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鳥籠の冒険譚  作者: ゆめすむ堂よっし
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GAME START

深海は困ったことになったものだと頭を抱えた。


「一応聞くけど、君の空間に閉じ込められた僕は、君以外の人間には接触できないようになっているのかな?」


 深海が母親の肩を叩こうとした時に深海の手は母親をすり抜けた。つまり桜以外には深海の姿は見えず、さらに触れることもできないということだ。


「ご名答。流石優一君、やっぱりあなた最高だわ。この空間の中で優一君と接触できる人間は私一人。優一君は私だけを見ていればいいのよ。浮気の心配もないでしょ?」


 桜のあまりの高慢な態度に深海はうんざりしてきた。


「少し席を外させてもらうよ」


「あ、ちょっとぉ!」



 深海は自分の部屋を出た。まずは頭を整理する必要がある。一人になりたかったということもあり、とりあえず散歩に出かけることにした。じっとしているよりはマシだと思ったからだ。歩きながら桜との会話を思い返す。


(浮気も何も僕は君のことなんてほとんど知らないぞ……)


 深海は道端の石ころを拾ってみた。触れることを確かめる。無機物は大丈夫なようだ。実際服も着ているし、靴も履けているわけだから、どうやら無機物は触れられる。次に道端の草をむしってみた。これも触ることができる。動物はどうだろうと思い、犬を飼っている近所の家の前まで行ってみた。柵越しに庭を覗くと犬がムクリと立ち上がりこちらを向いて元気よく吠えた。犬にも普通に見えているらしい。となるとやはり人間だけが深海と接触できないということだ。


(ワンちゃんが吠えてくれるだけマシか……)


 しかしこのまま今の状況が長引けばまずいことになる。ほかの人間にとっては、深海は突如としていなくなったことになる。このままでは失踪事件になりかねない。まずはそれに関して手を打たなければならない。時間を稼ぐことができれば、あとは何かしら策を練ればいい。


 まるで質の悪い脱出ゲームみたいだなと深海は思った。もっとも出口は最初からわかっている。桜に結界を解除させるのだ。あとはそれをどうやってやらせるか、というのが問題だ。


(……とりあえず桜と話してみるか。敵を知り己を知ればなんとやら、だ)

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