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幻想大陸で繰り広げらる、戦略戦術級、VRMMO的世界のゲーム展開録

 

  

 銀豹のように、優雅に舞い踊るように戦う、銀髪の美少女が居る。


 その剣は、なによりも美しい弧を何度も何度も、終わりがないワルツのように踊り狂う。


 彼女の名前は、レンリ=リインフォース。


 この周囲が人外魔境の、ゴミ屑みたいな敵という敵、猛者中の猛者に囲まれている、王国の騎士だ。

 そう、年がら年中、ガチの存亡の危機の真近にあり、常在戦場、常時、背水の陣を迫られる、熱い孤立した小王国の、、、。


「この世界はゲームである」


 そう俺は、主人公。

 この世界をゲームだと知っているのは俺だけ、ではないが、俺を含む少数と括れるくらいの人数だ。

 俺は、そう、この世界を守護し愛する為に、異世界から召喚された勇者的な存在だぜ、そういう事でよろしく。


「雑魚が、訓練をさぼるなぁ!」


 声とともに、ぽかん、じゃなくコレはボカン!くらいの威力のゲンコツが落とされる。


「いてぇえええええええええええ!!!ガチでマジで!!いてぇええ!」


「もう一発、必要なのかぁ? あああ!」


 そういう風に、俺はやりたくもない訓練を、半ば以上が強制で強要されていた。


「熱い、なんでこんな熱い中で、訓練するんだ、馬鹿だろうが」


「無駄口は慎め、こういう気候でも問題なく、動けるように成る為の訓練だと思え」


 対する王国騎士女は涼しい顔だ、本当に悟りの境地の、その先に居る人間が見せる顔だ。

 俺は別に、特段は、カッコイイと思わなかったり思ったりしないんだからねぇ! 



