幽霊否定派と肯定派
とある小学校での話。
放課後、二人の女子が教室に居残っておしゃべりをしていた。
とりとめない雑談が続き、いつしか話題は怖い話に。
最近テレビで放送された恐怖番組の感想や、学校で噂される七不思議。
片方の少女は「お化けなんていない」という否定派。
もう一人は「もしかしたらいるかも」という肯定派。
お互いに霊の存在の有無について根拠を述べ合い、二人きりでひとしきり盛り上がった。
結局、結論は出なかったが、日も暮れてきたので二人は教室を後にした、
二人の帰り道は途中まで一緒だったが、互いの分かれ道に到着した。
「ばいばい」
「またね」
別れの挨拶をし、いつものように反対方向に歩き始める二人。
そこまではいつもの二人だった。
数日後の朝。
二人はいつも通り教室で顔を合わせた。
けど、何故か「幽霊肯定派」の少女の顔がひどく暗い。
それを変に思った「幽霊否定派」の少女が理由を聞いた。
「肯定派」の少女は、最初、何でもない風を装っていたようだったが、追及され、ついに白状した。
「…あの日、帰り道の途中から、急に霊が見えるようになった」
電信柱の影。
路地の出入り口。
通り過ぎる人たちの肩の上。
etcetc…
おそらく「肯定派」の少女は霊感を得てしまったのだろう。
霊の姿や声が聞こえるようになってしまったのだ。
それを聞いて「否定派」の少女は気の毒に思った。
『霊の姿や声が聞こえるなんて、私には耐えられない』
それに「肯定派」の少女は泣きそうになって呟いた。
「私も嫌だしつらいよ…でも、いまこうして貴女の姿や声を感じられて良かった」
そう言うと「肯定派」の少女は「否定派」の少女の机を見やる。
その視線を追った「否定派」の少女は、机の上に飾られた花瓶の花に凍り付いた。
二人が途中で分かれたあの日の帰り道。
「否定派」の少女は、交通事故に遭って亡くなったという。