『そうだ祠へ行こう! 酔っ払いの居ない静かなところへ』
少し遡って宴会中のことです。
「リチャードの奴、ハイネスブルグで地方騎士の爵位持ってたらしいぜ」
「へえ、そりゃ凄いね!」
実はちょっとした名士だったらしい故リチャードさん。
死体の扱いに困ったな!
すると正義の女神ミーティアに仕える賢いミネア司祭「任せて!」とビール片手に立候補。
そのままリチャードさん(死)を大八車で運ぶとティラノへぽい。
バリボリ食べた。
「おおおおおいいい!!????」
豪快な証拠隠滅を見た。
「任せてください、って何アレ!?
うちのティラノになに食べさせてんの!?」
「今後も使えそうで素敵よ! 乾杯ー!」
仕事終えたミネア司祭がビールをかっくらう。
「一応聖職者ですよね? お葬式とかお葬式とか!
そういう「任せて!」じゃなかったの!?」
「「あ!」」
「サーシャさんもなに今気付いたみたいな顔してるの!?」
この人達と行動を共にしていると常識が崩れていく。
オーセンエンデの記憶からも犯罪者ゾーンである。
人肉を野生動物に覚えさせては駄目。絶対だめ。
「リチャードさんはここに来なかったわ!
そう、だからお葬式もなしよ!」
「いやー。ミネア司祭、ないですわー。
ポイする前に簡単な祈り言葉はあるべきでしたわー」
「サーシャも気づかなかったじゃないの」
「アンデット化防止の処置をしたのは私ですよ?
きちんと魔除けの塩を振っておきました」
「よくやった、サーシャ。褒めてつかわすぞ」
「へへー。・・・というわけです。
オーセンエンデさん、大丈夫ですよ。アンデットはなしです」
「う、うん・・・?」
死者の冥福がアンデット化防止という実利の世界だった。
あれ? そういう話? そういう話だったかな!
都合の悪い死体を恐竜に喰わせる聖職者でもアンデットにならない処置してるから立派な聖職者・・・?
混乱のままシスターサーシャに尋ねる。
「・・・塩って、もしかして岩塩をミルで落としてたアレ?」
「抜かりないサーシャと褒め称えてください」
「ビール片手に飲みながらやってたアレかぁ・・・」
焼き鳥に塩かけた後についでとばかりに死体のとこでやってた。
「これは経験則になりますが。
――(3秒のタメ)――
実のところ今まで塩を振った手羽先が化けた事は一度もありませんね」
「うん、うん。サーシャの言う通りよ」
「手羽先と人間って同じ扱いで良いのかな!」
「玉潰されたリチャードさんも手羽先も腰抜けですよ? Ha-Ha-!」「Yaahhh!」
酔っぱらいどもめ!
この玉無しネタは戦女神ミーティアの鉄板ネタ(※)らしい。
胸の中のオーセンエンデ(本体)がドン引きしてる気がする。
ずつうがいたい。
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(※注)
『ミーティアの烙印』
ミーティアの信徒は戦場で卑怯な真似した輩の玉を潰した後に死体に塩をまく。
サーシャ曰く、
「手羽先に塩を振って一度も化けてきたことがない」
ソウデスネー。
こわいひとたちだよ。
ーーーー
そのまま酔っぱらいを自宅へ引き取った。
寒いとこなので外は辛い。
にぎやかなミーティア教の2人とちびちび飲む私だ。
色々と世界の事を酒の場で聞いておく。
上機嫌で教えてくれた。
夜も遅くなりうとうとしだす。
(――静寂の女神の祠に行きたい。
暗闇の中でほのかな明かりとお祈りを聞きたい)
なんか心のつぶやきが。
オーセンエンデ(本体)の欲求がきたね。
「静寂の女神の祠ってどこにあるかな?」
「え? それうちらに聞きます?」
「ハハハ! あんなまともな神殿も信徒もないマイナーな地味女神よりミーティア神、ミーティア神ですよ? どーん!」
酔っぱらいに聞くべきではない。
(・・・)
あ、なんか頭の中に祠の風景が。
(『遥道』を使って)
啓示が示された!
「場所は解るから1人で行くわ」
「お気をつけて――!」「おたっしゃでー!」
その日はそこでお開きにした。
二日酔いでぐったりして結局出発が1日伸びた。
魔法で治癒という手もあったけど、魔法使う気力もなかった。
自然に任せるべき所は任せるべきだ、みたいな感情がある。
さらに翌日の朝。
どんどん!
「オーセンエンデさん! まだ居る?
私も行くわ! それにレベルアップの秘跡もまだだったよね? 安くしとくわ!」
「先日は酔っ払って失礼をしました・・・。
申し訳ないです」
なんか来た。
「北東の山行くんでしょ?
静寂の女神の祠っていうとあそこでしょ?
道中は大変危険よ! いっぱい魔石を取りましょう!」
「すいません、ミネア司祭がいきなり破産しまして」
借金帳消しから2日しか経ってなくない!?
きまぐれ逃避更新です。




