魂?
彼は今江戸の町上空ちょうどギルドの真上を落下している。
重力操作でスピードを上げつつ慣性操作で精密な落下軌道の補正をする。早く
もっと早く・・・そう彼は約束の時間に遅れそうなのだ・・・ただいまの時刻5時57分
そして、ついに地面に到着する。慣性操作でまるでさっきまでの落下がなかったかのよう
に地面に降り立つ。その刹那、冒険者ギルドの裏口のドアが開く。メリーだ。
「・・あっ、怒龍さん待ちましたか~」
「いや、ちょうど今来たところだ、今」
「そうですか、良かった・・・・・・?」
デートの待ち合わせによくありがちな会話をしつつ彼は左手を上空に向ける。
その行動に彼女・・メリーは疑問を浮かべる。その数瞬後彼の左手に自然落下
してきた千刀龍、ゼロが掴まれる。
「・・・あまり街中でそれ使わないでって言ってるじゃないですか~どうするんですか~討伐依頼出された
ら~」
「帰り打ち?」
「犯罪者・・・」
「冗談だって」
たわいもない話をしながらも移動を始めることにする・・・。話していても仕方がないのだ。
ちなみに〇〇操作などを用いた身体強化や世界の理に介入することでできる加速方法を迷宮内外での戦闘
以外に使用すると犯罪になってしまう。・・・さっきの事は忘れてくれ、
「まあとりあえず、時間も時間だし飯にするか?・・どこがいい?」
「そうですね~・・・怒龍さんが良く行く所とかはどうですか?」
「・・・無法になるけどいいか?・・じゃあ行きますか」
というわけでやってきたのは怒龍家斜め向かいにあるシー・デイジーの切り盛りする食堂兼宿になっている
所だ。寺田・デイジーはもとAランク相当の冒険者だったらしいが夫である辰五郎の死を機に冒険者を引
退、その後宿兼食堂の女主人として無法地帯に住み、現在は彼の恋人におさまっている。
ちなみに彼女は豹の獣人だ。
「珍しいじゃない銀時・・あんたが人連れてくるなんて・・・」
「別にいいだろ・・こいつも、あれなんだ・・」
「あれねー、でもいいじゃないか・・あれのおかげで私も・・」
「あの~あれって何ですか?」
「?・・まだ話してないのかい?・・・まあ、ゆっくりと話すといいよ・・・私は離れるつもりはない
からね」
1人話に付いていけていないメリーが説明を求める。立ったままでは何かとあれなので奥に入れてもらい落
ち着く。彼が今日のおススメを2つ注文した所で、話が始まる。
「・・・まず1ヵ月俺が何をしていたか化から離さなければいけないな・・俺が便利屋やってんのは知って
るだろ?・・・1月前にな、運命を見定める神に依頼を受けたんだよ」
「神・・ですか・・・」
「ああ、その神にな、死の運命にある竜を助けてほしいとそう依頼を受けたんだ・・依頼自体は27日ちょ
いでどうにかなったんだが対価に貰った知識、俺の特性の中で唯一効果の分からなかった魂の輝きについ
てのほうが厄介だった・・・正直知らない方が良かったかもしれない・・・」
「・・どんなものだったのですか・・・」
「・・・聞く覚悟が、あるか?・・・・・」
少々長々と話していた彼だが特性:魂の輝きの効果を話すあたりになると急にまじめな顔になりメリーに
覚悟があるかどうかを問いかける。・・と、そこにちょうど料理が届き、デイジーが一言いっていく。
「別に覚悟がどうこう言う話じゃないだろうに・・大丈夫さこの子も私と一緒だよ・・・きっと」
「・・・続きを・・どうぞ」
「・・俺の欲望をかなえるのにいい方に働きそうな意思のある生命体に俺の魂の輝きを見せつけて魅了す
る・・そういう特性だそうだ・・お前は・・どうだろうな、俺ァこの知識を頭ん中に入れられた時から自分
に自信が無くなっちまって・・・俺が今まで犠牲にしてきた命はみんな俺が殺したも同然なのかなっ
て・・」
「・・・違います・・あなたは・あなたの魂はそんな汚れた色じゃありませんでした。明るく透き通った
綺麗な緑色でした。・・・もっと自分に自信を持ってください、・・・私は・・私はそんなあなたを好き
になったんです。・・私はあなたを信じていますからっ」
「そうか・・少しすっきりしたよ、ありがとう」
「・・ほらね、私の言ったとうりだろ?」
「・・・確かに、女同士分かることがあるんだな」
自分のやってきたこと、魂について色々話したがメリーはすべてを理解しそれでも彼を愛することと決め
た。・・これすらも神の創った特性:魂の輝きの効果かもしれないが、最終的には彼女の意思にいきつくの
だろうか?そう感じさせることすらも、もしかしたらその効果なのかも知れない・・・。
そして、夜は更けていく・・・
「・・さて、ちょっとしんみりしちまったな・・今日はありがとう」
「あの、今日は泊って言ってもいいですか?・・怒龍さんの家に」
「ああ、俺は構わない」
「へー、気をつけなよ、銀時はあっちになるとずいぶん変わるからねー」
「余計なこと言ってんじゃねー!」
「大丈夫です、覚悟はできていますから・・・・」
「お前も何言ってんだよ・・・まあいいや・・」