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タイタンレイダーズ  作者: 南ノ森
COW BELL
17/50

RETURN

千葉某所、商店街。

 レイダーズ一同は千葉に出現したTEと交戦、少数を残し撃破した直後……財団の『牛飼いのカルドネン』1機の率いる『カウベル』3機の襲撃を受けた。

『おいおいなんだよ、勇はいねぇのかァ?俺の楽しみはお預けかよ!?』

『うっせえぞヴェルベット!今すぐお前のコックピットにタマ撃ち込んでやろうか?』

『アンナ、口を慎め。カルドネンが見ている』

『んだよマルセ!わーってるよ!』

『やれやれ、相変わらずだな……』

「勇隊長がいない今、ここはどう凌ぐか……だが」

 レイダーズに緊張が走る。無理もない、何度も戦ってきたヴェルベットと肩を並べる者が少なくとも2人、そしてそれを超える実力を持つと予想される者が1人居るのだ。

『お前ら、自分たちが『家畜以上』であるという所を見せてみろ』

『おうよ!』

『ああ!』

『了解』

 カルドネンの指示により3機のブラスティレイダーがレイダーズに向かってくる。

「ちっ!まずはコイツらか!」

「みんな、気をつけてください!」

 マシンガンを構えたヴェルベットのレイダーがハオとトードの同乗するアトラスレイダーへと発砲しながら突撃してくる。

『さぁ……行くぜェ!!死ねやクズがァ!!!』

「くうっ、速い……!!」

「落ち着け、敵は確かに早いがこっちは固いんだ!ハオは防御に専念して攻撃は俺に任せろ!」

「う、うん!」

「よし、まずは足を止めるぞ!!」

 アトラスレイダーの左肩の盾が展開、アームにより左腕に装備される。さらにブースター右部のアームがマシンガンを展開させるとヴェルベットのレイダーに連射を浴びせる。

『チィッ!鬱陶しいんだよォ!!』

「くそっ、なんて反応速度だ……!」

「このままじゃ押されちゃうよ!!」

「耐えろ!耐えるんだ……!耐えて敵の隙を引き出せ……!」

『おいおい、随分と余裕ぶっこいてんじゃねぇかよ……!その調子じゃすぐに死ぬぜぇ!?』


 ヴェルベットのレイダーにアトラスレイダーが苦戦する中、カレンも同じく別の敵に苦戦を強いられていた。

『おらよ!逃げてばかりかァ??』

 カレンのストームレイダーは、アンナのブラスティレイダーが両手に構えるガトリングガンの雨に翻弄されていた。

「くっ……これじゃ全く近付けません……!」

『ほらほら、もっと踊ってくれよなァ!アヒャヒャヒャ!!』

 やがてガトリングガンの弾が切れると、その隙をついてストームレイダーがサスマタを構えて接近戦に持ち込む。

「あなた、おそらく子供ですね?どうしてあなたのような……」

『ア゛ァ?関係あっかよ!ガキだろうが戦場で産まれりゃ立派な兵士だぜ!!テメェみたいな甘ちゃんに説教されてたまるかってンだよォ!!!』

 アンナのブラスティレイダーは、背中から大鉈を取り出すとそのまま振り下ろす。

「きゃあ!!」

『へっ、口ほどにもねえな!!』

「うぅ……」

「カレン!!」

『おっと、他人の心配してる場合か?』

 カレンの危機にブレアが叫ぶが、マルセのブラスティレイダーがそれを阻む。

『貴様の相手は私だ』

「ちぃ!あんたら、今がどんな世の中なのか分かんねぇのか!!人間同士が殺し合って何になるんだよ!!」

『ふっ、我々はただ命令を聞くのみ。世界情勢とか人類の危機などは知らん!』

「……クソッ!この思考停止野郎が!!」

ブレアは距離を取りマシンガンを乱射するが、マルセのブラスティレイダーは冷静に回避していく。

「こうなったら……!」

 ブレアはビルの影に隠れると、細かく射撃を繰り返しながら建物の間を縫って移動していく。

『ほう、考えたな。だが、無駄だ』

 マルセのブラスティレイダーはビルを遮蔽物にして移動しているブレアのレイダーを見つけ出すと、的確にライフルを撃ち込み始める。

「うっ!ヤバい……!」

 僅かな建物の隙間からライフルの弾が機体を掠める。ブレアは反撃に出ようにも、隠れている場所が悪すぎて下手に移動できない。

