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【お陰様で4万pv】ハズレスキルで"最弱"霊獣ダンゴムシを引いた俺、実は"最強"霊獣だった件〜戦争を止めろ!王都の次は世界を救え  作者: タルトタタン
第二章 白霊米編

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第11話 大型魔物襲来

早朝


リクは弓を構え、息を詰める。

 

──シュッ。

 

矢は風を裂き、石をも砕く勢いで飛んだ。


「すごいじゃない、リク!」

「お、おはよう……ハンナ」


「毎朝、練習してたの?」

「……うん。俺、何もできないから、戦えるようになりたくて」


「……そんなことないよ」

「え?」

「なんでもない。あとでさ、お昼みんなで外で食べない?」

「ありがとう」



───

 

 白霊米はくれいまいの穂が、朝の陽光にきらめいて揺れた。

芝生に布を広げ、パンやチーズ、サラダを並べてのんびりと過ごす。

リク、ハンナ、ドラコ、そしてダンさん。


 

──その時、空気が変わった。

リクとハンナの背筋を、同時に冷たい感覚が走る。


「……まずいわ、これは雑魚じゃない」

「どうする!? ドラコ!」


ドラコが舞い上がり、目を細めた。

白霊米めがけて突進してくるのは、巨大な熊型の魔物。


「あら……大型ね。けっこう早い」

「焼き払うか……」


 

手に炎を集めるドラコ。だが――

「待って! その魔法は村まで巻き込む!」

「でも、物理じゃ倒れないわよ」


「来たわ!」

ハンナは短剣を構える。


(どうする……? でも、やらなきゃ!)


「俺がやる!」


リクは弓を握りしめ、矢をつがえる。

指先が汗で滑る。


霊力が弓にまとわりつき、狙いは胸。


──放つ!


ズガッ!

矢は突き刺さるも、熊魔物はよろめくだけ。


「くそっ……!」

視界が揺れる。呼吸が荒い。


(落ち着け……思い描け……!)


(進ませない! 守るんだ! ハンナを! 村を!)


もう一度矢をつがえる。

「ハンナは、俺が……絶対守る!!」



手の震えが徐々に止まり、

リクの内から霊力が燃え立つ。


──静かな感覚が巡り、熊の動きがゆっくり見える。



──放つ!


ズガッ!

  

矢が魔物の眼窩を貫き、巨体が地響きを立てて崩れた。


数メートルの距離。リクは息を止めていたことに気づく。

「はぁ……はぁ……やったのか?」


「リク……すごい」

「マジでやったのか!」


ハンナとダンさんが見つめる中、膝はカクカク震えている。

「正直……めっちゃ怖かった」


ドラコが近づき、冷たく言う。

「……あら、まだ息があるわね」


──バキィッ!

拳で頭を粉砕した。


「ドラコ……!」

「ハンナ、ごめんね。私の魔法、範囲が広すぎるの」

「……大丈夫。ありがとう」



───


 タロが恐る恐る近づく。

「リク……お前……すげぇな。俺……魔物見えて怖くて家の中逃げちまった……」


足はガクガク震えている。

「でかい熊だな……5メートルはあるぞ……死んでるよな……」

ツンツンとつつく。


「俺にまかせろ! 熊肉は香草で煮てカレーにしよう。夜、みんなで食おうぜ」

「スパイス焼きもいいな」


「カレー最強かよ……熊も食えるのか……おいら300年生きてきたけど、熊食う人間初めて!」

ダンさんが目を丸くする。


「……俺は釣りと料理くらいしか出来ないからな……」

「タロさん……」


「リク君、お前男らしくなったな。おじさんは感動したぞ」

「俺もリク君見習って頑張らないとな……雑魚魔物くらい倒せるように……」

「じゃあ……タロさん。一緒に毎朝筋トレしましょう」

「うぐ……そうだな……」


 

───


夕暮れ、タロのログハウス前。

大鍋の熊肉カレーをみんなで囲む。


「うまっ……! 熊ってこんなにうまいのかよ!」

リクががっつき、ハンナはそっと一口。


「……美味しい。ちょっとクセあるけど、香辛料が効いてる」

「ふふん、これが俺のスパイス配合だ!」

タロは得意げ。


「私は牛肉の方が好きだけど……まあ、これも悪くないわね」

ドラコが肩をすくめる。


──


食後、それぞれ片付けに回る。


小さな丘の上。

リクとハンナは並んで腰を下ろし、静かな夜を眺めていた。


虫の声。頭上には星が瞬き始める。


「……今日のリク、かっこよかったよ」

「え?」

「怖かったはずなのに、ちゃんと仕留めて……本当にかっこよかった」


「そ、そんな……必死だっただけだよ。ハンナが危なかったから、勝手に体が動いて……」

「それが、すごいんだよ」


ハンナが微笑む。


「ねえ、リク」

「ん?」


「……私、実は……おう……」

唇を閉ざし、喉で言葉が渦を巻く。


 

「……お、貴族の家の出なの」

軽く笑ってみせたが、その笑顔はわずかに強ばっていた。


「……ああ、そうなんだ」

リクは変わらず相槌を打つ。


「父がね、すごく厳しい人で……地位や血筋をすごく大事にしてる」

「一般の霊獣使いとは関わるなってずっと言われてきた」


「だけどお母様は、予知能力を持つカラスの霊獣ヨセフの一般霊獣使いで……」

「その能力が買われて嫁いだけど、親族は身分を見下して……すごく嫌だったの」


「リクも嫌じゃない? そんな家系」

声が沈む。


「でもさ、関係ないよ」

「え?」

 

「貴族でも平民でも、誰かのために頑張ってるなら、それでいいじゃん」

「俺は……ハンナとここで過ごせて楽しい」

「どんな身分でも、ハンナはハンナだよ」


「……リク……」


瞳に涙が浮かんだが、ハンナは笑みを作り「ありがとう」と言った。


(……リクって、不器用だけど優しい)



(でも、いつか話さなきゃ……本当は“貴族じゃない”……もっと重い立場……)



───


「おーい!」

丘の下からタロの声。


「熊のスパイス焼きあるけど、食うかー?」


「──っ!」

ハンナが慌てて立ち上がろうとした瞬間、


ドラコが現れ、タロの肩をがしっと掴む。

「ちょっとあなた! 空気読みなさいっ!!」

「え!? な、なにが!? うわっ!!」


スパイス焼きを奪われるタロ。


リクとハンナは顔を見合わせ、ふっと笑った。


星が、少し近く感じた夜だった。





続く

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