ISAMI(前編)
俺は、義父親を撃った。
俺の本当の父親は、俺が幼い頃に亡くなった。
母は体が強い方ではなく、俺を育てながら仕事をするのは限界があった。だから……無理にでも再婚相手を探して、あの男と結婚したのだ。
だが……あの男は母を愛してなど無かった。
あの男は代々軍人の家系であり、母と結婚したのも、自分の後を継いで軍人になってくれる子供が欲しかったに過ぎなかった。その身勝手さに耐えかねた母は、俺が軍人になったと同じ年に日本へ逃げ帰った。
そして、あの日……『来訪者』の襲来に対し、あの男は何の躊躇いもなく『核ミサイル』のスイッチを押したのだ。そして……
俺は、義父親を撃った。
レイダーズ本部跡地。
勇たちは、仲間との尽力の甲斐もあり、TE群を導線から排除し、超兵器を設置する為の道を切り開いた。
だがその時、彼らの目の前に謎の模造レイダー……『マッドレイダー』が現れる。
『なんだ……何が起こっている……?』
「どうやら敵さん……俺らと戦っているうちに、よほど気に入ってしまったらしい……」
トールと勇の2人は息を呑む。だが、勇は冗談ぽく笑って目の前の相手を睨む。
「ヤツの相手は……俺がやる」
『なんだと?もうお前は限界だろう、後は俺たちに任せろ!』
そう言ってトールは勇の前に出るが、勇はそれを振り払って剣を抜いて『マッドレイダー』に向ける。
「お前たちには、せっかく切り開いた導線を守る役目があるだろう。これは俺のわがままだ、お前たちを巻き込む訳にはいかない……」
『しかし!!』
「それに……俺は、俺の……俺たちの居場所をコイツらにブッ壊されて腹が立っているんでな。過去一番に機嫌が悪い」
勇は息を荒げて歩みを進める。それは怒りからではなく過度な疲労からではあったが、彼の内なる炎は確かに、その瞳の中に燃え盛っていた。
『……分かった。だが、わがままを通すからには、絶対に勝てよ』
トールはその背中を見送ると、再びTEの群れが集まらんとする導線上へと機を進める。
それを確認した勇はもう一度『マッドレイダー』を睨みつける。その時、再び地面が揺れ始める。
周囲を確認してみると、半径50m程の地形が切り抜かれ、無数の根の触手によって上空へと競り上がっていた。
「コイツはなかなか、お誂え向きだな」
勇は当たりを見回し、触手が取り囲んで行くのを見ながら言う。
そうして外界から隔てられ、残された2つの機影はお互いに目を光らせる。
「さて……お前さんは俺のお眼鏡に叶う相手か……いや、強者でなかろうがどうであれ、最早この刃は貴様を狩るのみ……」
ムラマサを構え、様子を伺いながら相手の立ち回りを読むためにゆっくりと回り込む。
対して、『マッドレイダー』は微動だにせず、まるで魂のない人形のように陣の中心に鎮座している。だが……それでも確かな威圧感が溢れ出していた。
(どうした……?コイツ、俺が先手を打つのを待っているのか?)
慎重に相手に躙り寄る勇。緊張が2機を包む中、微かに『マッドレイダー』の頭が上がる。
瞬時にそれを捉えた勇は、先手を取られまいと踏み込む覚悟を決めて、思い切って相手の懐へと飛び込んで行く。
そして、『マッドレイダー』の喉元を目掛けてムラマサを突き出す。しかし、突き出した刃は素早く弾かれてしまった。
「っ……!!」
あまりにも一瞬だったので何が起こったのか理解出来なかったが、勇は素早く身を引いて距離を置き状況を確認した。
(コイツ……やはりレイダーの姿を真似ていても、中身は完全に化け物という訳か)
『マッドレイダー』の姿を見渡してみると、その両の腕はいつの間にか大振りの刃へと変化していた。どうやら、ムラマサの切先が喉元に触れる寸前に素早く腕を変化させて弾いたようだ。
(やはり不用意には近付けんか……もう身体が保つかどうか分からんから、早めに蹴りをつけたいのだがな……)
手の内の読めない相手に、より一層慎重に構える勇。
しかし、相手の出方を伺っている内に、死角から何者かが襲いかかってくる。
「っ、なにっ!?く……っ、動けん!!」