「ちくしょう、身動きが出来ない!マジでどうすりゃ……え?」

 突如、建物の影からマルセのブラスティレイダーが大鉈を構えて頭上から襲いかかった。

「うおぉっ!!?」

 マルセはライフルによる射撃でブレアを威嚇、ライフル攻撃に身構え動きを止めたのを確信すると一気に距離を詰めてきたのだ。

「しまった……」

 ブレアは咄嵯の判断でレイダーの右腕を盾にして塞ぐが、大鉈の一撃は簡単に装甲を切り裂き右腕が切断されてしまう。

「ぐうっ……!」

『これで終わりではないぞ』

 マルセはブレアのレイダーの胴体に蹴りを入れると、そのまま地面に叩きつける。

「うわああぁぁ!!」

「ブレア!!」

「ブレア!!」

「ブレアさん!!」

 ブレアのレイダーはなんとか立ち上がるも、既に各部から火花が噴き出しており戦闘続行は不可能だった。

『ふん、やはり雑魚か』

 マルセは銃を構えながらゆっくりとブレアに歩みを詰める。

 しかしその時、横から機関銃の弾がマルセの歩みを阻んだ。

「うおおおおおお!!」

「ジュ、ジュウォンさん!!」

 先程まで輸送機で待機していたジュウォンが、ただ見ている事に耐えきれずにバスターレイダーを出撃させて来たのである。

『ほう、まだ仲間がいたか』

「みなさん、もう限界です!今すぐ退避してください!」

「だ、だがよ……敵さんは多分逃してくれないだろうぜ……!」

「いえ、おそらく大丈夫です。シリウス商会から連絡があって、アレがここに来るそうです」

「アレ……?」

『何をごちゃごちゃと……』

 マルセはそう言うと、再びブレアの方へと歩き出した。その時、上空から1機の影が現れ、銃を構えるマルセの機体の腕を降着と同時に切り落とした。

『!?』

「あ、あれは……!!」


「……ったく、遅せぇよ、隊長!!」

 上空から現れたのは、装いを新たに改修を施された勇のグリフィンレイダーであった。

「待たせたな、お前たち」


「隊長!!」

「遅くなってすまなかった。後は任せてくれ」

「ああ、頼んだぜ……!」

 ボロボロになったレイダーズを勇が退避させると、『カウベル』の機体がグリフィンレイダー改を取り囲んだ。

『待ってたぜぇええ勇ィ!!今日こそ俺の愛を受け取ってもらうぜェェェ!!』

「ヴェルベット、お前ともあろう者が首輪付きとは、堕ちたものだな」

『ハン!そんなのお前に言われなくても分かってるっての!だからこうして……』

 ヴェルベットのブラスティレイダーが両腕のガトリングガンを向ける。

『テメェを殺しに来たんだよ!!』

「……やはりお前は変わらないな。お前のその狂犬じみた性格はいつ見ても腹が立つ。……では、始めようか!!」

 勇は操縦桿を握る手に力を込める。

「行くぞ!!」

 勇はスラスターを全開に吹かすと、ヴェルベットのブラスティレイダーへと突撃する。

『おっしゃ来やがれ!!』

 ヴェルベットはガトリングガンを連射する。勇はそれらをかわすと、腰に帯刀した刀状の武装を構える。

「『ムラマサ』起動!!」

『お、おい!まさか……!』

「うおおお!!」

 勇の乗るグリフィンレイダーが『ムラマサ』を抜くと、ヴェルベットの機体の両腕は一瞬でバラバラに斬り落とされた。

『ぐああぁっ!?』

『おいおい!どこ見てんだテメェ!!』

 後方からアンナのブラスティレイダーがガトリングガンを放ち襲ってくるが、それすらも瞬時に見切るとムラマサを一閃させる。

『うわっ!?』

「お前はまだ未熟だ」

 アンナは寸前でかわすもバランスを崩して転倒、そのままムラマサで両脚を斬られ、グリフィンレイダー改の足で抑え込まれる。

『クッソ!放しやがれ!!』

『アンナ!』

「余所見をしている場合か?」

『チィッ!!』

 マルセはライフルを構えて撃ち込むが、勇はそれを難なく避けると、今度はムラマサを投擲、マルセのブラスティレイダーの頭部が破壊される。

『なっ……!?』

「終わりだ……!」

 マルセの油断を突いて勇が接近すると、頭部に刺さったムラマサを両手に掴み、そのまま縦に一文字に切り裂いた。

『マ……マルセエェ!!』

「次だ……!」

 勇はムラマサを回収すると、次にヴェルベットへと突撃する。

