていく程遊べるのだ。



この乳尻ばーんな体型とかそんな感じのわがままボディだ。MODボディはそういうことする。



今いる小屋(コテージ)も確かMODで入れた気がする。

なんだったかな。



ともあれ心当たりがあるということは

ゲームの世界で今の体はセーブデータの奴か。




部屋に戻って鏡をもう一度まじまじと見た。



「ん。確かにこの顔は見覚えがあるな」


憂いを帯びた青い瞳。

じっと黙っているとお姫様のように美しく可愛い。

エキゾチックな白い踊り子衣装。

清楚系エロという感がある。



目が覚めるまでは夢を楽しむべきだ。

そう、よくできたVRゲームだと思えば良い。



「たしかMODのだと、ここは辺境だったか」

本来のゲームだと終盤ぐらいの場所だ。



ゲーム難易度はプレイヤーのレベルに応じて

敵レベルが変動するので問題ではない。



「・・・ヌルゲーすぎて凶悪なMODをばんばん入れたな」


レベル固定のユニーク敵が各地にでたり、

ランダムで強化ドラゴン出たりするMODだ。



「ああ、そういえばエロMODで寝てる時に襲われるのがあったな」

・・・。



やばい。



エロMODは危険なMOD。


たとえば睡眠時に同室のNPCが興奮すると襲ってくる。

そう、昨晩のマネキンのように。

適当にMODをいれるとそういうことがある。




やばい。


なにがまずいというと、3%ぐらいの確率で

自宅でも狼にレイプされるイベントが発生する。



6割。



治安の悪い都市の宿屋でならず者に襲われる確率だ。

これは睡眠を取ると1時間毎に判定される。

8時間睡眠だとほぼ確定だ。




「過去のおっさんの俺――!!」

なじった。絶望的になじった。



「い、いや。自宅襲撃は0にしたはず・・・」

自宅襲撃はゲームが進まなすぎて設定を変更したはずだ。


MODの環境一新をすると一週間ぐらい時間を進める必要がある。

中断されまくるのでオフにしたはずだ。



「・・・マネキンがなあ」

襲撃するのはモンスター以外にNPCもいる。

内部データ的にNPCのマネキンが襲ってきたということは

モンスターはオフでもNPCはオンということだ。




「・・・自宅は男フォロワー入れなければ大丈夫、

 としても旅先は気をつけないと」


悩んでも仕方ない。装備を確認しよう。



今着ている白い布の半裸の踊り子衣装。

MODで入れた奴だ。記憶がある。

数字もイジって最終装備になれるベースアイテムだ。

元は重装備の装備値30ほどだったのを

軽装備の装備値60ほどにしてる。



チートである。



「うん、確かこれ制作できる衣装MODだ」

鍛冶と錬金というのがある。


錬金で鍛冶スキルが伸びるポーションを作ってそれを飲む。

からのー

+された鍛冶で錬金スキルが伸びる装備を作る。

からのー

+された錬金で鍛冶ポーションを作る。


と繰り返して最終的に凄い装備を作るという技があるのだ。



最強が作れる。

自作が可能になっている装備は装備値固定ではなく伸びしろがあるのだ。




もっともラスボス( 魔王子)に勝つにはそこまで必要ない。

今の強化なし装備でもレベル40ほどあれば余裕だ。




「・・・他の装備MODは見当たらないなあ」

この尻丸出しの半裸衣装しかないのか。

可憐な爆乳美少女の踊り子さん。

一式固めきってるので防御値は260ほどもある。

盾兜甲冑を着た騎士とほぼ同じ硬さだ。





貞操は危険が危ないが。




「むう・・・」


――エロMODを後悔する日が来るとは。



エロMOD。

元は健全ゲームだったのを大人向けにする、紳士のゲーム拡張データ。


これ入れると衛兵からも「おねーちゃん幾らだい?」とか言われる世界へなる。

これはまだ良い。断れるから。



まずいこと。

モンスターと戦闘中にレイプに突入する事。

HPが低下すると組敷かれるので体力のかぎり抵抗すれば良い。



そう、体力の限りだ。

スタミナを消費して抵抗する。



とてもまずいこと。

抵抗失敗するとエロMODモーション突入なのだが、

スケルトン相手でも生突起物が用意される。

そして巨人相手だと巨人が片手に握ってきて

丸太のような突起物で生オ●ホにされる。




どう考えても死ぬ。

うん。死ぬよ!

死ななくてもやだよ、そんなの!



事態の深刻さに血の気が引いた。

なおモンスターは被害者の性別を問わないので

NPC山賊がすごい事になる光景とか稀によく見る。



こんな時は逃避するに限る。



「棚の魔法書は、入れたMODの追加魔法かな」

元ゲーム( バニラ)の魔法はあまり強くない。

それで強力な魔法MODを入れておいたのだ。

メテオみたいなド派手な魔法も当然入ってる。



ああ、いいなあ。

荒野に向けてばんばん打つと大量のキルログが出るんだ。

MOD魔法は派手で良いなあ。



エロMODの過酷さをしばし忘れた。



「この体、たぶんレベル1だな」

MODを入れるだけ入れて放置してたセーブデータがある。

スタートもオープニングをすっとばしてる奴。



こんなキャラ作った覚えがないが、

見覚えがあるからには作ったのだろう。




レベル1なので魔法も大したのが使えないが、

それでもMOD魔法は元ゲーム(バニラ)魔法より強い。



「お腹すいたな。よし!」

狩るか。

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