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第6話 暗根ヤミ、友達募集中です。

「は、はぁ……」


 何だか意味深なことを言っている外国人リスナーに、ヤミは問いただすことが出来ずに、スルーするしかなかった。

 だって翻訳ミスの可能性や、外国人特有の言い回しの可能性だってある。それを指摘して、無知を晒すのが恐ろしかった。


 そんな、『恥をかく事への恐怖』が、ヤミのコミュ障の原因の一つだった。


「そ、それじゃあ気を取り直して、行きます!」


 ヤミはリボルバーに弾薬を補充して、先に進むのだった。


 ◇◆◇◆◇


「──ぁ、レベルが上がった、かな……?」


 迷宮に入って何度目かの戦闘。コボルドの素早さを学習したヤミは、十分に引きつけてからトリガーを引く様にした。

 運良く集団の敵にはエンカウントせずに、順調に敵を倒していたヤミは、自身の身体が変化していくのを実感していた。


 レベルを得た、というか魔力が身体を強化し始めた時よりは変化が薄く確証が持てなかったが。

 腕時計型の端末を起動すれば、レベル2になった事が表示されていた。


《001|おめでとう》


「あ、ありがとうございます」


 ピロンという通知と共に送られたメッセージに反応して、何とか一言だけ言葉を発する。

 本当はもっと話しかけて交流できれば良いけれど、自分から話しかけるには、外国人というのはハードルが高い。


 出来れば向こうから話題を振ってくれないかなと受動的に待ち構えていると、それを読んだのか、相手から質問がやってくる。


《001|配信の始まりを巻き戻し再生したのだが、君は友人を求めて探索者になったんだね》


「あ──そ、そうですッ!チャット上なら少しは話せるから……でも、全然会話出来ずにすみません。もっと面白い話題を持っていれば良かったんですけど」


《001|いや、君の動きは私には新鮮で初々しいから問題はないのだけど。それより、何で友人を欲するのかが不思議でね》


「ふ、不思議ですか?」


《001|あぁ、君は探索者の才は少なからずあるように思える。謙虚に生きていれば、君1人なら不自由なく生きていけるだろう。それなのに、何故他者との関わりを増やすんだい?》


 そう001は尋ねる。それは超越者として、自分で何もかもができる存在だからこその疑問。他人と交流することなど、面倒でリスクのある無駄な行為にしか思えないのに、ヤミという知的生命体は勇気を振り絞って行動している。

 星を司る神には不思議で仕方がなかったのだ。


「それは──寂しい、からですかね」


《001|寂しい?》


「はい。恥ずかしいですけど、僕は1人で生きていけると思います。探索者講習では好成績でしたし……、さっきレベルが上がって分かりましたけど、探索者としてはソロのが強いと思います」


 それでも、ヤミは友人を欲してやまない。

 笑い合える人が、遊ぶ人が、一緒にいれる人が欲しくてたまらない。

 孤独に慣れてるなんて気取っていた事もあったが、そんなものは誤魔化しでしかなかった。


「それに1人で黙々と生きていても、つまらないじゃないですか」


 先程まで吃っていた時とは違い、スラスラと言葉が出てくる。

 それほどに、心のうちで燃えているこの欲望は強いのだとヤミ自身が実感する。


「それが僕が配信者をして、探索者をしている1番大きい理由なので」


 もちろん、ビッグになりたいって言うのもありますけど。

 そう照れながら笑うヤミに、001は惹きつけられるのが分かった。

 これが全能でないが故の強さで、我々を惹きつけてやまないものなのか、と。


《001|聞かせてくれてありがとう。陰ながら、応援している》


「こちらこそ、見にきてくれて、こんな話まで聞いてくれてありがとうごさいます。《《ワンさん》》!」


《001|……わ、ワンさん?》


「ユーザーネームが001だったのでつい……ダメですかね?」


 ……こういう急な距離の詰め方はコミュニケーション不足故に生じているのだろうか?

 そんな辛辣な感想を抱きながら、ワン(001)は画面越しに笑いかけた。


《ワン|犬みたいで不服だが、良いだろう》

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