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鬼の迷宮

ギルドから出た彼は腰から千刀竜を柄ごと抜き放ち、コンビニの駐車場に投げ


つける。すると刀が一瞬にして緑色の龍の姿の変わり、大型車用のスペースに


降り立つ。駐車スペースぴったりなのは彼なりの配慮だろう。



「ゼロ、鬼まで頼む」


『主、最近扱いが雑だ・・・』


「仕方ねーだろう、こんなご時世だ、使ってるだけありがたく思いな」


『・・・・まあ、良かろう。鬼だったな、乗れ。』



彼、千刀竜ことゼロは、神々の創りし武具≪エーテル武具ウェポン≫の


1つであり龍と刀の両方の姿のなれる。また、主を決めたその時から主の思考に


介入し主の体から離れていても主の思考のとうりに動くことができる。それに加え、


名前の通りに千本までの分体を任意で創りだすことができる。


彼とゼロの出会いは攘夷戦争が始まったころだった。ここではあえて回想はしない


がゼロを手に入れるための試練、もといゼロとの戦いは、壮絶なものだった。


ちなみに、彼の言う鬼とは、鬼の迷宮のことであり、Bランク推奨の迷宮だ。


迷宮内に神の使いである気まぐれな精霊が宝箱を設置する確率が78%と


割のいい報酬が見込める。



『ほら着いたぞ・・・』


「・・・・・・」


『・・・寝るなっ!!』


「ああ・・悪ぃ・・・行くか・・・」



彼は寝ぼけながらも迷宮の中に入っていく。鬼の迷宮は地図で言うとだいたい


新潟北部に位置している。このあたりで天異人集団≪メトロポリス≫が活動して


いるらしいが、彼には関係ないだろう。



鬼の迷宮1階・・・静まり返っている。



「おかしい、いつもならもっと気配があるはずだ」


『・・・主、耳をすませ・・・。』



何だよ・・・と思いつつも耳に神経を集中すると冒険者として強化された聴覚


が奥の階段付近に声をとらえた。「・・へへへ・・オイ・・・」「ヒッ・・す、


すいませ・・」・・・・・・



「よし、さっさと50階位に行こう!・・・」


『主、怠惰とは人間の七つの大罪に値するものなのではないのか・・・』


「分かったよ・・ったくもう、今日は精霊と戯れる予定だったのにー!!」



言いつつもエーテル化をして、世界に直接干渉し、音の速さ程度まで


加速する。それに伴い思考も加速され、さらに分割された思考で階段までの


最短距離を割り出す。




数分前 鬼の迷宮1階階段付近



そこに彼はいた。どこにでもいそうな少年だ。メガネをかけている。地味だ。


黒髪黒目の人族のようだが、とてもBランクとは、思えないような出で立ちだ。


彼は、とある目的でこの迷宮に来ていた。借金返済ができないがために、ついに


廃業していた時雨一刀流の道場をとられ、母をも連れ去られてしまった。


さらにたちが悪いことに、その組織メトロポリスは、天異人の違法奴隷商を


やっているものたちだった。


母を助けるために今は亡き父の宝刀を手に飛び出してきたが、やはり彼には荷


が重かったらしい。此処まで1度も魔物には出逢わなかったが、ここにきて


≪鬼武者≫に会ってしまった。ランクBプラスの魔物だ。人型で目が紫に染まり


暗く光る両手剣が特徴。換金できる部位は、瞳だ。



『・・・へへへ・・おい・・・死合おうぜ・・・』


「ヒッ・・・す、すいまっせーん」



とりみだしながらも必死になってかまえるが、完全にビビってしまっている。


これでは勝利は見込めないだろう。剣が振り下ろされる。よける・・・が、


追撃に薙ぎ払いが来る。刀で受けるが、数メートル飛ばされてしまう。


更に追撃が来る・・・。「此処までか・・・」と、死を覚悟した時。


音の速度で現われた緑色の龍が鬼武者をひとのみしてしまった。


その瞬間、彼は魂と言うものを見た気がした。




彼は音の速さで迷宮の通路を縦横無尽に走っていた。数匹の鬼武者に遭遇したが


それぞれ、0・3秒ほどでかたずけている。



『主、そろそろだ』


「コーラ飲みてーなー」


『主、我は腹が減ったぞ』


「それは、気がきかなくて悪かったな」



念話で話している間に階段に着いたようだ。少年・・・歳16ほどの少年


が鬼武者と相対している。完全に怖気づいているようにしか見えないが・・・


酔拳だろうか・・・いや意思のない魔物相手にそんなものが効くとは思えない


それに分かりずらいが、あの構えは時雨ではないだろうか。・・・・・・


何だ、ビビりか・・・。分割された思考の中で考えながら右手のゼロを投げてやる。



「ゼロ、あれ食っていいぞ・・・いくぞ!」


『えっ、ちょ、まっ・・うおぉぉ』



鬼武者を巻き込みながら飛んで行ったゼロは階段横の壁にぶつかり飛んで行った。


衝撃波で少年もころがって行ってしまったが、助けたのだから文句は言わせない。


とりあえず声を掛けておく。



「おーい、でぃじょうぶか―」





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