14/17
第十四話
そして、屋敷の玄関が開く。身なりの整った紳士が出てきた。
なんだろう?
この人の顔も認識できない。
私を見ると彼は眉間にしわを寄せてこう言った。
「名前は?」
「五木世那」
「そうですか。五木さまでしたか⋯⋯。旦那様がお待ちしております。お入りくださいませ」
私は客間に通されて、彼が旦那様と言った人の到着を待つ。やがて、部屋のドアが開いて一人の老人が私の対面の椅子に座った。
「久しぶりだね。五木くん」
そう言う彼の顔もやはり霧のような⋯⋯霞のようなもので隠れて私には認識できない。




