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タイタンレイダーズ  作者: 南ノ森
REVENGER
35/50

RECAPTURE

日本某所。

『目標地点まで数メートル、各員注意を怠るな』

『へっ、つったって数はこっちの方が多いって言う話じゃねぇか。油断してても負けねぇよ』

『その油断が命取りになる事もある。気を付けて損はない』

『あいよ、分かったぜ……ん、なんだ、これは!!』

『おい、どうした!』

『ミ……ミサイル接近!!』

『なっ!?か、各員退避!!』


レイダーズ本部、発着場。

「ミサイル、当たっちゃってないかなぁ?」

「問題ないだろ、アルゴアーマー用の小型ミサイルを使ったんだ。さほど殺傷力はない筈だ」

「じゃ、ハオってことだね!」

 レイダーズ本部では、『カウベル』の残党を迎え撃つためにトードとハオの乗るレイダー2機が守りを固めていた。

「とにかく今はここをどうにか凌げればいい。あまり無茶はするなよ?」

「そっちだって、ね!」

 そうこう言っているうちに、先程のミサイルを凌ぎ切った『カウベル』の残党らが基地の周りに集まってくる。

「来たか……数は、役30機か。これは骨が折れそうだな」

「とか言って、トードならこんくらいヨユーでしょ?」

「買い被るなよ。お前が居なきゃ今頃どうなってたか分からんさ」

「そっちこそ買い被らないでよっ」


レイダーズ本部、整備ドック。

 数分前、レイダー2機の整備を終えたハンガーでは、再び騒がしく整備員たちが何かを整備していた。

「あーもう今日はどんだけ整備させる気なんだよ!?」

「仕方ないッスよ!緊急を要する事態ってヤツッス!!」

「分かっちゃいるがよぉ!でも流石にこれを組み立てるってなるとしんどいぜ!!」

 杉田たちが一生懸命に整備するそれは、アルゴアーマーの巨体な腕であった。

「しっかしよぉ、まさか俺らがこれを組み上げる事になるなんてな!」

「大丈夫ッス、軍の人たちと協力すればあっという間ッスから!!」

「とにかく急ぎましょう!相手側のアルゴアーマーが辿り着く前に……」

 そう言いながらせかせかとアルゴアーマーを組み立てる一同。その横で、パイロットスーツの着付けをしながらアンナとジュウォンが話をしている。

「いいかい、もう一度言うね。アルゴアーマーのシステムは、常にV.N.L.S.を起動させた状態でしか動かない。その為に負荷を解消させた最新型のN.L.アダプタじゃなきゃ、下手すれば命に関わる。特に子供のキミじゃあ、どれだけの負荷になるか……」

「わーってるって!」

「ちゃんと聞いて!止めても聞かないから乗るなとは言わないけど、せめて起動から5分以上は戦闘を続行しない事!……守れるね?」

「ああ、アタシだって死にたかないさ。それに、アネゴの言うこと聞かなかった事なんて無かったろ!」

「……あぁ、そうだったね」

(さっき思いっきり反抗してた事は目を瞑っておこう……)

 ジュウォンは黙って笑顔を返す。


レイダーズ本部付近、市街地跡地。

「おいおい、全然応援がこねぇなあ!こりゃ見捨てられちまったみてぇだなぁ!」

 廃墟群では未だに戦闘が続いていた。

 ミサイルによる追撃をやめたジェドは、今度はアームによる追い込みに移り、次第に勇のグリフィンレイダー改を狭い路地へと追い込んで行く。

 しかし、そんな状況でも勇はブレない。

「どうかな。アイツらは俺にこの場を託して基地防衛に努めている。そんな事は考えずとも分かるさ」

「強がるなよ!それにどの道お前らは終わりなんだよ!もうすぐこっちにも俺の仲間がやって来るからなぁ!!」

 ジェドはアルゴアーマーのアームを建物に叩きつけ、グリフィンレイダー改を巻き込もうとする。しかし、崩れた建物の隙間にはその姿は見えない。

「だが、それでも負けないさ。レイダーズは決して、お前らには屈したりしない」

 スピーカーの響く先を見上げる。その視線の先、建物の上にグリフィンレイダー改は既に退避して立っていた。

「カッコつけやがって……!ウザったいんだよアンタは!!」


レイダーズ本部、発着場。

『各員、一斉掃射!』

 発着場では、『カウベル』の残党の乗るブラスティレイダーを相手にトードとハオの2人が激戦を繰り広げていた。

「当たるかよ!」

 トードのバスターレイダーは、敵機体の放つマシンガンをまるで舞うかの如く全て避ける。そして、素早く接近してその頭部を次々に破壊して行く。

「ひとつ!ふたつ!!三つ!!」

『ぐぁっ!!』

『や、やられた!?』

 そして、目の前に立っていたレイダーに蹴りをかますと、それを踏みつけてマシンガンを構える。

『な……何故だ!機体の性能はこちらの方が上の筈……!!』

「頭空っぽのダボでも分かるように言ってやる。俺たちには地球ほしを守るための覚悟があるからだ!!だから、テメーらみたいな何も覚悟して来てないヤツらには負けられないんだよ!!」