襲いかかって来たのは、先程まで周囲を囲っていた根の触手の一部であった。その触手は、グリフィンレイダー改の腕や脚にガッシリと絡みつき、振り解こうにも抵抗ひとつ出来なかった。
「止まれるか、こんな所で!!俺は……!!」
勇は触手を引きちぎろうと奮闘する。だが、触手はより強力に絡みつき、遂にはコックピットまで侵入してくる。
更にはその触手は、勇自身の体にも絡み付いてしまう。
「な……っ!?」
そして……その触手の影響なのか、勇の意識はゆっくりと、そして円やかに溶けていくように消えてしまった。
「ねえ、もし全部終わって……平和になったら、何をしたい?」
数ヶ月前。レイダーズ本部、渚の研究室。
その一室で、2人の男女がコーヒーを嗜み、安らかなひと時を過ごしている。
女は男に問うた。これからも長く続くであろう大仕事を終えた先の未来の事を。
「やりたい事……か。今が精一杯で、そんな事考えもしなかったな」
男はひと口、コーヒーを啜る。暖かなものが、胸の辺りをすっと通り抜ける。
「じゃあ……何か、昔の夢とか無いの?それをやってみたら?」
「夢か……」
男は暫し考え、そして再び口を開く。
「……そう言えば、俺にもそんなものがあったな……」
「聞かせて?」
女は肘をつき、興味深々に話を聞く。
「旅をするんだ。世界中を……バイクひとつでな。この大きな世界を、ちっぽけな身一つでどこまで行けるのか試したかったんだ……まあ、あの義父に無理やりアメリカ軍に入れさせられて叶わなかったがな」
「良いじゃない。もし全部終わったら見たかった景色を見に行けば良いわ。その時は便りを楽しみに……」
女は言葉を続けようとするが、それを男が指で押さえる。
「いや、今はまた別の夢が出来た。それは……」
「それ……は……ッ!!」
勇は深い無意識の中から浮上する。そして、麻痺を起こしているその手で力一杯に絡みつく触手を引き剥がした。
触手はそれに抵抗せず、素直に剥がれ落ちる。それは彼自身の握力などではなく、奥底から溢れる意志の圧力によって後退していた。
「渚を……渚と俺の子を護る事だッ!!」
抵抗力の無くなった触手を、グリフィンレイダー改は全て引き千切り剥がしていく。しかしそれ以後、他の触手が襲いかかってくる様子は無かった。
だが今度は、声のような、それでいて言葉とも違う、意味のみが鳴り響く波が勇の頭の中へと流れ込んでくる。
『原生生物の言語構成のインプット完了。及び思考パターンの解析を完了……』
「な、っ……これは、日本語でも、英語でもない……だがしかし、人間の脳みそで意味が理解出来る、だと!?」
『そうだ。この太陽系第三惑星内で、我々は言葉を解する事は出来ない。しかしこの閉鎖空間内の素性は私の母星とほぼ近い構成であり、この中でのみ全ての『脳を持つ生命体』と更新が可能である』
言葉の主がそう言うと、目の前の『マッドレイダー』が胸に手を……手だったものを当てる。
『私は『ビッグ・ブレイン』……キミらの言う『来訪者』であり、それをキミたちの言葉の表す意味で述べたものがその名だ。私は、月を中継して母星からキミに語りかけている』
「『ビッグ・ブレイン』……それが『来訪者』の正体か。となれば、あのサンプルはただの将兵か」
『そうだ。私は、恒星の放つフレアに含まれる電磁波を旗とし、その周辺に存在する可能性のある生命体の住まう星を巡る旅をしていた。その目的は、この宇宙全ての星を争いのないものとする事だ』
「争いのない……だと?」
それを聞いた勇は、固く拳を握り、胸の奥から怒りを溢れさせる。
「争いをなくすために、キサマらは地球を蹂躙するというのか!!?」
『そうだ』
強く問う勇の言葉に『ビッグ・ブレイン』は、呆気なく、悪気すらなく、あまりにも簡単に言ってのけた。
『自意識を有する生命体は、どの星であろうと争いを産んできた。中には星と星を跨いだ戦争に発展した例もある。故に……私はこれまで何度も芽を摘んできたのだ』
「だからキサマはこの星をも滅ぼすと言うのか!!」
『否……私はただ人類をこの世から剪定するのみ。でなければ、この星を滅ぼすのは、お前たち人類だ』
「そんな屁理屈はどうだっていい!!キサマの言う争いのない世界は矛盾している……蹂躙の先にある平和など、自由と正義のない空の庭に過ぎない!!」