『ったくよォ!!お前はいつも俺をシビレさせんだよナァ!!』

「ヴェルベット、これで終わらせる!」

『バカがよ!!まだ奥の手があるのを忘れんなよな!!V.N.L.S起動!!』

 ヴェルベットはブラスティレイダーに搭載されたV.N.L.Sを起動する。しかし……。

『ン!?な、なんだこれは……!!か、体が裂けるように痛いぞ……ま、まさかモルヒネが効いていないのか……!!』

「ヴェルベット、今までV.N.L.Sの反動を避けていたツケが回ったな!お前のその痛みが、俺とお前の本当の差だ!」

『ぐぅ……!ちくしょう……!こんな所で終われるかよォ!!』

「終わりだ、ヴェルベット!!」

『う、うわああぁぁぁ!!!』

 勇はヴェルベットにムラマサを振りかぶる。しかし……。

『ッソがよおぉぉぉ!!よくもマルセをオオォォォ!!』

 寸前の所でアンナのガトリングガンが勇の剣を止める。

『お前ら、十分な見せ物だった。ヴェルベット、戻るぞ』

『お、おう……』

『おい!!アタシはどうすんだよ!!ヴェルベット!!カルドネン!!クソッタレがァ!!』

「……」

『チッ!覚えてろよ!!必ずぶっ殺してやるからな!!絶対だ!!絶対だゾォオオッ!!!』

 ヴェルベットとカルドネンは撤退していく。

「ふっ、また死に損なったな、ヴェルベット」


千葉某所、商店街。

 レイダーズ一同は、先の戦いによりボロボロになった機体の回収のため輸送機を待っていた。そして、カルドネン一味に置き去りにされたアンナは捕虜にされる事になった。

「隊長!お帰りなさい!」

「ああ、ただいま。みんな無事で良かった」

「全くだぜ!もちっと遅けりゃ全滅してたかも……ってな!本当いい所もってくよ!」

「あはは……」

 安心から、一同が談笑する中、捕らえられたアンナが大騒ぎしていた。

「ふざけんなテメェら!!放せ!!放しやがれえぇ!!」

「まさかマジで子供だったとはね……」

「ア゛ァ!?ガキで悪かったなゴラ!!」

「こ、怖ぇ……!」

「気をつけろよブレア。これでも立派な兵士だ」

「お?そこのキザったらしは分かってるじゃねえか」

「誰がキザったらしいだコラ!!……俺も、お前と同じカルドネンに育てられた少年兵だったんだよ」

「へっ、そうかい。じゃあアンタも親を殺したのか?まだガキ産めねぇ歳で慰みものにされたか?食糧の尽きた戦場で死んだ兵士の肉で飢えを凌いだのかよ!?ア゛ァ!?」

「……俺の親は俺が産まれてすぐ殺された。それ以外は全部ある」

「……けっ、そうかい。まあいいや。アタシはお前らを絶対に許さないからな!いつか必ず全員ブッ殺……!」

 怒鳴り散らすアンナだったが、横で話を聞いていたカレンに抱きつかれて言葉を失う。

「あなたも……ずっと辛い思いをしたのですね……」

「なっ……なんだよお前!ふざけんな離れろよ!離れろよクソがッ!!」

 抱きつくカレンの肩に噛み付くアンナだったが、カレンは黙ってそのまま離そうとしなかった。

「カレン……」

「カレンさん、この子の事は私に任せてもらえませんか?」

「ジュウォンさん……分かりました、お任せしますね」

「ええ、ありがとうございます」

 ジュウォンはアンナに近づくと、優しく語りかける。

「アンナ、君が受けた苦しみは分からない。だが、君のような境遇の子供を生み出さないためにも、私たちは戦っているんだ」

「……知るかよ」

「そう……でも、私たちは必ず信じてもらえると信じている。だから今は、私たちを信じてくれないか?」

 ジュウォンの言葉を聞いて、アンナは小さく呟いた。

「……チッ、勝手にしろ」

「……ああ、分かった」

「お待たせしました、みなさん。輸送機が到着です」

「おお、やっと来たか!」

「ジュウォンさん、本当にその子を?」

「はい、責任を持って面倒を見ます」

 輸送機が到着し、一同は機体に乗り込む。

 その時、アンナはジュウォンに話しかける。

「……おい、女男!……腹が減った。向こう着いたら何か食わせろ」

「……ああ、任せてくれ」

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