「さて、訓練が終わった、今日も地道すぎる、過ぎて嫌になるレベル上げが終わったのだ」


「御苦労御苦労、大変だったろうね」


 ここは王国のどこか、そう、どっかだ、喋るのに便利な机といすがあるだけの、そんな場所。

 眼前には美少女、これはもう言わなくても良いな、そう胸が無条件でウキウキする、だから必然的に物語では登場する感じの。


「お前は良いよな、魔術師で、涼しい室内で、ただスペルとかのお勉強をすればいいだけなんだ」


「いやいや、けっこう大変だよ、速読とかするし、普通に大学受験とかを思い出すレベルなんだよ」


 そうかい、インテリジェンスの高そうなこって、俺は馬鹿だから、戦士になるしかなかったのだ。


「それより、王国の防衛は大丈夫なのか?」


「そうだね、僕のリサーチした感じだと、まだまだ大丈夫だよ」


 リサーチと言って、一冊のデス的なノートデスを、こちらに差し出す。


「見ておいて、君はこの王国でも、それなりに重要なポストに居ると思うから」


「そうか、だよなぁ! 俺って主人公だものな」


 俺の発言に、やや微妙な顔でも頷いてくれる。


「そうだよ、君は沢山の主人公の、一人なのだからね」



 さて、戦況はこうだ。

 今は初期の初期だ。

 王国は東のオークから、それだけにしか、今のところ侵攻されてないのだ。


「オークって、最悪だな、攻め落とされたら、みんな凌辱されそうだな」


「おいおい、そのワードは出さないでおこうよ」


 ノートを見ながらの独り言に律儀に突っ込まれつつ、俺は独自考察をする。


 このゲームにおける重要点は、いかにユニークキャラ、つまりはヒロインを殺されないか、にある。

 ヒロインは基本馬鹿なので、放っておくと簡単に敵に捕まり、犯されたり殺されたりしてしまう。

 それをまあ、プレイヤーがフォローして、うまく手ごまとして使うのが重要だ。

 まあ、中には、どう考えても人が動かしてそうな、頭の良いAIが搭載されてそうなヒロインも居るには居るがごく少数。


「そうだ、一応聞いておこう、外道派は、今回のゲームに居るのか?」


「いや、それはどうかな、僕のリサーチ結果には、そういうプレイヤーは居なかったけど」


 外道派とは、

 この王国には沢山の騎士女がいる、騎士に限らずとも魔法使いとか色々、獣耳系とかロボットみたいな奴も沢山いる。

 そういう奴らは共通して、姫を溺愛している、が万一姫が殺されると、狂化して強化される。


「そういう戦法というか、鬱パートが大好きな連中が居たら、一応は警戒するべきなんだよなぁ」


「確かに、短期的に見れば手強いけど、長期的に見ればマイナスにしかならない場合が多いからね」


「いいや、俺はそういうの分からないが、ただ俺が姫大好きだから、絶対に駄目なだけなんだけどな」


 さて、姫が凄く可愛いのはともかく、初期の戦法は、ただひたすらに基本的な事を整えることだ。


「プレイヤーは、まあそれなりにやるだろ。

 可愛いヒロインが傍にいるんだ、美人家庭教師に教えられる生徒のように、一定の成果を出すのは期待して良いだろ」


「そうだね、問題は戦線に送った一部部隊に限られるよ」


 そう、王国が直轄的に支配出来ている領域、その最外辺を越えた所にある場所。

 ただ言葉通りの、純粋なる戦線に、部隊はこの時期でも送られるのだ。


「送らないと、駄目なんだよな」


「送らなくてもいいけど、王国の防衛線で戦えば、絶対に一部が突破して、被害がほぼ100%出るよね」


 そうなのだ、このゲームはそういう風にできている、それだけのこと。

 そしてこの場合の被害とは、実質的に絶対に被ってはいけない。

 言うなら、それが絶対防衛線なのだ。


「あれは、言うなら聖域だ」


「という意味での、民間人的なポジションのモブNPCなのだけどね」 


「馬鹿が、あんな可愛い幼女たちが、モブで片づけられるかぁ!」


「あーはいはい、分かったから、幼女って単語は自重しようね君」


 というわけで、そういう事なのである。


「さて、戦線に送った奴らは、一応は凄腕だ、だが補充が必要だろう、色々な意味で、いつ送る?」


「そうだね、もう、すぐにでも送らないと、やばいよ、ほら、ここを見て」


 指示した場所は、被害ゼロ、だが撤退回数が増えて、ジリジリと後退している地図上。


「最悪は、オークの突撃力で万が一突破されて、そのまま王国領内にってか」