『では……キサマには正義はあるのか?同じ人類を殺したキサマも、所詮は自意識に踊らされた悪しき芽のほんのひとつに過ぎんと言うのだ』
「っ……!!」
勇は先程の触手による拘束を思い出す。あの拘束により『ビッグ・ブレイン』は、人類の基本情報を得る為に勇の記憶を覗き込んでおり、彼が過去に犯した義父親殺しをも知られてしまった事を示していた。
『だがこの様な議論など最早無意味……この星も結局、正義も悪もない、自意識を全て廃した平穏な世界へと組み込まれるのだからな』
『マッドレイダー』がグリフィンレイダー改へと刃を向ける。その切先を、勇は鋭く睨みつけて深く深く呼吸を飲み込む。
そして、それを全て吐き出すように唐突に笑いを響かせた。
「……ハッ、ハハハッ!!ああ、そうだな……確かに、正義だのなんだのは自意識の産み出した幻想に過ぎない。だがな……だが、これだけはハッキリとしている。一点の曇りもない、ハッキリとした答えがな」
心音が高鳴る。緊張か、脈の乱れか……だがしかし、その瞳には乱れのない決意が宿っていた。
「お前は人類と、この地球の敵だと言う事だッ!!」
勇は雄叫びと共にムラマサを向け、全速力で『マッドレイダー』へと向かって行く。しかし、やはりその突きすらも『マッドレイダー』に振り払われてしまう。
『無駄だ。キサマの動きは既にインプットされている』
「それでも!!この場を引く気は更々ないッ!!」
勇は更に斬撃を繰り出し続ける。だがやはり全て受け流される。それでも尚、剣を止める事はしない。
(なんとしても突破口を開く……ここで手を止めては断じてならない!!)
「V.N.L.S.……起動ッ!!」
剣と剣がかち合ったと同時に、グリフィンレイダー改の装甲が展開、そこから露出したスラスター類が灼熱の炎を吹き出す。
「ウッ……クッ……!!」
全身の感覚が次第に鈍り始め、もはやコックピット内の温度さえ分からないのに汗が吹き出し始める。
それでも、勇は全身全霊を剣に込めた。
「ムラマサ……『共鳴』ッ!!」
ムラマサが怪しい光を放つと同時に、剣に力が込められる。
『マッドレイダー』は一瞬押されそうになるも、切り払って押し返して距離を取る。そしてグリフィンレイダー改は、先程までよりも早い剣撃を繰り出しながら再び距離を詰める。
それに『マッドレイダー』は同じくスピードを上げて互角に対応する。
『こんな事をしても、キサマの命を削るだけだ。このままでは自滅するのが関の山だぞ』
「敵ながら心配してくれるのは有り難いが、そんな事で俺は折れん……ッ!!」
グリフィンレイダー改がムラマサを頭から真っ二つにするように振り下ろす。それを『マッドレイダー』が軽く一歩引き下がって避けると、下がった分を踏み込んで再び間合いを詰めて両腕のブレードを横一閃に振り払う。
その振り払いをムラマサが受け止め、再び刃が拮抗する。
『こんなもの、他愛無い』
互角の力で張り合う刃だが、『マッドレイダー』は言わば二刀流である。片方の刃が相手の動きを止めている隙にもう片方の刃が襲いかかる。
しかし、グリフィンレイダー改はその刃を片手で受け止める。
「くっ……」
なんとか攻撃を受け止めた勇だったが、身体に蓄積していくダメージはかなり深刻なもので、次第に押され始めていく。
(どうする……このままでは、本当に……)
目の前に迫るピンチに、緊張が高まる。その時、通信が繋がり、何者かの声がコックピット内に響く。
『隊長!!勇隊長!!』
(ブレア……)
その声は、先程ウイングレイダーの整備を終わらせ仮設基地から出撃し、勇の元まで辿り着いたブレアの声であった。
『どこなんだよ隊長!!なんか敵の動きが……』
「ブレア……俺の事は今はいい。お前は……現場で戦っている仲間に協力するんだ」
『でも……いや、分かった!その代わり、ゼッテー生き残って、そんで……ゼッテーアンタと話をするんだ!!』
そこまで言って、ブレアは勇との通信を切る。
その時、勇の中で何か一筋の光が見える。
(ブレア……そうだな、俺は生き残って、みんなの元へと帰らなければならない!!)
