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魔王と勇者の学園生活  作者: 宝来星太
はじまり
1/2

余は暇である

「ねぇ、次の小テスト、テレパシーで教えてよ」

「ダメです。そもそもテスト中は魔法の使用禁止です。バレた場合2人とも補修になります」

隣からの予想通りの答えにぶぅと口を尖らせて机に突っ伏した。

「ニアはお堅いね。そんなんじゃモテないよ?」

「別にモテなくてもいいです。それよりも魔王様。あなたはもっとちゃんとすべきです」

うっ、また説教が始まりそうだ。これはヤバいと思い急いで見たくもない、というか見なくてもわかる魔法の教科書を開いた。

「だいたい何で魔法に対して筆記テストがあるの?別にできてたらよくない?」

「何でもできていればいいって訳ではありません。ちゃんと頭の中で理解している事が大切なのです。」

ふ〜ん、そういうものなのかな。ドカンと一発デカいのをお見舞いした方が気持ちいのに。あと簡単にやられてくれるから楽。

「人間は魔王様みたいに無限の魔力に任せてぶっ放せばいいってものではないのです。魔族とは違ってマナも限られてますから。」

マナねぇ。この学園に来て初めて知った言葉だ。いや、聞いたことはあったがそれが何を示すのかは知らなかった。だって考えなくても魔法出せたし。

「それに、人間界のことを知るのは偵察という意味でも必要ですから。」

そうだった。今は偵察しにきてるんだった。

そう、これは偵察。人間界のことを知る目的としてこの学園に来ている。



はじまりは、余の何気ない一言からだった。



「ニア。余は暇である。」

余の部屋の玉座にこれでもかと正しい使い方じゃない、寝そべるようにしながら呟いた。

「何かおもしろいことないの?勇者が攻めてきたとか。」

「ありませんね。今の勇者達ではこの城に辿り着くのも困難。辿り着いたとしても門番にやられるでしょう。」

「そうだよねぇ。あ〜、ひまだな〜。」

玉座に寝そべりながら高い天井を見る。なぁにも変わらない天井があるだけ。あ、蜘蛛発見。

「ていうか最近勇者攻めてきてなくない?なに?人間滅んだ?」

「滅んではいないと思います。ただ最近見ていないのは確かですね。たまに生身の人間が遭難してやってくるも事はありますが。」

そう、ここ最近勇者が攻めてきていない。今までは何回か攻められ、やられた部下のモンスターのためにも、一応この世界の“魔界の王”として戦っていた。ほぼ無限の魔力に身を任せて魔法をぶっ放す方法で。

だがそれも何年も前の話。一応部下モンスターの強化や訓練、地形の改良も加えて対策をして攻めづらくしたのは確かだ。この程度の対策ならあの勇者どもならすぐに攻略して攻めてこれる。だが、ここ最近音沙汰ない。それもあってか余計に暇に感じる。

「何してんだろうね人間達。」

「わかりません。もし暇でしたらー」

そこでニアは言葉を止めた。ニアの方を見ると顔は無表情のままだが、しまったと心の奥で思ってるのがわかる。

「ひまでしたら〜?」

もちろん止めない。なぜなら、その後には絶対楽しい言葉が待っているから。

観念したように声色は変えず、ニアは続きを話し始めた。

「もし暇でしたら魔王様が偵察に行かれてはいかがですか?」

なんと素晴らしい事を言ってくれるのだニアは。さすが長年余と一緒にいるだけの事はあって余のことをわかっている。

おそらく、余は素晴らしくいい笑顔だったのだろう。ニアは、表情は変えないがやってしまったと言わんばかりのため息が出ていた。

「偵察!いいねぇ。最近人間が攻めてこないのも気になっていたし。対策にもなる。あと普通にどんな生活しているのか興味がある。魔界にずっと居るのも退屈だからな。」

元々人間には興味があった。あんなにも体は弱く魔力も多くない人間が、何度も余に戦いを挑む理由はなんなのか。チームで協力しながら余に挑んでくる理由はなんなのか。なぜ回数を追うごとに強くなってくるのか。その裏側が気になっていた。

それとは別に人間という生き物にも興味はあった。どんな生活でどんな物を食べているのか。何を目的にその短い命を使うのか。知りたかった。

「よし!人間界の偵察に行くぞ!」


こうして、余の『ニーナ・アレクサ』の人間界での偵察が始まったのである。


はじめまして。宝来星太と申します。初めて小説を書いてますので、拙い部分もあると思いますが、温かく見守ってくれると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。

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