『なんだそれ!?理由になって……』

 有無を言わさず、ブラスティレイダーの頭部は無常にも撃ち抜かれる。


『撃て!撃つ手を緩めるな!!』

『クソっ!どうして当たってるのに何ともないんだよ!!』

 敵のレイダーが激しい銃撃を繰り出す中、銃弾の雨を真ん中から堂々とハオの乗るアトラスレイダーが歩いて来る。

「さっすがアトラスレイダー!盾が無くても全然へっちゃら!!」

 そしてハオは一旦歩みを止めると、見せつけるようにランチャーを構える。

『なっ!?た、退避!!』

射撃ファイヤー!!」

 ハオは大声で叫びを上げると、上空高くランチャーを放つ。ランチャーからは、勢いよくポッドが射出され、ポッドからは小型のニードルが飛び散る。

『な、なんだ!?』

『退避!退避!!』

 ニードルは次々に敵機へと刺さる。無数のニードルは敵の装甲を浅く、関節部に深く刺さり次々に動きを止めて行く。しかし、それでも取り逃がす機体は出て来る。

『この野郎危ねぇじゃねえか!!』

「だったら来なきゃ良かったのに」

『ふ、ふざけるな!俺たちにだって事情があるんだ!!』

「じゃあその事情で、今住んでるこの星が滅んだら責任取れる?」

『う、うるさい!こっちは今日明日生きる事で精一杯なんだよ!!』

 敵はマシンガンをアトラスレイダーに向けて乱射する。しかし、それが効いた様子は全く無かった。

「なにそれ。自分の明日も決められないのに、誰かの明日に水を差さないでよ!!」

 そう言って、敵にランチャーをフルスイングして頭部を破壊した。


レイダーズ本部、仮設整備ドック。

「よし!もうすぐだ!!」

「皆さん、ご協力ありがとうございます!おかげで早く組み上がりそうです!」

「いや、良いんだ。ここまで来たらお互い様だろ?」

 仮設整備ドックでは、先程まで調整が行われていたアルゴアーマーのパーツが、着々と1機の機体としと組み上がろうとしていた。

 そこに、1人の男が血相を変えて走って来る。

「貴様ら、何をやっとるか!!」

 やって来たのは、軍の作戦指揮官だった。

「し、指揮官殿!これは……」

「アルゴアーマーは軍の所有物だぞ!許可なく勝手な真似は許さん!!」

 怒りの声を上げる指揮官に、カレンが駆け寄って弁明を測る。

「指揮官さん、時は一刻を争います!それに今は言い争いをしている場合ではありません!!」

「しかしだな……」

「お願いします!!」

 頭を下げるカレンを見て、指揮官は頬を掻いて言葉を返す。

「……私はな、許可なく勝手な事はするなと言っている」

「……」

「だからな、せめて使いたい時は一言申してくれれば良いんだよ」

「……それは……つまり」

「全責任は私が取る。好きにしたまえ」

 その一言に、カレンは明るい表情で礼をする。

「……ありがとうございます!」

「いや、こちらこそ頭を下げさせてすまなかったな。こういう所はハッキリさせないと後で面倒でな」

 そう言っている間にも、アルゴアーマーは順調に組み上がっていく。

「それにしても、我々の中に『カウベル』の仲間が潜入していたとは……不覚だったよ」

「ええ……我々も、今まで気が付かなかったばかりに、そちらのお仲間を……」

「ああ、それについては先程部下から聞いている。なに、キミらが気に病む事はない」

 指揮官はそう言うと、今まさに激戦を繰り広げている戦地へと目を向ける。

「……彼らは、若いのに勇敢だな」

「ええ……そうですね」

 すると、遠方から2つの影が現れ、こちらへと向かって来る。

「……あれは!?」

「来ましたか、ドリト少尉と……」


レイダーズ本部、発着場。

 基地上空、2機の輸送機が姿を現す。それぞれ試験型アルゴアーマーとアークレイダーFを積んで飛行しているのだ。

『少尉殿、いつでも出撃出来ますぜ』

「茶化すなよ。こちらも出撃の準備は出来てる」

『よし、じゃあ機体をパージしますぜ』

「ああ……。それじゃあ行こうか、ブレア……」

 2機の輸送機から、各機体が降下してくる。

「あれは……ブレア!!」

「それと、ドリト少尉……」

 トードとハオの目の前に、アルゴアーマーとアークレイダーFが着地する。

「……やあ、また会ったね」

 ドリト、まるで知り合いに会ったかのような口調で挨拶をする。

「ドリト少尉!ブレアとは友達だったんでしょ!?なんでこんな酷い事するの!?」

「酷い……か。そうだね、酷い事だね。それでも、僕らは彼を使ってレイダーズを叩かなければならない」

「何故だ!何故ブレアを洗脳してまでそんな事をする必要がある!!そもそも何故ブレアなんだ!!」

「一度にそんなに聞かないで欲しいな……。でも良いか、日本じゃメイドノミヤゲとか言うんだろう?」

「デカい口を叩く!」

 怒りを口にするハオとトード。それにドリトは、参ったように細かく説明を始める。

「ブレアを選んだ理由は2つ。彼が優秀なパイロットだった事と、アダプタのインプラント手術を受けていなかったからだ。催眠装置の接続には新型のN.L.アダプタが必要だけど、イサミ隊長は過去に旧式のアダプタの手術を受けていたため、最新型のアダプタをインプラント出来なかったからね」