勇は機体内のコンソールを切り替え始める。すると……先程まで拮抗していた刃の動きが変わり始める。
『どう言う事だ。何が起こっている』
「キサマは……確かに俺の行動をインプットしたのかも知れない。だが、それだけでは万全では無かったようだな」
次第に刃の優勢は勇の方へと代わり始め、グリフィンレイダー改が『マッドレイダー』を押し返す。
『小細工を……だが、結果は変わらない』
「どうかな……!!」
『マッドレイダー』が再び距離を詰めて切りかかる。しかし、グリフィンレイダー改はそれを切り上げて受け止めると、胴体へと1発蹴りを入れて引き剥がし、さらに胴体へムラマサを切り上げる。
『何っ……いったい何をした?動きが変わったようだが?』
「俺は……ひとりではない、かけがえのない仲間がいると言う事さ!!」
勇が先程コンソールを切り替えていたのは、敵に動きを察知されている『勇モデル』のOSを、敵にまだ読まれていない『ブレアモデル』へと変更していたのだ。
『成程、人類の底意地とやらはこれ程にしつこいものなのか』
「ああ、そうさ……正義だの悪だのでは片付けられない、絆が生み出す力……それが自意識を持つ人類の『強さ』だ!!」
再び構えを取るグリフィンレイダー改へ、『マッドレイダー』が反撃の一閃を繰り出す。
しかし、それをグリフィンレイダー改は片手で相手の肘を押さえて止め、そのまま引き寄せて殴りつける。更に、ノックバックした『マッドレイダー』にパンチの追撃を繰り出し、そのまま殴った方の腕で肘鉄を放つ。
そして、よろめいた一瞬を突いて顔面を掴むと、レイダーに内臓されたモーターの限界を超えたトルクによる物凄い力で『マッドレイダー』を振り回し、そのまま地面に叩きつけて吹き飛ばしながら距離を空ける。
「これが……俺とブレアの、レイダーズの仲間との絆を重ねた勝利の『剣』だッ!!」
勇はムラマサを振り上げ、ブースターを全速力に吹かして斬りかかる。
その炎は翼となり、目の前に立ちはだかる偽りのレイダーまで一直線に向かって行き……その頭からつま先までを縦に真っ直ぐ振り下ろした。
『そうか、これが人類か……やはり、警戒しておかなければならないな。宇宙全体の、平穏の為にも……』
「何度でも来るがいい。俺たち人類は、自由を取り戻すその日までは、絶対に負けはしない……!!」
真っ二つになった『マッドレイダー』の中から、機械部品以外の内容物が灰となってチリになって行く。それと同時に、周囲を覆っていた触手も次第にチリと化して行き、足場が崩れ落ち始めた。
時を同じく、周辺で戦っていたレイダー部隊は、相変わらずTE群に翻弄されながらもなんとか導線の確保に専念していた。そして、その戦いにはブレアも参戦していた。
「っクソッ、いくら動きがトロくなった所で、こんなデカブツをまとめて相手するのは骨が折れるぜ……!」
『そう言うなルーキー。あの隊長さんがこの場を俺らに任せたんだ、それに答えなければならないだろう』
「ああ、あたぼうだぜ!!だから絶対に……って、なんだありゃあ!!?」
奔走していたブレアとトールたちだったが、その時空から巨大な影が現れた。
その影は、まるで東洋の龍のように長い胴体をうねらせながら、空からその全身を戦地に降ろし始める。
「あ、ありえねぇ……まさか本当にジャパンにはドラゴンがいたのかよ……!??」
『いや、違う。あれは……』
その長い影が地上へと近付いてくるにつれ、その正体がハッキリと分かり始める。
それは、果てしなく長いコードに繋がれた『超兵器』であった。それが、既に組み立てられた状態で輸送機にぶら下げられてここまで運搬されていたのであった。
『あれが導線に設置する超兵器、『殲滅用圧縮型荷電粒子砲』か……よしルーキー、俺たちはアレに付いて導線まで誘導するぞ』
「あ、ああ、了解した!!」
2人は機体を飛ばし、『殲滅用圧縮型荷電粒子砲』の先頭部を運ぶ輸送機まで近付いて設置箇所へと導く。
『よし……あとはコイツへと敵を近付けさせないように上手くTEの誘導を続けよう』
「了解!!」
2人は再び機体をTE群の方へと進める。
2人が『殲滅用圧縮型荷電粒子砲』から離れると同時に、『殲滅用圧縮型荷電粒子砲』はエネルギーのチャージを始める。
