REPORT
レイダーズ本部、発着場。
私の名前はマリーネ・ジーン。MMN(Mains Miller News paper)の記者だ。
今日は今世間を騒がせているタイタンレイダーズ、その本部を訪れている。
レイダーズは先日、アメリカでウィルソン財団と大規模な交戦を行い世間に混乱を招いたとして大きな批判をあびた。
しかしその後の動きは意外なもので、交戦の後にウィルソン財団の最高責任者エレナ・ウィルソンは逮捕され、新たにその娘のミレーナ・ウィルソンが最高責任者の座についた。その上財団はシリウス商会の傘下へと入り、現在では両企業ともレイダーズのスポンサーとして名を連ねている。
そして私は現在、そのレイダーズ本部の施設内にいる。取材のためだ。
「どうぞこちらへ」
案内役の男性が私を先導する。彼はレイダーズの幹部の一人、ハンス・リューディというらしい。
私は彼に付いて行きながら、施設内の様子をカメラに収める。
施設の様子はあまり綺麗という訳ではなく、本部と言うよりあくまでもレイダーズの拠点の一つといった印象を受ける。
そしてそのまましばらく歩き続け、ある部屋の前で立ち止まった。
「こちらです」
扉が開かれ中に入るよう促される。
そこには2人の男女がいた。
1人はとても鍛えているようで、屈強な肉体を持つ日本人の男性だ。
もう1人は女性……彼女については有名なので知っている。レイダーズ結成以前はロボット企業で作業用アームや高効率ジェネレーターやモーターなどの開発をしていた桂木渚博士である。
彼女は椅子に深く腰掛け、背もたれにもたれ掛かりながら煙草を吸っていた。煙たいのか少し眉間にシワを寄せている。
「初めまして、MMN記者のマリーネ・ジーンといいます。本日はよろしくお願いします」
「ようこそマリーネさん。私がレイダーズの創設者、桂木渚です」
そう言って微笑む彼女の顔には疲労の色が見え隠れしていた。
私は早速彼女に質問を始めることにした。
「それではまず、あなた方がレイダーズを創設された理由を教えて下さい」
「それは勿論、この星を、地球を守る為よ」
彼女は即答した。
「ではなぜ、今回のような騒動が起こったのでしょうか?ウィルソン財団は元々あなた方の出資者でしたよね?あなた方と彼らが何故交戦する事になったのか、その経緯を教えてくださると助かります」
「それには表に出せない様々な事情があったわ。でも、その経緯になった決定打は相手の明確な攻撃の意思ね。彼らは我々を敵対視し、排除しようとしてきた。だから我々はそれに対抗する為にレイダーズを財団へ向かわせた。それだけの事よ」
彼女は淡々と語った。その瞳の奥からは強い意志を感じた。恐らく嘘ではないだろう。
「……ありがとうございます。しかし、その戦闘によって世間には多大な混乱が生じています。あなた方はそれについて何か思うところはないのですか?」
「正直言うと、全くないと言えば嘘になるけど……」
彼女は一瞬目を伏せた後、真っ直ぐ私の目を見て言った。
「でもこれは私達の戦いでもあるから。だから私は戦う。相手が誰であろうと、どんな強大な相手だろうと。例えそれが我々と同じ人間だろうと……ね。でなければこの地球は守れないもの。これは我々が背負うべき責任なのだから」
彼女の言葉には重みがあり、説得力のあるものだった。
そして何よりもその目は力強く輝いていた。
その目に気圧されそうになるのを感じながらも、私は様々な質問に移った。
レイダーズ本部、食堂。
「は〜ぁ、疲れた〜」
私は彼らにいくつかの質問をし終えた後、とてつもない疲労感に苛まれながらも、昼時という事もあり食堂へと案内される事になった。
とても疲れた。それもそうだ、片道12時間空の旅をした後に、2人の屈強な男に睨まれながら、彼らにとってとても踏み込んだ事を幾つも質問したのだ。心身共に疲れ果てるのは当然だろう。
だが私も一人前の記者だ。世間の不安を取り除くために私は筆を休めている暇は……。
「はい、どうぞ」
「あっ、はい……ありがとうございます」
突然、疲弊している私の横から声がした。そこに立っていたのは端正な顔つきの男性……だろうか。どちらかと言えば女性的な雰囲気を持つ人だった。
そして今度は、その横に立っていた小さい女の子が話し始める。
