表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生龍達の人間界生活!  作者: 淋淵水零
プロローグ
7/11

5.仲間割れ

タイトル詐欺な気がして不安になってきた。

人間界生活はよ。

ここに来て何日かたった。

わかったこと、お腹減らない、海あった、クッソ暇、麗華ちゃんは姉貴、服は自己再生する。すごくね。特に服。


「ひーまっ」


死ぬ。ゲーム無い、死ぬ。本無い、死ぬ。

少し前までは、たくさん不思議なことがあった。大変だったが、退屈はしていなかった。

楽しいことはないのか。


「あーうー」


みんなはそれぞれ、話してたり、魔法を使う練習をしたりしている。楽しそうだなおい。


___大丈夫ですか?


水希が近づいてきて、話しかけてくる。滑舌良くなったな、お前。


「おー」


___ちゃんと話してください。


「ちゃんと話せばいいのか…?」


___そうです。


「だが断る」


某漫画の名言を言ってみる。ちょっと言ってみたかったんだよね、この台詞。


___何なんですか。


ナンなのだよ。

どうやら水希はピンとこなかったようだ。知らなくて当然か。


「まーひーまー」


___そんな暇ですか。


「いえす」


前世は退屈しなかったもーん。勉強とかはつまらなかったけど、何かしらしてたわ。


___何かすればいいじゃないですか。


「たとえばー?」


___力を使ったり、あの人達と話したりです。


「力で遊ぼう、そうしよう」


___話さないんですか?


水希の言葉に、ったりめぇだろ、という意味を込めて頷く。

いやさ、話しにくいじゃん、年上って。敬語とかさん付けしなくていい、つかすんなって言われたけどさ、そういう問題じゃないんだよね。学生の年上で話す人って、兄さんぐらいしかいなかったんだよね。

いや、どうでもいいんだよ。話しにくいとか何ちゃらって。


「何するの?」


___なんで僕に聞くんですか?


「何となく?」


「ねー、美空ちゃーん」

「エッ」


ドーン


「ぐふっ」


麗華ちゃんに体当たりされ、私の体は地面に倒れた。龍になって丈夫になったとはいえ、これ結構痛いな。


___大丈夫ですか!?


大丈夫だ、問題ない。


「…ゴメン」

「へーき」


謝られたので返事をしながら立ち上がる。無視したら、印象悪くなっちゃうからね。さすがにこれ以上悪くしたかないわ。


「何やってんだ…」


やれやれ、とでも言うように冷夜がこちらを見ている。元凶は麗華ちゃんだ、私悪くない。お説教なら、麗華ちゃんだけにしてね。

実は、よくあんなにお説教できるな…、と感心するぐらい長く、冷夜にお説教されたことがあるのだ。陽和のせいで。あれは酷い。巻きぞえだ。本当に私は悪くないのだ、あの件に関しては。もう一度言おう、陽和のせいで長時間お説教をくらった。


麗華ちゃん、冷夜のお説教などで恐れてはいけない。さぁ、気をしっかり持つんだ。


「麗華ちゃん?」

「おい」

「別に平気だし」

「…気を付けろよ」


そう言い残し、冷夜は薫樹の方へ走ってった。それを麗華ちゃんが笑って見ていた。

過保護かよ。二歳ぐらいしか離れてないんだぞ。会って間もないし、何でそんな心配するのさ。

そんな疑問が顔に出ていたのか、麗華ちゃんが「冷夜は妹ができたみたいで嬉しいんじゃないかな」と言っていた。前世も妹だったのに、今世も妹をやれと言うのか!! 嫌に決まってるじゃん!! 私だってお姉ちゃんやってみたい!!