砲身から光が収束し、その光が次第にゆっくりと強く、また強く輝きを増して行く。
そしてチャージが完了すると、『殲滅用圧縮型荷電粒子砲』の砲身から凄まじい輝きの光の柱が放たれ、目の前に立つ『大樹』へと向かって伸びて行く。
「やったッ!!」
放たれた光の柱は、『大樹』の幹を燃やし始める。
しかし、『大樹』はその硬く厚い表皮により荷電粒子の灼熱を耐える。その表面はやや焼け焦げ始めてはいるものの、それでもまだ深く抉る事が出来ない。
「な……っ!ここまで来て……」
次第に、光の柱の勢いが弱まって行き、遂には光は途絶えてしまう。その様子は、この場にいる全員に絶望感を与えていく。
だが、そこに何者かから通信が届く。
『落ち込むのはまだ早いですわ!!』
その通信と同時に、空からブルーバードがやって来てハッチを開ける。通信の声の主はミレーナからのものであった。
『今から冷却剤と追加のバッテリーを投げ落としますので、上手く受け取ってくださいまし!!商会のおじさま特製の超超強力なバッテリーでしてよ!!』
ミレーナがそう言うと、ハッチから複数のバッテリーと冷却剤が投下される。その状況を見たレイダー部隊は慎重にそれを受け取り、次々とバッテリーを付け替えて行く。それと同時に、冷却剤のパッケージを破って中身の薬剤を『殲滅用圧縮型荷電粒子砲』の砲身へと振りかけて冷却を促進させる。
『バッテリー取り付けよし!!もう一回だ!!』
バッテリーが全て交換されると、再びチャージが始まって『殲滅用圧縮型荷電粒子砲』の砲身へ光が収束する。
しかし、そこに1体の『飛行型TE』が飛来してくる。
「やらせっかよ……!!テメェらなんかにはよォ……」
だが、そこにブレアのウイングレイダーが飛んで行き、レーザーマチェットで真正面から叩き斬り、その胴体を真っ二つにする。
「俺たちの邪魔は、絶対にさせねぇ!!」
真っ二つになった『飛行型TE』の残骸は、そのまま『殲滅用圧縮型荷電粒子砲』を避ける様に墜落し、チリとなって消える。
そしてそれと同時に、もう一度『殲滅用圧縮型荷電粒子砲』の砲身から、より強い光の柱が放たれる。
もはや直視も出来ない程の眩さを見せる光の柱は、『大樹』がどうなっているのかも分からないくらいに一面を白く染め上げる。
「くっ……い、今『大樹』はどうなってるんだ……?」
ブレアは眩しさに背けていた目をなんとか開けて確認する。すると次第に光は弱まり始め、改めて状況を写し始める。
『殲滅用圧縮型荷電粒子砲』の放った光の柱は、見事に『大樹』を貫いて幹に大きな穴を開けていた。そして、細く脆くなった部分が崩れ始めて『大樹』は崩壊を始めた。
「や……やったぜ!!あのデケェ樹をついに……ッ!!」
ブレアはガッツポーズを決める。同じく、その場合にいたレイダー部隊のパイロットたちも大いに喜びの声を上げた。
そして、多大な負荷を負った『殲滅用圧縮型荷電粒子砲』は、役目を終えたかのようにショートし始め、そのまま爆発して壊れてしまう。
また、『大樹』の崩壊に伴って連鎖するように、周囲に蔓延っていたTE群も地に落ち始め、そのまま灰と化して崩れて、チリになって消えて行く。
「……そ、そうだ!隊長……勇隊長は!!」
ブレアは周囲を見回して勇のグリフィンレイダー改を探す。
それを見た周囲のレイダー部隊たちも、一同に勇の姿を捜索し始める。
そして……その姿を始めに見つけ出したのは……。
「……勇ィっ!!」
ブルーバードに乗っていた、渚だった。
渚はブルーバードの窓から、崩れ落ちる『大樹』の頂上からゆっくりとブースターで降下するグリフィンレイダー改を確認する。
「あっ、あそこ!!誰か早く!!」
渚は操縦席まで駆けると、横から割って入って通信マイクをぶん取って全体に通信を入れる。
そしてそれに、ブレアが1番最初に反応する。
「渚博士!?い、いやこの際あっちが先だ……俺が行く!!」
ブレアはウイングレイダーを、ゆっくりと降下するグリフィンレイダー改の方へと一直線に機を進ませる。
そして、慎重に機体を抱く様に支え、地面にゆっくりと降ろし、急いでコックピットのハッチを開ける。
「隊長!!勇隊長!!」