「そう、突破後のオーク達の進路は、だいたい規定されてるけどね」


 オーク領から王国領までは、敵の直進は確定。

 だがこの、防衛部隊などの突破後の進路というのが曲者で、ほとんどの場合において不透明なのだ。


「でもその全部に、完全に突破後の敵を堰き止めるだけの余剰部隊を、現状配置できないぜ」


「そういう話、補填が間に合うか、これはケースバイケース、賭けになるからね」


 だから、戦線に補充を出すしかないのだ。


「だが、今、鍛錬せずに、これから先があるか?」


「ないね、戦線に送るメリットは、今のところ皆無だし、戦線部隊は早急に鍛錬をしないと取り残される形になる」


 初期の苦しい所だな、これは。

 戦線に送った奴らは、HPだけ高いだけで経験値がほぼないモブオークと無駄に戦ってるような形だ。

 それがこのゲームの、徒労という戦闘を演出する面白いところなのだが、事実上は鬼畜でしかないのだ。


「補充は出したくない、戦線はこのまま、打つ手なしか?」


「防衛線を、多少期待できる形で、構築しなおそうか?」


「駄目だ、防衛線は東西南北に一人ずつ、固定の指揮官が居る、バランス良く配置する必要がある。

 だから偏りを作るのは実質無理だろ、鍛錬値が下がる」 


 防衛線、それは、王国最外辺を全部固める、万里の長城の様な城壁、それとそこに詰めるNPC、加えて砦群だ。

 それらを一口に纏めて、防衛線と呼んでいるのだ。

 そして、初期の苦しい所その一として上げられるのは、その脆弱さだ。


「確かに、東のオークを撃退できるだろうな、全部じゃなくても、取りこぼしを、東西南北の防衛戦力を、東に偏らせれば」


「でも、それも問題があると、無視できないね」


「ああ、紙吹雪のように、防衛人員が死傷する、城壁も損壊するし、砦の貴重な兵器群も、大して有用に使われず敵に破壊される」


 それは一言で言えば、甚大な被害だ。

 それも初期というのは、これから爆発的にインフレ革命する為の、大事な元手なので、資源を無駄に消費する形は致命的という事。


「そういえば、鍛錬値って、というより、その前の前くらいの前提として、防衛線部隊って、僕はあまり期待してないけど」


「だろうよ、典型的な魔法使いの考えそうな事だな」


「だね、流石に対艦巨砲主義的な、大魔法の殲滅戦術は、ロマンがあるけど、愚策かな」


「そういう事だ、そういう事はゲームでやってろ」


「散々ゲームでやってきたよ、だから満足。

 どうやら僕は先の先まで見通しているね、ここで愚策を犯さない」


「だいたい防衛線プラスって発想は無いのか?」


「うーん、彼らを維持するのって、お金がかかるんだけど、そのお金を、ね」


「魔術研究にってか、泣きをみろ、コボルトの大群に群がられたときに、奴らの強さがピースになるんだ」


 閑話休題、話が逸れた。


「さて、防衛線の陣容は不変、だったら、どうする?」


「僕から言えるのは、提案という形で、一番マシな案を提示する事だけだよ」


「その前に、俺からの提案も聞いてくれ」


「こころよく聞くよ、何かな?」


 さっきも言ったが、王国の防衛線は、形だけの張りぼてなのだ、少なくとも今のところは。

 つまり、防衛線で待ち構えてるのは、雑兵である。

 敵は防衛線の外からやってくるので、もちろん城壁やら何やらで多少は有利になる。


「誘い込み戦術だ」


「ノット、それは駄目だね」


「なんだ、その気障な返しは」


「君が余りにも愚策な愚策を提示するからだよ、そんなのは駄目だ」


「理由を聞こうか?」


 誘い込み戦術とは、

 城壁を解放して、敵を王城くらいにまで侵入させるのだ。

 王国は王城を中心に同心円状なので、もし上手く誘き出せば、王城で持久しながら、360度の防衛線から兵を向けて、敵を袋にできるという。

 さらに言えば、王城の方が防衛力は純粋に高い、姫も、なんか不可思議な魔法で、兵に能力補正強化をかけるしな。


「昔一度、ええと、何時だったかなぁ、とにかく、前のゲームで、その戦法を使った時があったのさ」


「ふーむ、そうか、それで?」


「敵は確かに誘い込めた、だけど、何時までも敵が、四方八方を敵に囲まれて、馬鹿みたいに遅滞戦術の虜になると思う?」


「さあ、どうだろうな、結果的には、どうなったんだ?」


「どうやら、そういう状況下では、危機感を覚えるようなアルゴリズムがあるみたいなんだ、敵は撤退して行ったよ」


