ここは異世界で俺は人外でした
かける時にどんどん書こう!を目標に三度目の投稿です。
科学者ロウから明かされる、晶の新しい体のこと。
ロスナとは何か・・・にスポットが当たります。
「ここは、スマートレス。 私は失われた知識・・・ロスナを有する科学者だよ。」
ロウにそう言われた俺は、オリジナルの自分の事をすっかり忘れ
現状把握に精を出す事にした。
ロスナも気になるがちゃんと教えてくれるらしい。
まずは自分の体のこと。生体アンドロイドとロウは言っているがもう一度
詳しく聞いてみることにする。
ロウ曰く、俺の素体はクローン体がベースになっているらしい。
クローンのベースは不明。それはそれで怖いが仕方ない。
整った顔立ち・・・少し西洋寄りなんだろうか。イケメンなので良しとしよう。
ともかく7:3の割合で生体が多いらしく、ほぼほぼ人間なんだそうだ。
じゃあどこにアンドロイド感があるかというと。
「そうだな・・・例えば・・・」
そう言って離れて行くロウが、机の上から紙を取る。
何か書いてあるようだが、当然この距離からは見えない。
「目に意識を集中させる感じで、この文字を読もうとしてみるんだ。」
そう言われ言われた通りにしてみると、紙の文字がズームされ
紙面の文字が認識できるようになった。しかも日本語では無いのに
その文字も理解できる。新聞だったのだろうか、紙面には魔獣の発生率が
ここ数年で大きく上がっていることが書かれていた。
「おおっ!なんかズームとフォーカス機能がある!しかも魔物ってなんだよ・・・」
魔物だとか、モンスターだとか早速ファンタジー感が出てきたが
自分の手で倒せる自信はない。俺のオリジナルは至って普通の人だった。
喧嘩もほぼしたことがない、むしろそういうのは避けて通るタイプだ。
「他は・・・晶くんだったかな? 全身の痛みはまだ残っているかい?」
そう言われればかなりマシにはなってきている。時々痛むが三日目の
筋肉痛位のものだ。俺は大丈夫と言いながら席を立った。
ロウに連れられて、目覚めた部屋とは反対の部屋に向かう。
そこにはエレベーターらしき物があり、俺たちを上層へと運んでくれた。
降りた先には扉があり、それをくぐると先程の部屋とはうって変わり
ログハウス内を思わす光景が現れる。さっきの空間が地下だったことにも
驚いたが、今感じているギャップへの驚きのほうが大きい。
「さっきの部屋と雰囲気がすごく違うね・・・。ロウ、さんは何か
変な事でもしてるの?」
年上にはそれなりに敬意を払うべきだとなんとなく思ったので
さん付けに変えてみたが、ロウさんは気にすることなく方を竦める。
「さっき言ってた<ロスナ>が原因だよ。この世界には失われたものが多い。
数百年前に大戦があったらしくてね。その時に多くの知識が失われたらしいんだ。
その失われた知識・・・ロスナを研究するのが私の生きがいでね。ロスナを
有効的に活用すれば、多くの人を救えるが悪用すれば・・・それこそ
多くを破壊することができる。」
そう言いながら、恐らくは外に出るであろう扉へと向かっていく。
表情は伺えないが、声には何か決意のようなものが含まれていた気がする。
「なんか魔法みたいだね<ロスナ>って。」
「魔法?君の居た異層のものかい?」
「いや・・・日本には無かったけどそういう話だけはあったんだよ。
呪文を唱えて火をだしたり、何かを変化させたり出来るんだ。」
「概念的には似ているかもしれないな。そういう作用のあるロスナもあるはずだ。」
ロウさんはそう言いながら扉を開け、外へと向かう。
俺もロウさんに続いて外に出て、目の前に広がる光景に一瞬固まってしまった。
高原とでも言うのだろうか。僅かに風が吹き足元の草花を揺らす。
周囲には民家も、建物すらなく広く穏やかな勾配が広がっている。
間違いなく、ここは日本ではなく異層・・・別世界なんだろう。
そう思えるほどに、人の手が入っていない自然を感じることができた。
「この辺りは田舎でね。町も離れたところにしか無い。
ひと目に付かないから、ロスナの研究を進めるにはもってこいなのさ。」
ロウは話をしながら先へ進み、家から離れたところにある岩の前に俺を立たせた。
「君の体の一部はアンドロイド・・・簡単に言えば機械化されている。
私の持つロスナの知識で自然に、なめらかに動くようになっている。」
「なるほど。機械と魔法のミックスみたいなものかな。確かに違和感なく
動くけどそれなら、ただのクローンで良かったんじゃ?」
そう言いながら手を握ったり、屈伸運動をしてみる。意識をしても
機械が入ってる感じはせず、アンドロイド感は皆無である。
「腕や脚に関しては外部的な痛みはあまり感じないはずだ。
その岩を殴って確かめてみるといい。」
「いや・・・そう言われても怖いんですけど。」
「ものは試しさ。やってみなさい。」
そう言われ、恐る恐る岩に拳を当ててみる。確かに生身の体では
痛いであろう力で当てても痛くない。
「もっと勢いよく殴ってみてくれ。」
言われるがままに、恐怖と戦いながら目の前の岩を殴りつける。
バコッ!!という音と共に、俺の腕が半分くらい岩に埋まった。
目覚めてから、ずっと下着一枚の状態で岩に殴りかかる。
そのうえ引き抜いた腕に傷もついてないのだから、改めて異世界を感じる。
脚も同じだとロウさんが言っていたのを思い出し、今度は岩を蹴りつける。
殴った時と同じように岩は砕かれ、周囲に大小の石を撒き散らす結果になった。
「君の体はロスナを内包出来るようになっているんだ。
常に体の表面にロスナを纏っているから、簡単には傷つかない。
今みたいに手脚はロスナを使用して力を高める事もできる。」
「さっき俺が言った魔法みたいに火を出したりは?」
「残念ながらそれはできないな・・・基本的に自分の身体能力を高める
事が出来るんだと思ってくれればいい。」
なるほど・・・。<ロスナ>っていうのは魔力みたいなものかな。
魔力を使うことはできても魔法は使えない体か?
「訓練したら火を出したり、何かに作用させたりできるの?」
「おそらく無理だろう、そういう仕様には出来ていないからな。」
出ました「仕様です」の一言。バージョンアップは無理か・・・。
「現状では出来ないが・・・もしかすると望んでいることが
出来るようになるかもしれん方法はあるぞ。」
「なに!すっごく気になります!どうすればいいの??」
異世界に来たからには、是非とも魔法は使ってみたい。
空を飛んだり、火を出したり。男なら一度は憧れるものだ。
「私も聞いたことしか無いが・・・。どこかにあるという道具を
使えば出来る可能性はある」
「道具って何?名前とかあるの?」
「名前も知らんのだ。ただロスナを用いて扱う道具があるとしか。」
じゃあその道具を使えば空も飛べるはず・・・。そんな男の子の夢を描きながら
落ち着いたら、探してみるか~。くらいの気持ちで空を見上げる。
空には穏やかな雲が流れ、心地よい日差しが目に染みる。
傍らにはダンディーな科学者が、白衣を風に揺らしていた。
これからの何かを期待させる光景だったが、俺は自分がパンツ一枚で
あることを思い出し、そっと微笑んだ。
ロスナを使えるが魔法っぽいことは出来ない。
しかしながら俺つええええ!感が出始めました!
ヒロインも出るかも??