「……そうまでして、レイダーズを叩く目的は?」

「ただの恨みだよ。使命や大義とかじゃない、『カウベル』という居場所を奪われた、哀れな迷い子たちのくだらない馬鹿騒ぎさ」

「なんだと……そんな事のために……!!」

 その怒りの声を聞き、ドリトは呆れたように笑い始める。

「ああ……そうさ、そんな事のためさ!でももう僕たちには何も無い。だからせめて、最期はデカい花火を見なきゃ収まりが悪いんだよ……滅ぼすにしろ、滅びるにしろさ!!」

 ドリトは叫ぶと、アルゴアーマーを攻撃準備へと移行させる。それに合わせ、ブレアの乗るアークレイダーFも攻撃体制を取る。

「ドリト……このクズ野郎が!!」

「ふざけないでください!!!!」

 突然、とてつもない雄叫びが戦場に響き渡る。

 その声のする先に……1機のストームレイダー、そのパイロットであるカレンは立っていた。

 戦場に立つその、威風堂々とも言える姿は、その場の注目を一様に集める。そして、その堂々たる勢いのままカレンはレイダーの歩みを進める。

「あなた方のその身勝手で、私たちを、この地球ほしの明日を……ブレアさんを巻き込まないでください!!自分には何も無いと思うなら、奪うのではなく得る努力をしたらどうですか!!」

「カレン・オルソンか……キミなら分かる筈だ。何もかも空っぽになって、手の中に何も無い感覚を……家族も友も失い、心を病んで薬も手放せないキミならね」

「知った風な口を聞くな!!!!わたくしは……私は、もう空っぽなんかじゃ無い!!私の心は、みんなの思いでこんなにも満たされているんだ!!!!」

 カレンは自らの胸に手を当て、ありったけの自信を込めて叫ぶ。それを聞き、ドリトは暫し呆気に取られるも、再び乾いた笑い声を上げる。

「はっはっは!あぁ……そっかそっか。じゃあもういいや、ここで全て壊してしまおうか」

 ドリトがアルゴアーマーの動力をフルパワーにすると、それが雄叫びとなり戦場に響き渡る。

「返してもらいますよ、私の……私たちの大切な仲間を!!」


レイダーズ本部付近、市街地跡地。

 廃墟群では、未だ激戦が続いていた。しかし、その戦況は突然変わり始める。

「……はっはっ!どうやらこっちの応援が先に来ちまったようだなァ?」

 整然と建物が並ぶ廃墟群に、新たに10機のブラスティレイダーが集結する。そしてそれは、一斉に銃をグリフィンレイダー改へと向ける。

「あーあ、残念だなァ。お仲間に恵まれた隊長さんも、最期はたった独りっきりだなんてなァ。だがよ、見送りは盛大にやってやるから安心しなぁよ」

 勇を煽るジェドだったが、それを見て勇は不敵に笑う。

「ふっ……」

「おい、なんだその余裕はよ?逃れられないと悟って開き直ったか?」

「いやなに、お前の言う通りだと思ってな」

「そうかい、アンタ思ったより諦めが良いんだなァ」

 しかし、勇は諦めた訳では無い。

「……何か勘違いしている様だからキサマに示してやろう。俺は……俺たちは、決して諦めたりはしないとな」

 そう言いながら、勇は天を指差す。

 その、指を刺した先に……それは飛んでいた。

「な……っ!!アレは、ウィルソン財団の輸送機ブルーバード!?」

 飛んでいたのは、全身が青く塗られ、尾翼にはウィルソン財団のマークが描かれた巨大な輸送機、『ブルーバード』だった。

「どうやら俺は、本当に仲間に恵まれているらしい」

「な……何を!!それがどうしたよ!!」

 突然の事に焦りを見せるジェド。

 だが、予想外の出来事は更に続く。ジェドが一斉射撃を指示しようとしたその時、いきなり3機のブラスティレイダーが爆散したのだ。

「なっ!?」

 呆気に取られていると、その爆散の原因である張本人が上空からやって来て、目の前に着地する。

 その姿は……彼らにとってあまりにも見覚えがあった。

 漆黒の機体、アークレイダー。そしてそのパイロットは……。

「そ、そんな……あり得ない!!あり得る筈がない!!」

『あり得ないと言うのならば、キミは夢でも見ているのかな?』

「……カルドネン……カルドネン・エラン!!」

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