高校初日目
俺の通う、藤並高校がある駅にたどり着き、電車を降りる。
中学までは地元の学校に通っていたため(まぁ行ってはないが)電車通学は初めてだ。
高校にはどんな人がいるんだろうなぁと期待を抱きながら改札を出る。
理想としてはイジメなんて絶対にない仲間想いなクラスが良い。絶対に良い。
駅を出ると、俺と同じ学校の制服を着ている人がたくさん歩いていて、
みんな少し緊張しているのか少し浮き足立っているのがわかる。
俺はその光景を見て、正直かなりホッとする。
高校と言えば、また一からのスタート。
つまり高校に入学した時点で俺のいじめられっこと言う称号は無くなる訳だ。
クラスの人気者になり、派手に高校デビューを決める可能性だってある。
いわば高校入学は、俺にとっては絶好のチャンスなのだ。
だが、そのチャンスを物にできるかとなると、難しい。
引きこもりだった為、流行なんてわからないし、
ましてやオシャレなんてもってのほかだ。
良い友達を作ってセンスを伝授してもらうのが一番無難だろうが、
そんな友達、俺なんかににできるのだろうか……。
☆
期待と不安で胸が一杯になりつつも入学式を終え、
指定された教室に移動して、自分の席に座る。
真ん中の後ろから二番目の席が俺の席だった。
席に着いてすぐ、教室を見渡してみると
他のクラスメイトも初日という事もあり大人しく座っているようだ。
後ろから二番目の席からじゃ大半のクラスメイトの顔を見る事が出来ないな。
馬鹿校ではないはずだから不良はいないと思うが……
その後は、担任の挨拶とクラスメイトの自己紹介だった。
俺は若干詰まりかけるもなんとか普通の自己紹介をし、
他のクラスメイトをじっくりと観察していた。
全体的に明るく大らかな奴が多く、予想した通り
俺の大キライなDQNはいないようだった。それだけでもかなり嬉しい。
さらに、男として素直に喜ばしかったのは女子のレベルが全体的に高い事だ。
もしかすると既に彼氏がいるのかもしれないが、それでも顔がニヤけてしまう。
やべぇ、何かこれからがすげぇ楽しみだ。さっきまで不安だった自分が馬鹿みたいだ。
よし、絶対に良い友達を見つけて高校デビューしてやる……!
元引きこもりでもなんとかなるって証明してやる!
こうして俺は、藤並高校での初日を気持ち良く終える事が出来た。