「これはアタシらが育てたキャベツを使ったスープだ!残すんじゃねーぞ?」
「あ、あの……えっと……」
「まあまあ、そんなに緊張しないで。ゆっくり食べていってください」
私は混乱しながらも席に着く。
目の前に置かれた皿の上には野菜たっぷりのキャベツのスープが湯気を立てていた。
私はそれをスプーンですくい口に入れる。
「美味しい……」
思わず口から漏れる。疲れ切った体に染み渡るようだ。……そういえば、まだ彼女たちには自己紹介していなかったな。
「私の名前はマリーネ・ジーンと言います。今日は取材に応じていただき、本当に感謝しています」
「こちらこそ。わざわざ遠い所までお疲れ様です。私はシリウス商会の経理のチョ・ジュウォンと申します。そちらはお手伝いのアンナです」
「何がお手伝いだ!捕虜だから仕方ない手伝ってんだろーが」
「もう捕虜じゃないだろう?『カウベル』は解体したんだから」
「そうだけどよぉ……」
えっと……経理?『カウベル』?捕虜?……ダメだ、急に情報量が多すぎて頭が追いつかない。
「ええと……あなたはレイダーズじゃないのですか……??」
「ええ、私はシリウス商会から派遣されて来ていますので。ここは人員も資金もまだまだ足りませんから」
「シリウス商会というのは、レイダーズのスポンサーとなっていた企業ですよね?それで、あなたはレイダーズの経理をしていると」
「はい。それとレイダーズ本部では他にも色々な仕事をしていまして、今はこうして皆さんのお世話係もやらせていただいているんです」
……なるほど、それでこんなに若い子がこの人達の面倒を見てるのか。大変だなぁ。
「ここの人たちはとても良い方ばかりです。地球のために働いていて、それでも賞賛すら貰えないのに……彼らは文句の一つも言わずに『来訪者』と戦っています」
「……そうなのですね」
「私は彼らの支えになりたい。そしていつか、レイダーズが人々に認められるような存在になればいいと思ってるんですよ」
彼女は微笑んでいた。それはまるで、聖母のような慈愛に満ちた笑顔だった。
「おい、何くっちゃべってんだよ!スープ冷めちまうだろーが」
おっと、いけない。せっかく用意してくれた食事なのに。
「すみません、すぐに頂きます」
その後、食事を済ませた後、再び面倒……おっと、大事な取材を開始した。
レイダーズ本部、整備ドック。
昼食を済ませた私は、ハンスさんと共に次の取材先である格納庫へと歩みを進める。
道中、すれ違う人々は皆忙しなく働いていた。
「あれ?なんだか騒がしいですね……いつもこうなんですか?」
「んにゃ。今日はなぁ、前まで別の所にいた先輩整備士が帰ってくるってんで大喜びしてんですよ」
「ああ、なるほど」
格納庫を見渡してみると、確かに搬入口の方には人だかりが出来ていた。
「杉田さん!お帰りッス!」
「寂しかったッスよ〜杉田さん!!」
「お前ら長らく待たせちまったなあ!いやー、実家に帰ってきたような気分だよ俺は」
「まーたそんな杉田さん……早くこっち来て下さいよ」
「おうよ」
そう言いながら、彼は作業員達の輪の中に入って行く。
「あの人、かなり慕われているんですね」
「まあな。あの人は彼らにとって父親みたいなもんですからね」
「お父さんですか……」
彼らの様子を遠目から見ていると、後ろから金髪の若い男性が息を切らして走って来た。
「すっ……杉田さん……!!」
「おう、ブレアか……」
「……お帰りなさい!」
「ブレア……済まなかったな。俺、お前らを家族だなんて言ったすぐの日に居なくなっちまって……」
「そんな!俺は、杉田さんに戻ってきてもらって嬉しいです!」
「……そう言ってくれるのか」
「当たり前です!だって、俺たちは……!」
「……ありがとよ」
そう言って、男は涙ぐむ青年の頭を撫でた。
「あの人は?」
「あいつはレイダーのパイロットのブレア・ヒューズだ。まだ若いが、吸収力があって頼もしいヤツだ」
「彼がレイダーのパイロット……」
レイダーズには全部で7機、そのうち稼動している4機のレイダーが編成されているらしい。そして今、レイダーズは5人のパイロットがいるという。
「じゃあ、他の4人もここに来るのでしょうか?」
「いや、もう来て整備してるよ。ほら」
