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転生龍達の人間界生活!  作者: 淋淵水零
プロローグ
9/11

7.海の怪物

仲直りしてから、たくさん時が流れていった。

何年も何年も何年も、どのくらい時が経ったのかもうわからない。その位長い時間ここにいる。たくさんの親しい竜の死も見てきた。けど私、いや、私達は死んでいない。

美空として、私は何年もここにいる。前世の名前を何度か忘れそうになったこともある。けど、その度に夢の中に"あいつ"が出てきて、私の昔の名を呼んで、前世一緒にしたこと、話したことを思い出させてくれる。

どうして、いつも思った。もう終わったこと、お前は私のこと嫌いなんだろ? どうして私の夢に出てくる? そう問うと、すぐ答えが出る。ただ単に、私が"あいつ"に執着し過ぎているだけだ、と。青い青い空を見上げ、"あの時"を思い出す。楽しかった、辛かった、怖かった。みんな私が死んで喜んだかな。

馬鹿だな、私。誰かに頼るのは、誰かにひっ付き回るのはやめるんだろ? 何今更、前世の事なんて…。

……………自分で自分を殺したくせに。




ここでの生活は楽しい。が、私達は始まりの龍、という名を無かった事にした。伝説にはなってるけど。

何故かって? …毎回毎回、始水龍様ー! とか言われるんだぜ? すっごくお偉いさんみたく扱われるんだぜ? 竜達に。竜達に! 嬉しいっちゃ嬉しいが、ちょっと遠慮したい。いや、全力で遠慮したい。

大丈夫、新しく竜王っての置いといたから。この世界をまとめてくれてるから。私達が始まりの龍として、いなくたって大丈夫。多分。責任は取るつもりない。絶対に。


ある日私は、内緒で遠出して地球の海の方まで行っていた。そう、我が天使、リヴァイアサンに会いに。来んな、と言われているが、しつこく会いに行っているうちに、気にしなくなったらしい。悪く言えば諦めた、とリヴァさんは言っています。リヴァさん、と言うのは私がつけたあだ名的なものです。これで呼んでいいか、と聞いたらフンッ、と鼻を鳴らして自分の背に頭を乗せ、寝てしまった。

リヴァイアサン。前世は旧約聖書に出てくる、巨大な海の怪物だ。レヴィアタンとも言う。私はリヴァイアサンと言う派だ。神様が何かを創ったその五日後に創られた存在であり、ベヒモスと二頭一対、ジズ? を合わせれば三頭一対、らしい。リヴァイアサンが最強の生物と記され、ベヒモスが最高の生物と記されていた、と思う。また、悪魔としても見られたりして、七つの大罪の嫉妬を司る悪魔ともされている。

その姿は、蛇、ワニ、クジラ、竜などで描かれることが多いようだ。

性格は凶暴で冷酷、らしい。

何故私がこんなにリヴァイアサン知識があるかって? 前世好きだったんだよ。そういうの。リヴァイアサンはズバ抜けて好きだったんだぁ…。

あ、いた。

蛇のように長い巨大な竜。竜は太陽の光を受け、美しい瑠璃色の鱗は輝き、同じく美しい薄く淡い青緑色ヒレのようなものは光を帯びている。ちらり、とこちらを見る、いや、睨む鋭い目。大体の者がこの目に見つめられただけでも、腰を抜かして震えが止まらなくなるだろう。口を開けば、見るものすべてを震え上がらせるような、鋭い歯が顔を覗かせる。


「シャルルルル」

「…ダメですか?」

「シュルァァァ」

「いいじゃないですか」


聞くもの全てを圧倒する、美しくも恐ろしい声が辺りに響き渡る。

言葉を話さないリヴァさんだが、何を言いたいのか大体わかってしまう。今のは、「また来たのか、帰れ」と言われたようなものだ。勿論、帰る気なんてさらさら無い。

私が敬語で話すのは、確実に歳上であり、私にとってとてつもなく神聖な存在だからだ。


「キシャァァ!! シャルルラァ!!」


リヴァさんが吼え、こっちに水を思いっきり飛ばしてきた。「帰れ!! いい加減我に付き纏うな!!」と。消え失せろ、本気で攻撃してこないだけ、リヴァさんは優しいんだろう。

けど…。


「……」


ここまで完全に拒絶されるのは結構くるものがある。しつこく会いに来る私が悪いけど…。


「にゅう…」


へこむわぁ。

その時、リヴァさんが呟くように鳴いた。


「シャラルァ…」


「またこの流れか…」と。



「シャルル」

「ん……あ…」


寝てた。あれ? 背中に何かひんやりするものが…。


「シャラ」

「あ…!? ごめんなさい!!」


呆れたようなリヴァさんの声で私はとんでもない事に気が付いた。

い、いい今私はリヴァさんに寄りかかって寝ていたらしい。何と恐れ多い!!!!

思いっきり跳びのき、リヴァさんから離れた。そして、私ができる一番綺麗な土下座をした。


「ごめんなさいごめんなさい」

「…………」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「シャル…」


リヴァさんの戸惑った声が頭上から聞こえる。ああぁ!! 本当にごめんなさい!!!


「…シャルラ」


声が聞こえた瞬間。

リヴァさんは、自分の尾を器用に私の服に入り込ませ、私を持ち上げた。


「わっ!」


怖い怖い! 落としてください落としてくださいぃぃ。

そんな私の願いは届かず、リヴァさんは自分の顔の前まで私を持ち上げた。

食われる。直感でそう思い、目をぎゅっと瞑った。


「シャララ?」


「お前は何か勘違いをしているな?」と、リヴァさんは言った。

私は、え? と思い目を開けた。目の前にはリヴァさんの顔のどアップが…。


「シャラ、シャルリ」

「え…?」


「怒ってなどいない。また来い」リヴァさんはそう言った。確かにそう言った。

私は目を見開いた。本当に? と。


「シャルル、シャルラリラ」

「!!」


「偽りなどない。日が暮れる、もう帰れ」そう言うリヴァさん。

嬉しい! すっごく嬉しい!!


「ありがとうございます!! リヴァイアサン!!」

「シャルラ」


思わず叫んだ私に「さらばだ」少し微笑みながら言って、リヴァさんは私を下ろして海に潜って行った。

凶暴で冷酷、か。初めてあったときから思ってたけど、そんなこと全然なさそう。少なくとも私は、優しい方だと思う。

私は口角が上がるのを感じながら、りゅうの世界へ戻っていった。


こっそり部屋に戻っていたのを水希達に見つかり、みんなから怒られた。


「最近ちょこちょこ地球に行ってるみたいだが、どこに行ってるんだ?」


薫樹がボソッと聞いてきたけど。


「なーいしょっ!」


口に人差し指を当てて、シーッのポーズをして言った。

誰にも教えない私だけの大事な秘密。


それは、リヴァイアサンと仲良くなったこと。

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