表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/19

【13話】舞台は整った!


 アクセサリーショップを出た二人は、小さな公園にやってきた。

 横並びになってベンチに座る。

 

 時刻は正午。

 この公園で昼食を食べようという話になったのだ。

 

 ティオールは持参してきたバスケットを、膝の上に乗せた。

 

「おぉ、おいしそうだ!」


 バスケットのフタを開けたティオールは、顔を綻ばせた。

 

 中にはいっぱいのサンドイッチが入っている。

 レティスは今日のために、いつもより気合を入れて食事を作ってきた。


「うまい! いつも通り、君の作る食事は最高だよ!」


 サンドイッチを食べたティオールが幸せそうに笑う。

 太陽の光に照らされている彼の笑顔は、キラキラと眩しい。

 

(喜んでもらえてよかった)


 レティスはホッと安堵。

 微笑みを口元に浮かべる。

 

「ねぇティオール。どうして今日は誘ってくれたの?」


 そういえばまだ理由を聞いていなかった。

 

 ティオールと出かけられたのだから、理由なんてどうでもいいのかもしれない。

 それでもやっぱり、少しは気になっていた。


「恩返しがしたかった。君と過ごす毎日は本当に楽しい。そのお礼だよ」


 ティオールが真上を向く。

 

「君に共同生活を持ち掛けたのは、最初はシンシアへの罪滅ぼしだった。でも、今は違う」


 顔を戻したティオールがレティスを見つめる。

 その瞳はまっすぐで揺るがない。


「君と一緒にいたいからいる。ただそれだけだ」

「それは私もよ。毎日を楽しいと思えるよになったのは、あなたと出会えたから」


 もし今でも漆黒の影にいたなら、心を殺したままの殺伐とした日々を送っていたはず。

 今のような幸せな感情を得ることは一生なかっただろう。


「あなたが私の人生を変えてくれた。価値を与えてくれた」

 

 両手を重ねたレティスは自分の胸に押し当てた。

 ティオールへの気持ちが、とめどなく溢れていく。

 

(私、ティオールが好き)

 

 このときレティスは、自分の気持ちをはっきりと自覚した。

 レティスはまっすぐな瞳を向ける。

 

 ティオールもそうだ。

 レティスをまっすぐに見つめている。

 

 ゆっくりと体を近づけていく二人。

 距離が少しずつなくなっていく。

 

(これはもう、そういうことよね)

 

 公園には今、二人しかいない。

 完全なる貸し切り状態。

 

 舞台は完全に整っていた。

 

(……いつでもきなさい!)

 

 レティスは瞳をギュッとつぶった。

 ファーストキスを受け入れる準備はバッチリだった。

 

 そのとき。

 

「あいつらチューするぞ!」


 冷やかすような子どもの声が、それを邪魔した。

 

「――!?」

 

 レティスはとっさに瞳を開ける。

 声の方へ顔を向けると、数人の子どもがニヤニヤしながらこっちを見ていた。

 

「ひゅーひゅー!」「チューが見られるぞ!」


 なんというタイミングで現れたのだろう。

 せっかくいい雰囲気だったのに、もう全部ぶち壊しだ。

 

 こんな状況でキスなんてできるはずない。

 二人はそっと体を離した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