ハンスさんが指を刺す先、4機のレイダーが立っている場所には4人の男女が機体を整備していた。その中には先程の取材に居合わせた日本人の男性も居る。
「パイロットが整備しているんですか?」
「そうだよ。レイダーズの機体は結構クセがあるからな。細かい所は乗り手である彼らに任せてある」
「凄い信頼関係ですね」
「まあ、長い付き合いだからな」
私は一生懸命に機体を整備している彼らに取材をするため、その方へと向かう。
「こんにちは、私はMMNの記者をしていますマリーネ・ジーンといいます。あなた方は……先程も顔を合わせましたね」
「ああ、そう言えばそうでしたね。俺は玉置勇、レイダーズのパイロットを纏める隊長を務めています。」
見た感じは40代くらいの男性だ。顔に少ししわが寄っているものの、引き締まっている身体は衰えを感じさせない。
「私は琳好好!ハオって呼ばれてます!」
「俺はトード……ハオと同じレイダーに乗って戦っています」
次に自己紹介をしたのは若い男女……おそらくどっちも16〜17歳くらいだろうか。
「そしてわたくしがカレン・オルソンと申します。シリウス商会から派遣されて来たサポートセンター受け付け兼パイロットを勤めています」
「さ、サポート……?」
今度はオレンジの髪色と薄く褐色がかった肌の女性が丁寧に挨拶をした。ちょっと挨拶の内容に疑問はあったけど……。
「ええ、よろしくお願いしますね」
「は、はい……」
「おーい、ごめん待たせた!」
すると今度は先程まで整備員の輪に加わっていたブレアという男性が来た。
「あ、いえ大丈夫ですよ。それより、皆さんにインタビューさせていただきたいのですがよろしいですか?」
「あ、はい。分かりました」
私は彼らの作業の手を止めさせ、インタビューを始める。
「まずは自己紹介から。私はMMNという新聞社で記者をしているマリーネ・ジーンと言います。今日は取材に応じていただきありがとうございます」
私は手帳を取り出し、メモの準備をする。彼らにはあらかじめ私が新聞記者であることを伝えていたのでスムーズに取材を行うことが出来た。
「では早速質問に移りますね。皆さんにとって、地球を守るということはどういう事だと思いますか?また地球の為に戦うことについてどう思いますか?差し支えなければ教えてください」
「……地球を守る事、ですか。そうですね、俺は……自分にとっては、とても重大な責任だと思います。地球に住む人々の平和な生活を守るため、我々は『来訪者』と戦っているのだと」
「そう……ですか」
「はい。そして、我々の戦いは人類全体の未来のためにあると自分は考えています。我々に敗北を許す余地はないですからね。それに……」
「?」
「地球は我々の故郷ですから。守らないわけにはいきません」
私は勇隊長の、確固たる決意を宿した強い言葉に思わず聞き入ってしまった。
「……あの、大丈夫ですか?」
「え、あ、はい!」
いけない、思わずぼーっとしてしまった。私は気を取り直して次々と質問を続けた。
レイダーズ本部、訓練所。
取材を終えた私は、ハンスさんと共に次の目的地である訓練所に向かっていた。次の取材は模擬戦の観戦だ。
「なるほど。『来訪者』の襲撃で人の居なくなった街を利用して訓練を行うんですねぇ」
「ああ。『来訪者』と戦うためにも、レイダーズはもっと強くならないといけないからな」
「ちなみに、その『来訪者』とはどんな相手なんでしょう?」
「分からん。『来訪者』の送り込むタイタンエネミー……TEって奴は強固な装甲を持ってるが、倒しちまえばまるで燃えた紙のカスみたいに脆くなっちまう。だから全く研究が進んでいないんだよ」
「なるほど……」
「ま、今日はとにかく訓練の様子を見てってくれや」
ハンスさんに案内された先には、既に先程見せてもらった4機のレイダーが準備を済ませていた。
その横では他の隊員達が忙しなく動いている。その様子を見るとまるで何かのパレードが始まる前のようだと思えた。そして……。
『全機、出撃』
スピーカーから声が響くと、4機は一斉に飛び立った。
そして飛行機雲を作りながら空高く舞い上がると、そのまま空中で旋回する。それはまるで、大きな鳥が群れで羽ばたいているようだった。
