表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

おっさん、買い物は慎重に4

商会長がお縄になったことにより、現場の最高責任者がフォルギンスに任命された。(俺の指名だけどね)


商会には見習いの中にもランクがあり、色別で制服が指定されている。習熟度を一目でわかるようにしているらしい。


見習い1年目は黄色。2年目はみどり。3年目はオレンジ。4年目は青。5年目が紺色に襟首に金色の刺繍だ。


6年目を迎えると、無事一人前の商人としてライセンスが配布される。正規職員にも雇用が再契約となるため、生活も安泰だ。


この世界で一般的に見習いとして働きはじめるのは9歳の誕生日を迎えてから。

6年の修行を経て、15歳からは晴れて一人前&成人だ。


15歳が成人なんて早いと思うが、現代日本と違い医療も高度なものはなく、民間医療や迷信の混じったものなどがかなり多い。

そのため平均寿命もそれなりに低く、子供の成熟度合いも高いのだ。


そのためか、この国での15歳は、かなりしっかりしている。


15歳の頃、俺は何をしていただろうか。

俺はかつての若かりし頃の自分を思い出す。


そう言えばあの頃はバイトで稼いだ給料を全部……ゲームに注ぎ込んでいた気がする……

仲間を集めて冒険して魔王を倒すやつ……

うわあ、懐かしいな! 弱すぎてすぐダンジョンから逃げ帰ってた!

そんでバイトに明け暮れ、勉強もせずゲーム三昧……


ろくでもねえな。俺。恥ずかしくなってきた。

すごいよここの子どもたち。


金刺繍のある見習いは、今日来ている見習いだとフォルギンスしかいない。


俺はフォルギンスを向かいのソファーへ座らせ、先ほどの俺の要望をまるで無視した商品を一度下げさせた。


フォルギンスは緊張の面持ちをしながらも、商会長が置いたままにした書類にざっと目を通し、羽ペンを手に持ち問いかけた。


「先ほどご紹介させていただきました品は、事前のご要望調聞き取り書類にて、お伺いしていた品です。派手で、目立って、主役になれるものなら何でも良いとのご要望でした。とにかくすごいと皆に知らしめたい、と」


フォルギンスの話に俺はおやおやおや、と言った覚えのない自分のリクエストを頭の中で反復する。


ええ、こんなに趣味悪いの? 俺。いや、俺が頼んだ記憶はないから、おそらく俺がこの体に入る前のエリスが注文したものなのだろうか。


エリスちゃん、おじかんが言うのもなんだけど、かなりセンス迷子だよ。


……んなわけあるかい!


今でこそ俺の人格がエリスを押しのけているが、エリスの頃の記憶はちゃんと頭の中にある。


じゃないとマナーとか家族の知識とか、どうしてたんだよって話だ。

エリスの記憶のおかげで、なんとか公爵夫人として動けている。


エリスはそもそも自分が公爵家に輿入れしてから、無駄遣いなんてものはしてない。

常に使用人や執事の反応を気にしていた。


公爵家で肩身の狭い思いをしていた人間が、簡単に商会を家に呼んで、ましてやリクエストをボンボン言いつけるわけが無いのだ。


俺はそばに控える使用人をちらりと見て、小さく口角を上げたのを確認すると、やはりこれは仕組まれたことだと確信する。


ば、バッカにしてくれちゃって〜!

俺、公爵夫人ぞ? 使用人に馬鹿にされていい血ではないのですぞ!


くう、社交界への体裁を整えるために、まだ家のことがおざなりになっていたことがここで仇となるとは。

貴族、難しすぎる。


でもこれを機に公爵家の中も綺麗に「お掃除」するきっかけができた。

ある意味彼女らには感謝だ。


俺はエリスの美貌を最大限に使って、どちらが上かを分からせることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