3/3
不思議な女の子
俺が今住んでいるところは人工島だ。
この海を超えた場所に俺の元々住んでいた大阪という街がある。
詳しいことは知らないが、人工島開発プロジェクトという企画がある。
外国の移住者が増えすぎたからという噂だ。
10年前に島は完成し、施設や学校が充実してきたのが5年ほど前。
3年前には星晶学園という学校が出来上がった。
俺は今日からそこの学生となる。
───ぼぅっと空を見上げていたらいつの間にかバスがやってきた。
俺はバスへ乗り、窓側の席へ座る。
乗務員のアナウンスが流れ、ドアが閉まろうとしていた───が。
「あああー!!!待って待って待ってええええええええ!!!」
甲高い声が鳴り響く。
俺はふと入り口の方に目を向ける。
「はぁー・・・間に合ったぁ~!危なかった~!」
なんだこいつは。
独り言が凄いやつだな。
俺は内心そう思った。
その女性は一人用の席に座り、カバンを膝の上に載せ、“ちょこん”という言葉が似合うように座っていた。
可愛らしいな、と思ったが、俺は興味がなくなり、また窓へと目を移した───。