しばらくすると、地上では4機が編隊を組んでこちらに向かってきた。そして目の前に降り立つと、機体のコクピットが開く。中からはパイロット達が出てきた。
「お疲れ様です!隊長」
「ああ、おつかれ」
パイロット達はそれぞれヘルメットを脱ぎ、勇隊長に礼をしていた。
「今日の調子はどうだ?」
「バッチリです!いつもより調子が良いくらいですよ」
「そうか。だが少しの不備が命取りとなるからな。違和感を感じたら忘れず申告するように」
「大丈夫っすよ!なんせ杉田さんが整備したんですからね!」
「ああ、そうだな」
彼らの会話を見ていると、先程の取材でのちぐはぐな印象とは全く違って見えた。そこには確かな信頼関係があるように思える。
「それじゃ、各自解散!」
その掛け声と共に、彼らは再び機体に乗り込んだ。
レイダーズ本部、格納庫。
さて、本来ならここで取材は終わりなのだが、私にとってはここからが本番なのだ。
彼らの本当の顔を確かめるには、彼らが油断しているこのタイミングが一番なのだ。
本当は私は、仕事なんてダルい理由で彼らの事を知りたい訳ではない。正直言ってジャーナリズムなんてものは、私には一欠片もないのだ。
ただ私は、屑だろうと聖人だろうと人間が好きなのだ。だからこそジャーナリストになんてものになったんだ。
私は訓練を終えてパイロットが機体から降りたのを確認すると、口の緩そうなのを品定めする。
この中で一番口を滑らせそうなのは……あの金髪の子だろうか。見た感じあまり真面目に感じないし、先程も機体の整備に1人だけ遅れて来ていたので、他の人よりも余裕がありそうに見える。
私はこっそりとその子に近づき、背後から話しかける。
「こんにちは、ちょっといいかしら?」
「は、はいっ!?」
突然の事に驚いたのか、彼は裏返った声で返事をした。
「驚かせてごめんなさいね。はいこれ」
作戦その1。相手に気を遣ってコーヒーを渡す。そうすれば一気に警戒心を解くことが出来るだろう。
「あ、ありがとうございます……」
「ところであなた、レイダーのパイロットよね?」
「はい、そうですけど……」
「凄いわよね、こんなのに乗って戦うなんて。怖くないの?」
作戦その2。見え見えのお世辞であろうと相手を労う言葉をかける。そうすることで、相手が自分の事を良く思ってくれるはずだ。
「い、いえ……怖いです。でも……俺が頑張らなくちゃいけないんで」
「へぇ、どうして?」
「だって……俺たちは、レイダーズは、みんなを守るために戦ってますから。だから……俺は、絶対に負けられません」
「そっか……あなた、良い子ね」
よしよし、少しずつガードが緩くなってる。そう確信して作戦その3。
「そういえばレイダーってなんで人型なんだろうね?手もあって足もあって、頭まで付いてる」
何気ない疑問を聞いてみる。ちょっとしたくだらない質問を投げかけて、そこから少しずつ情報を引き出していく。これは昔読んだ雑誌に書いてあったテクニックだ。
「あー、確か渚博士から聞いた話だと、最初は手も足も無い構造になる筈だったみたいですよ?」
「あら、そうなの?」
「ええ。だけど……なんかいざ作ろうと思ったら、姿勢制御に足が、武装の切り替えに手が付いたとかなんとか」
「へぇ……なるほどね。思ったより理にかなってるわね」
「それに元々デッカい敵に対抗するために20m級で開発する方針みたいだったんですけど、どうも重量が嵩んで結局5mに落ち着いたって言ってましたね」
うわ、出てくる。凄く情報が出てくる。
「へえ……なるほどね」
と言いながらメモを取る。うん、我ながら完璧な演技だ。
「それと……」
まだ何かあるのか!?私は驚きながらも顔に出さずに彼の話を聞いていた。
「渚博士のこだわりで、レイダーは全部武装は外付け式で、内蔵武器は無いみたいなんですよね。それに関しては特に理由も無いみたいなんですけど……」
「……なるほどね」
確かに、よく見ればレイダーの装備はどれも換装式になっている。出現の時はそれらを取り付ける必要があるため、整備員の人たちも大変だろう。
「そうねぇ……じゃあ、あなたならどうしてだと思う?」
「え?えーっと……いや、ちょっと分かんないですね……ただ」
「?」
「俺は、渚博士は本当はレイダーを兵器にしたくないんじゃないかなぁ、って思うんですよね……」
