王子と魔女の娘
ここは魔女の住む深い深い森の中。
魔女の掟を破った者達の住む、小さな集落。
小高い丘の上に、一際大きな家が一軒。
そこに住む者は、掟を破った大魔女の娘と、とある王国の第一王子。
そして一人娘の見習い魔女。
天界の大国の第一王子と、魔女界の大魔女の
娘が恋に落ちた。
彼の名前はジョル。天界の王子。
彼女の名前はリリア。魔女の娘。
ある年に開かれた天界と魔女界の交流会。
二人は出会ってしまった。
しかし、異界の者同士の結婚など認められていない。
勿論二人はそんな事は承知していた。
だが。出会ってしまったのだから仕方ない。
直ぐ様お互いの両親に報告。
「彼女なしでは生きられません。 王子の座など捨てても構わない。 どうかお許し下さい。 父上、 母上……」
「お母様。 私は彼を失いたくありません。 魔女の世界で生きていけなくとも構いません。 お許し下さいませ……」
そんな二人の姿に、お互いの両親は話し合った。
実例がない。
しかし、若い二人の真剣な想い。分からなくもない。
「まぁ、 いいんじゃないの?」
天界の王がそう言った。
「仕方ないし……」
魔女界の大魔女もそう言った。
「魔界のお父様には、 報告しておくから。 結婚しなさい。 でも……。 掟を破る事になります。 それに従い、 森での生活になりますよ。 覚悟は宜しくて?」
そんな感じで結婚を許された二人。
仲良く森の中で暮らし始めた。
そしてある年。
一人の女の子が誕生した……。
それがあたし。シオン。
天界の王子のパパと、魔女界の魔女のママの一人娘。
森の集落で、魔女修行中。
天界の王子のパパは、実は天使。
天使界の王国の第一王子だったけど、ママと出会って結婚した。
素敵な話よね。 しかも心の広いお祖父様とお祖母様と、ママのママ。大魔女のおばば様はもっと素敵。
異界の者同士の結婚を許すなんて。
一年に一度、天界へ連れて行ってもらい、お祖父様達にお会いするのがとても楽しみ。
王国を継がれたおじ様も優しいし、幸せ。
大魔女のおばば様はちょっと厳しい。
十五になった私に、本格的に魔女修行しろって、張り切ってるし。
でも、おばば様もあたしは大好き。
修行は厳しいけど。
やっと乗れたホウキのベスとも、だいぶ仲良くなってきた。
ベスは女の子だから、話が合うし、空を飛びながら色々話をしたり、毎日楽しく修行中。
そんな幸せ平和な日々を送っていたあたし。
この後、幸せが脅かす事が来ようとは、考えてもなかった。
確かに、考えないでしょ。普通に……。