記憶喪失からの…
■少年少女 Episodic.12■
これまでの記憶を失った仲井戸は8歳の少年となり西宮孤児施設のドアを開けると、孤児施設の中は激しい揺れで無残になっていた。
奥の方から声が聴こえてきた。
「何をしているんだ…?」
そこに現れた初老の男は崩れ落ちた壁によって頭から血を流していた…。
「僕は誰なのですか…?」
「とうしたんだ…?記憶がないのか?」
「なにも思い出せません…」
「2時間前にも一人の少年を保護した!君の知っている少年じゃないのか?」
「分かりません…」
「君…!名前言えるのか?」
「それも分かりません…」
「そうか!こちらに来たまえ…!まだ余震があるだろうから…」
記憶を失った仲井戸少年は初老の男と一緒に孤児院施設に入っていく。奥まった小さな部屋には、2〜3人の職員と10人ほどの孤児が肩を寄せ合っていた…。
その中に仲井少年と名札を付けた少年が、じっとこっちを見ていた。
「今日で二人の孤児を預かることになった。こんな状況だからこそ、全員で助け合って行こう!」
そして…。
2年の月日が流れた。
10歳になった仲井少年は、記憶喪失となった仲井戸を少年全部と呼ぶようになった。その理由は、初めて会話を交わした時に遡るのである。
「君はすべての記憶を失ったの…?」
「うん…全部…」
「名前も分からないの…?」
「うん…全部…」
「じぁ!君のことを少年全部にするよ!」
「うん…少年全部だね。いいよ…!君のことは、なんて呼んだらいいの…?」
「少年仲井でいいよ…!でも昨日変な夢見たよ…!」
「どんな…?」
「なぜか僕が少女になってしまう夢…。断片的だから、それしか覚えていないんだ…」
「そうなの…?だったら君が少女になってしまう夢だから、君を少年少女と呼ぶよ!いいかい?」
「うん…いいよ!」
このようにして、二人は少年少女と少年全部と呼ぶようになったのである…。