「はあ、それは良い事なんじゃないか? 成功じゃないか?」


「東にだよ、敵は一部の抜けてきた奴らだから、東には今なお戦っている戦線部隊がいるじゃない」


 つまりは撤退した敵と、眼前の敵に、戦線にいる奴らが挟撃されるという。


「確かに駄目だな」


「そう、駄目なんだよね、これは」


 ここで、このゲームの仕組みをしらない人間は、不可思議に思うだろう。

 なぜ、誘い込んだ敵をせん滅しないのかと、当然だ、俺も殲滅したい、一気にな。

 だが、駄目なのだ。


「秋まで、戦況を停滞させるのを前提にするなら、補充以外に、もう無いんじゃない?」


「秋か、できれば冬まで、このままやりたい所だが」


「それは贅沢過ぎるよ、だいたい冬に入ればオークは侵攻は止める、彼らは冬眠するからね」


「はあ、でもそうすると、次の夏に抱える事になる敵のリミッターが振りきれるか」


「そういう事、彼らを生かすのは秋までがベストなの」


「奴らをこのまま殲滅せずに、遅滞戦術でやってれば、奴らは他の所にも触手を伸ばす。

 全体の戦況的に、この敵の誘導は外せないからな」


「オークは80%くらいで西か、他の敵に向かって行くからね。

 この動きで稼げる貯金、好きに利用できる時間は決定的、それは致命的に多いよ」


「で、話は戻るが」


「どこまで戻るの?」


「最初の話だ、この眼前の危機は、どうする?」


「凄腕って、本当に、この戦線に送った人達だけなの?」


「ああ、そうだ」


 戦線に送った奴らは、本当に徒労としか言えない戦いをしている。

 王国で鍛錬している奴らと比べて、これから明らかに戦力としては劣る事になる。 

 普通、弱いままの部隊は、これから先、インフレする敵の軍勢と戦えず、加速度的に加熱する戦場から遠ざけるしか無くなるのだ。

 だが奴らなら、おそらく、そんな多少といえないハンデを何ともせず、超絶神プレイで挽回できるポテンシャルがあるのだ。


「高知能AI、ヒロインを送るというのは、どうかな?」


「それは、ちょっと、人道的に駄目だろ?」


「どうして?」


「お前は正気か、敵はオークだぞ?」


「それが、なにか問題でも?」


「お前は、ガチの、姫騎士凌辱というモノを、現実にしたいという、、、救いようがない下種、変態なのか?」


 そうだ、オークにだけは、駄目だろう、俺の心情が許さん。


「えーと、そういう言葉遊びを、僕としたいっていう、そういう事かな?」


「どういうことだ? 俺は本気だ」


「ああ、ごめん、なんかアレなゲームの日常パートを彷彿とさせる、なんか緩いやり取りだったから、、、」


「おい、今の会話は本当に大事な、緩さとは無縁のがち会話だったろうがぁ!」


「あーうん、ごめんよぉ、僕が悪かったよ」


「そうだ、お前が全面的に悪い、100パーな」


 さて、話は振り出しに戻ったが、無駄ではない、いろいろと考えるべき事は成った。


「オークに犯されても、精神崩壊しないようなヒロインを送るか」


「えーーー!!!」


 そういう話で選定が始まった、もちろんヒロインの居ない所で。


 ちなみに、これにはちゃんとした根拠というか、戦術的なメリット、利点がある。


 まず、ヒロイン部隊を組織する。

 仮にもし、ヒロインが捕まれば、犯されるのは必定、オークは性欲が旺盛で、美しい人間の女が一番大好物だから。

 そして、いろいろ楽しんでる最中の奴らは、ハッキリと雑魚、救出と奇襲が同時にできると、そういうわけだ。


「さて、コイツだな、見るからに調子にのっている、一目でゴミと分かるクソ女ヒロインだ」


「えーと、その子、魔術学園の主席なんだけどぉ?」


「ほお、なおさらいいな。

 第一、この釣り目が気にいらん、自信たっぷりの、この口元はなんだ、調子に乗り過ぎているな」


「ううん、確かに、精神ポイントが高いね、選定候補かも」


「いいや確定だ、こいつが犯されて、泣いて帰ってくるところを、絶対に見たい!」


「ええと、君、真面目にやってる?」


 疑わしい目つきだった、俺という存在に、根源的な懐疑を持ち始めてるような、、、。


「いいや、うん、楽しみながら、も、俺は真面目にやっているぞ」


 さて、最善は尽くしただろう?

 これからどうなるか、神のみぞ知る運命の導き手に委ねられるだろうよ。

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