魔法発表会。
魔法暦7億9千8百7じゅう3と1ヶ月、私たち、ノートブック魔法学院の魔法発表会が、あと、一週間で開催されます。
ありすは、魔法発表会が楽しみでしょうがありません。何せ初めての発表会ですから。ありすたちにとって。
「きららちゃん。今回の発表会、どんな魔法を発表するのー?」
「うーん、迷ってるんだ。ブリザードの魔法で、氷の彫刻もいいかなって。」
「え。ブリザードで氷の彫刻。いいねー。でも、ブリザードって難しいじゃん。しかも、彫刻。めんどい。」
「めんどくさがっちゃ駄目だよ、ありすちゃん。」
「何の彫刻作るのさ。どんな感じのものを作るのさ。」
「それは本番のお楽しみだよ、ありすちゃん。」
「うー。気になる、きららちゃんの彫刻。」
「それよりありすちゃんは、どんな、発表するの?」
「それがさー、全然、浮かばないんだよねー、アイデアがー。発表会は超楽しみなんだけどさ。」
「私も、ちょー楽しみなのよね。こんにちは、皆様。」
「げ。レン。くんなしー。」
「私は、今回は、治癒の魔法を使った、魔法作品を作るつもりなの。で、皆様は?」
「お前にゃ教えないニャー。にゃーにゃー。」
猫なで声の魔法をアリスは二度唱えた。
「私は、ブリザードの魔法を使って氷の彫刻を作るつもりです。にゃーにゃー。」
きららも猫なで声の魔法を二度唱えた。
「にゃーにゃー言ってると、本番当日、猫に祟られますよ。では、皆さん、またねー。」
レンはその場からスッといなくなった。
ありすは、一人になった。
「特訓じゃい。」
「うっす。」
この前倒して仲間になった、二匹のスライムを相手に、魔法の特訓です。
本番当日-。
「皆さん、今回の、第7千3百7十1回、魔法発表会、開催いたします。」
ドーンドーン
綺麗な花火が上がります。
お客様は、クレマチス王国のみんな。みんなが声援を送っています。
次々に凝った魔法を使って、みんなが素敵な発表をしていきます。
「大丈夫かなー。私の魔法成功するかな。」
「一週間も特訓したんだから大丈夫だよ。ありすちゃん。でも、私も自分の魔法心配なんだ。」
「とりあえず頑張ろう。一生懸命やれば失敗してもみんなも褒めてくれるよ。ありすちゃん。」
「失敗は成功の元、とはいっても、絶対に失敗できない。絶対に失敗なんてできないにゃー。」
「第百二十四番、如月きららさん。氷柱の中のオブジェクト。」
頑張る、気持ちを固めた私は、舞い始めました。このステップはエルフの基本的な動作のひとつで、この音楽にはぴったりだと思って、練習しました。ワンツークルリ、スッと止まって、ニコリと笑って、クルクルと回って決め!
「すごーい。きららちゃん。」
みんなの応援を確認しながら、
「ブリザード、ドラゴニアー。」
スッと、あたりが静かになり、冷たい冷気がただようと、光と共に、氷の彫刻が目の前に現れます。
光が落ち着くと、そこには、美しい竜の彫刻が、
「おーーーーーーー。」
先生たちも感激してくれています。
「ありがとうございました。」
私は、しっかりとおじぎをするとみんなから、盛大な、拍手が聞こえました。
やった、て思ったけど、エルフ族らしくテレポートで、その場から消えました。そして、そっと、元の席に座りました。
「第百二十五番、藍田ありすさん。私のキャンディー。」
よっしゃー。やったるぜい。と気合満々のありすは、召喚の魔法を唱えます。
「かもーんすらいむ。かもーんすらいむ、ニャー。」
猫耳のついたスライムが、二百匹登場。
「OK。レッツダンスだすらいむよー。ニャー。」
太鼓のリズムに合わせ。スライムが踊りだしました。
それにあわせて、ありすも踊ります。
ドンッドンッ太鼓のリズムに合わせて踊ります。
太鼓の音が鳴り止みました。私も決めなくちゃ。ありすはそう思いました。
「ふれなーで。きゃんでぃーがーワンワン。にゃー。」
すると、スライム二百匹が、スッと消えその代わりに二千本のキャンディーが客席のみんなのもとに飛び散っていきます。
「わーーーーーー、キャンディーだー。これ、おいしいんだよな。」
「ありがとうございました。」
拍手喝采です。
にぱーーーーーー。
ありすの発表は、終わりました。
めでたしめでたし。
ところで、レンさんの魔法の発表は、どうしたのでしょうか?
「わたくし、人前に出れないほど、繊細ですの。はっくしょん。」
治癒の魔法の発表は今度にお預けみたいですね。うふふふふ。はーーっくしょん。
続く。