「……」
私は一瞬固まってしまった。まさか、そんな考えを持っている人が居るとは思わなかったからだ。
私自身、レイダーの事は完全に兵器として見ていたし、世間的にもそうだろう。
「いや、すいません変なこと言っちゃいましたっすね。忘れてください」
「いえいえ。貴重な意見を聞けたわ、ありがとうね」
私は彼に背を向けると、その場から立ち去った。
「もしかしたら、案外ここの人たちって優しい考えを持った人が多いのかしらね」
私は取材メモを見ながら呟いた。
レイダーズ本部、食堂。
取材を終えた私は、ハンスさんと一緒に夕食を取っていた。
「いや、本当にありがとうございました。おかげで満足のいく取材が出来ました」
「そりゃ良かった。こっちもあんたが良い記事を書いてくれたら嬉しいぜ」
「はい、任せてください!」
私は自信満々に答えた。
「そうか、期待して待ってるぞ」
ハンスさんはそう言うと、テーブルに置いておいた缶ビールを飲み干した。
「……そういやマリーネさん、今日は随分と楽しそうだったが……なんかあったのかい?」
「え?そうですか?」
私は思わず首を傾げた。別にいつも通り取材をしていただけなのに……。
「ああ、なんだか今日はずっとニヤけてたぜ」
「あ……」
しまった、つい嬉しくて顔に出てしまってたか。
「あ、あの……実は……」
私はハンスさんに、先程のブレアくんとのやり取りを話した。本当ならジャーナリストが密かに集めた機密情報を情報元にバラすのは自白行為なのでとても良くないのだが、ハンスさんには長時間取材に協力してくれた恩がある。まあ今回は特別だ。
「ほぉ……そういうことか」
「ええ。あの子はきっと、レイダーの事を大切に思っているんだと思います。多分、だからこそ純粋な気持ちで戦える……なんて、変ですかね?」
「いいんじゃねえか?少なくとも俺は好きだな」
「ふふ、そう言ってもらえるとありがたいです」
私は笑みを浮かべて言った。
「そうだな……レイダーズの隊員は皆、寄せ集めのバラバラ、統一感なんて言葉に縁のないような連中ばっかりだ。だが、奴らはそれでもやっていけてる。それは何故か分かるか?」
「うーん、やっぱり団結力でしょうか?」
私が答えると、ハンスさんは笑い声を上げた。
「ハハッ、まあそりゃ間違いじゃ無いがな。だがそれだけじゃない。レイダーズは全員で一つの家族みてぇなもんなんだよ」
「家族?」
「ああ。だからどんな奴でもレイダーズの隊員は皆兄弟、仲間、家族……そういった絆で結ばれている。だから……あいつらは誰一人として欠けること無く、必ず帰ってくるんだよ」
「なるほど……」
私はハンスさんの話に、今日の取材を思い出してどこか納得した。
「さ、飯食おうぜ。冷めちまったら美味くなくなるからよ」
「はい、いただきます」
私は食事を再び進める。今日はとても充実した一日だった。
翌日、レイダーズ本部、発着場。
帰りも長旅になると見越して、前日は手筈通り遠慮なく泊めさせてもらった。
私は、離陸前のヘリの中でレイダーズの取材を通して感じたことをまとめていた。
彼らレイダーズは地球の命運を背負っているにも関わらず、とても明るく気も良い人が多く感じた。しかし、それでもこの星を守るために戦う志しは強く感じられた。
私は今回の取材を通じて、彼らが地球を守るヒーローのように見えてきた。だからこそ、世間に彼らの素顔をもっと知ってもらいたい。
「おーい、お姉さん!」
ふと声のする方を見てみると、ブレアくんがこちらに向かって走ってくる。
「あら、どうしたの?」
「いや、忘れ物届けに来たんだ。ヒマ……手が空いてたの俺くらいだったからさ」
「あら、わざわざありがとう」
「いいって。お礼言われるほどの事じゃねぇしさ……それと、さ」
彼はポケットからコーヒーを取り出して投げて渡した。
「取材、お疲れ様!」
「あ、ありがとう……」
予想外の出来事に少し戸惑ってしまったが、呆けてる間に「じゃ、また今度な」と言って彼は去って行ってしまった。
(なんだろう……彼って結構可愛いところあるかも)
私は貰ったコーヒーのプルタブを開けて、中身を口に含んだ。寝起きの眠気が覚めた気がしたのは、窓に差し込む日差しか、コーヒーの苦味か、それとも……。




