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第5話 暗根ヤミ、人類初会話者です。

「あ、あの……どうすれば良いんだろコレ」


 ヤミは迷宮の中、意味不明な単語を羅列する視聴者への対応で途方に暮れていた。

 自身が見ていた配信者ならBANと呼ばれる、コメントできない様にする措置を取っていたが、ヤミはこのコメント主が更生する事を祈っていた。


 初コメントがスパムでBANされてるなんて悲しすぎる。バグか何かで文字化けしているだけであってほしい。


《001|°3=:○*^》


「は、はろー?」


《001|kmva#"$:》


 推定スパムのコメント主は、しかし定型文を連投するわけでは無く、記号を不規則に連打しているような感じがする。

 だが、コチラが声をかけると反応するかのようにコメントが返ってきて、少しだけ判断できる文字も見えてきた。


「も、もしかして海外の方かな?」


 ヤミが知らない言語を使う人と関わることができるのも、配信の醍醐味だ。

 もしかしたら海外の人が、日本の迷宮探索に興味を持って来てくれている可能性だってある。さっきBANしなくて良かったと心底思う。

 最早スパムだったとしても、こちらが話せば反応は来るので、本当の人間相手の会話練習としては良いかもしれない。


「や、ヤミです!あっ、探索者のです……えっと、友達が欲しくてこの配信を始めましたッ!良かったら、仲良くしてください。なんて……」


 話せば話すほど反省点が見えてきて、耳が真っ赤になってしまうほど恥ずかしい。

 何で倒置法で喋っているんだ僕は!?


 思わず顔を手で覆い、深くため息を吐く。沈んだ心に、コメントが来た通知音がよく響く。


《001|a...ahh.阿アぁ……あ〜、見えてる?》


「えっ!?」


 唐突に理解不能な記号の羅列から、意味のある文章へと置き換わる。

 それはまるで、音声認識ソフトで文字を入力しているかの様だった。


「み……みみ見えてますッ!」


《001|そう?翻訳レベルがどの程度か分からなくて手間取ってしまった。この言語は随分と面白い言語体系をしているね。表現が豊かで好感が持てる》


 001と名付けられたアカウントの持ち主は、どうやらリアルタイムで外国語から日本語に翻訳している様だった。


《001|ところで、君はどうやってここに映像を送っているんだい?《《ソコ》》から《《ココ》》には簡単には接続できないはずだが》


「《《ココ》》……?か、海外って事ですかね?もしかしてサーバー間違えたのかなぁ……」


 現在使っている配信サイトには自分の言語とメインの国が設定でき、もしかしたら自分はそこを日本ではなくしてしまったのかもしれない。


《001|あぁ〜……ふむ、繋がるという確信とその状況が、コチラ(上位世界)への交信を可能にしたのかもな。かなりの偶然が重なる事で発生する、奇跡に近い》


 001と表記されたリスナー、地球とは次元の違う上位世界の存在はそう分析する。

 ケーブルの切断を知らず、繋がっているという確信。

 迷宮という、地球に植え付けられた上位世界の概念の中という状況。そして迷宮の宿す『星』という概念が、今の状況を実現していた。


《001|再現性は高くない。特に修正する必要も無いだろう》


 この迷宮が攻略されて消失すれば、彼以外にこちらの世界へと交信してくる存在は出てこない。

 ならば私のやるべき事は、彼が迷宮攻略を完了するまで少しサポートする程度か。


「あ、あの……?」


《001|すまない、こっちの話だ》


 話す言葉をリアルタイムで翻訳している弊害で、意味のわからないであろう言葉をコメントしてしまった。


《001|ひとまず、サクッとこの迷宮の攻略、頑張って》


 001は取り敢えず、この低位存在を監視してみることにしたのだった。

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