ぐぬぬ、あと三年早く生まれてくれば良かった。二人弟ができたのに。くぅ…。


「美空ちゃんに弟扱いされたくないなぁ…」

「はっ?」


どういう意味だこら。読心術かこら。ていうか誰だ。


「声に出てるよ、美空ちゃん」


苦笑いで言う麗華ちゃん。嘘だろ。小説とかでよくあるあれかよ。


「わっかりやすいよね〜」


その言葉にうんうんと頷く陽和。こいつ、ちょっと苦手なんだよね。


「………」

「!?」


ドSが、と思いながら陽和の脛を蹴る。うおおお、と痛みに悶える陽和を横目に、麗華ちゃんの方を向く。


「痛いじゃん」

「麗華ちゃん、何か用あった?」

「ねぇ?」

「うん、一緒に遊ぼうと思ってさ」

「ちょっと「うるさい」……」


麗華ちゃんがピシャリと言うと、陽和が静かになった。

さすが麗華の姉貴。いいぞー、もっとやれー。

そんなことを思っていると、陽和がこっちを無表情で見ていた。え、なに怖い。しばらく近寄らないようにしよ。本気で怒らせたらダメなやつだ、あれ。やっぱあいつ怖い。苦手だなぁ。



ザ・厨二病会第一回!! ~私達、お年頃なんです~ を開催していまーす!! ま、半分嘘なんだけどね。


「《クラージュアルブル》」

「《イーライグニート》」

「《ガウディウムルーメン》」

「《フレユールフォンセ》」

「《テネリタースアクア》」


___何が始まるんです?


「だいさん「それ以上はいけない」アッハイ」


っかしいな。水希の声聞こえないはずなんだけど。


___…すみません。


「もんだいな」


ダンッダンダン


妙にリズミカルですこと。


「な、何の音?」

「なんかやばくないか?」

「何事?」

「………?」


みんながキョロキョロ周りを見回すが、


「《エリクサー》」


正直どうでもいい。


バシッバシ


「動じろ、小六」


___そうですよ。


「薫樹と水希に言われたくない」


動じろ、と全然動じているようには見えない龍と蛇に言われました。小六だからって絶対動じる訳じゃないし、と薫樹を見る。言えって? めんどくさい。


パリンッ


青い空に突然亀裂が入った。あ、これやばくね?

そう思っているうちに、わたした…あれ? 私しか吸い込まれてない!?

あちょ、待て! 話し合おう!? やめてやめて、何で私だけ!? 何で!?


「美空ちゃん!!」

「どうなってるの…?」


___美空様!?


「あー」


麗華ちゃん、陽和、水希の声を聞きながら私は吸い込まれて行った。最後の一言は、あー、でした。

他二龍? 黙って私を助けようとしてくれました。あらやだかっこいい。………なーんちゃって?


「美空!!」「美空…!!」


…会って間もないのに、ほーんと、情湧きすぎ。




所変わって真っ黒な部屋。…部屋?


「…どこ?」

「どこだと思う?」


突然声が聞こえ、一瞬で目の前に黒髪の人が現れた。


「あっはは」

「声出てた?」


そう言うと、誰かが驚いた顔をした。

んー、男か女かわからんな。


「出てたよ。気をつけなね」

「ん」

「僕はソラ。一応、創造神? …よろしくね」


名前似てるな。

…創造神? 神様?


「神様…?」

「…そうだよ。おチビさん」

「何か言った?」

「はは、ごめんね」


失礼な神様だ。私よりちょっとだけ高いだけじゃん。ほぼ一緒じゃん!! 何が、僕より小さい子初めてなんだよ、だ!! ガルルルルル。


「ごめんって。ほら、落ち着く落ち着く。ほら、龍になってるよ」

「!!」


し、失礼した…。


「そのままでいいから、話聞いて?」

「こんまま?」

「そ」


マジで?本気?


「で、話なんだけど…神龍になってほしいんだ」


あ、話し始めた。本当に龍のまま…。

うむ、意味わかんね。



「…一番強いから神龍になれ、と?」

「そうだよ。なってくれる?」


何その超展開。話ぶっ飛びスギィ…。しかも、神龍だって? 役目重そう。


「無理です」

「平気平気、気軽にやって」


神龍じゃん。神ついてるじゃん! 気軽にできんわ!!


