悪魔界へ。
私はほうきのベスに乗り、いざ悪魔界へと向かう。
魔界と天界とは離れた場所にあると言う。
「気を付けてね……」
「しっかりな」
「こちらも応援にいくぞ」
皆の言葉に見送られ、悪魔界へ。
魔界を出て暗い森の上を飛ぶ。
「ねぇベス……。 悪魔ってどんなかしら?」
「さあね。 私も分からないわ。 でもきっと恐ろしい奴らよ」
「やだ。 脅かさないでよ……」
ビクビクしながら辺りを見回す。
鬱蒼とした森を超え、黒い雲の中へ入った。
「やだぁ〜っ。 前が見えない」
「あんた魔女でしょ? 何か魔法使えないの⁈ 灯りとかさ」
「灯り? ああ。 なんかあったわ!」
「しっかりしてよ……」
ベスに言われて呪文を唱える。
ほわーっと周りが明るくなった。
「少しはましかしら?」
「ほんの少しね……」
頼りない灯りで先に進む。
暫く飛んでいると、目の前に大きくて暗い城らしき建物が見えた。
「捻りのない分かり易い建物よね……」
「いかにも悪魔の城です。 って感じ」
本当にいかにも悪魔の城って感じの建物を見て感想を言った。
「それにしても静かじゃない?」
「一応聖水かけたから、 弱い悪魔には姿が見えないの」
「聖水⁈ 早く言ってよね。 余計に驚きたくないから。 しかし魔女が聖水って……」
「身を守る為だし、 私天使でもあるのよ?」
「そうね。 で、 何処へ向かうの?」
「じじ様は城に行けって言ってたわ。 城の悪魔が人間界へ行くんだって」
「じゃあまさに目の前の建物へ入るのね」
「宜しく。 ベス……」
私達は低空飛行をしながら、悪魔の城らしき建物へと近づく。
入口を探すがない。
「何処から入るのかしら?」
「窓からはいっちゃう?」
「あんたも無茶な子よね……」
ベスは無茶だと言うが、正式な入口がないし、このまま飛ぶのも危険だし。
とにかく窓を探した。
「あっ。 ほらあそこ! 窓があるわ」
小声でベスに伝えた。
城の中腹辺りに小窓が見える。
「じゃああそこに降りるわよ?」
小窓へと飛び、足場みたいな物があったのでそこへ降りた。
ベスを小さくし、私は小窓をそっと開けた。
「うわ〜! いかにもって中まで?」
暗くてジメジメしている部屋を覗き、そう言った。
「イメージ何ていいから、 入るわよ」
ベスに言われて中へ入る。
大きな部屋は暗く、壁も真っ黒で何もない。
不気味なテーブルが中央に置かれているだけだ。
「気配すらないわね……」
「皆居ないのかしら?」
向こう側にドアが見えたが、いきなりは行かない。
罠があるかも知れないし。
「浮遊魔法で行けば?」
「空中に罠があるかも知れないわ」
あたしは壁づたいにドアへとゆっくり歩く。
「ドアの向こうは何があるのかしら?」
そう言って両手で口を塞いだ。
「誰かいる……?」
ドアの外に何やら気配を感じた。
「こちらの気配は聖水のおかげでバレてないけど、 誰かいるわね 」
ドアの鍵穴からそっと覗いた。
あれが悪魔……。
姿形はあたし達とはさほど変わらないが、顔が赤黒いし、角みたいなものが頭に一本生えている悪魔が二人いた。
昔話でおばば様に聴いた通りの姿がそこにあった。
「どうする?」
「話を聴いて見ましょう」
あたしは人の話が良く聴こえる魔法をかけた。
「魔女も色々使えるわね」
「ありがと……」
鍵穴に耳をあて、外の悪魔の話を聴いた。
「人間界へはどの位の者が行った?」
「はっ。 偵察で五名ほど……」
「ふーむ。 では報告を待つか。 天界も魔界も慌てておるな。 人間界へ行かれては手も足も出ん。 まあせいぜい足掻く事だ」
「聴いた? やな奴よね!」
「まあ悪魔だから……」
しかし人間界へと偵察部隊が行ってしまったら、あたし達も人間界へ行かなきゃならないし、その前にこれ以上行かない様にしなきゃならないのよね?
さて、どうしたものかしら。
広い部屋の中、あたしはベスと考えた。