「大丈夫、キミならできるよ。美空」

「………」


そうは言っても…。


「神からの命令。水龍 美空、神龍になれ」

「はい…」


なんか威圧感凄い。さっきまでゆるい感じだったからちょっと怖い。これが神様…。思わず頷いちゃった。

…仕方ない、やるか。


「うん、元気ない返事! 用はこれだけだから、バイバイ!! また会おうねー」


そう言い、手を振る創造神様。元気なくて悪かったな!!

え、ちょなんか足元に穴が開いて…。


「わっ! ま、また!!」


そう言って、頭を下げる。我ながら冷静だと思う。

…あ、男か女か聞くの忘れた。神様だし無性別かな。





「もうちょい下に落としてくれればよかったのになぁ…」


ビュオオオオオオオ!!


風強い。辛い。寒い。

さっきの足元に開いた穴に落ちたら、一瞬で景色が変わり、綺麗な夜空が見えた。そして見てしまった。暗い視界の中、ずっとずっと下にある地を…。本能で悟った。


これ、死ぬだろ。


さすがに上から落としすぎ。こんなん、地に着く前に寝るわ! そして二度と目覚められんわ!!

地面が近づいてくる。もう時間は長くないだろう。焦ってる、結構焦ってる。冷静になるため目を瞑り、考える。どうすればいいのか。今、何をすればいいのか。

…ん? 私、止まってね?

不思議に思い、目を開ける。

容赦なく近づいていた地面、うるさい風の音、全てが止まっていた。感じるのは浮遊感。


私は、飛んでいた。



「なんて素敵なのー」


思わず、懐かしい歌が口からこぼれた。


「ミッションコンプリート」

「そのミッションに、俺たちに会うっていうのはなかったのか?」


バサッ


小さな呟きに、返事と羽ばたく音が返ってきた。

驚いて声のほうを見ると、見覚えのある黒い龍がい…ん?


「どこ?」

「ここだ!!」


あ、いた。同化してんなよ、お前。見つけられなかった。

黒にちょっと紫がかった色の西洋龍、冷夜が黒いオーラを纏っていた。ヤベェ、怒ってやがる。


「はぁ、行くぞ」


ため息を吐き、翼を使って滑空する冷夜。待って、早い。私飛ぶの慣れてないんだよ!


「早く来い」


…鬼。




「…何これ?」

「………」


いや、本当に。どういう状況?

冷夜は答えてくれないし、ほんとどういうこと?


「美空ちゃん!! 見つかったんだ!!」

「ああ」


声のする方を見れば、朱色の西洋龍。麗華ちゃんか。


「どこ行ってたの?」

「………」


そう聞いてくる黄金色の龍と、こちらを怒りを含んだ目でじっと見つめてくる若葉色の龍。陽和と薫樹だ。

え、怖い。何だよ。


みんなで地に降りたら、囲まれた。やっべ、こえぇ。泣く。

あれ? 水希は?


「…どこ行ってたんだ?」


低い声で言う冷夜。こわ。

どこって聞かれてもなぁ。どこだったんだろう。

というか、何で私が怒られてんの? 私悪くないでしょ。好きで吸い込まれたわけじゃないんだけど。

私は人型に戻り、


「…さぁ?」


と答えた。鋭くなるみんなの目。

何故私が怒られなくちゃいけないのかと考えると少し腹が立ち、冷たい声が出た。


「さぁって、どこ行ってたの!?」


次は麗華ちゃん。


「どこだろうね?」

「君ねぇ!!」


そう答えると、人型になった陽和が声を荒げ掴みかかってきた。

本当にどこかわからないんだもん。仕方ないじゃん。


「…何で私が怒られてるの?」

「何でってそりゃ…」


陽和に問うと、目を泳がせながら、心配だから、とか何とか言っている。


「何で会って間もない奴の心配するの?」

「え…」


純粋な疑問。

目を見開き、黙る陽和。いつの間に人型になった他の龍も、目を見開いていた。薫樹以外。逆に薫樹の目はどんどん鋭くなっていく。

力が弱くなった陽和の手を払い、みんなの輪から抜けて慣れない飛行をする。



水希どこにいるのかなぁ、そんなことを考え、頬に伝う冷たいものに気付かないフリをした。



最後まで読んでくださりありがとうございました!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