LIMIT
『カウベル』地下基地、整備ドック。
「喜べα、いや、ヴェルベット。今日からお前は俺たちの隊に配属された」
「マジか!?ありがてぇぜ!!」
「ただし、勝手な真似をすれば俺の判断でその首輪が爆発する。自分が飼われている家畜である事を忘れるなよ」
「……チッ、わかってらぁ!」
「それでは行くぞ」
レイダーズ本部、会議室。
「先程、ロサンゼルス基地から『カウベル』が日本に向けて進軍してるという報告があったわ」
レイダーズ基地では、役12時間後に攻めてくる『カウベル』を迎え撃つために、勇を除いた一同が作戦会議が行われていた。
「ちくしょう!隠れる気なしとか舐めてやがるぜ!!」
ブレアは敵の太々しい程の余裕な態度に怒りを覚える。トードはそれを見て冷静に意見を述べた。
「それほど今回は自信があるんだろう。少なくとも、今回に関しては本気で俺らを潰してくるかも知れない」
「それは……かなりマズイかも……」
「ああ。もしかしたら『牛飼い』も出てくるかも知れない」
「『牛飼い』?」
「『カウベル』を指揮している奴の事だ。つまり、俺を育てた男がヘタすれば出てくるかも知れない……」
「そういえば、トードさんも元々は『カウベル』にいたのですよね?」
「ああ。だがもう俺はもうあそこには戻らない。お前たち仲間が居るからな……」
トードの言葉に、皆嬉しそうな表情を浮かべた。
「トード……そうだな、みんながいるもんな!!絶対に負けねぇぜ!!」
「でも、勇隊長居ないよ?どうしたの?」「勇なら今、シリウス商会からの荷物を受け取りに行って居るわ。戻るのには、まだ時間がかかるはずよ」
「ったく、こんな時に隊長が居ないんじゃちっと不安だな……」
「どうしたブレア、ビビったか?」
「馬鹿言うな。ただ少しだけ心配になっただけだ」
そう言うブレアだが、内心気が気ではなかった。茶化したトードも、顔には出さないが正直言えば心に余裕があるとは言えない。
「大丈夫だよ。きっとすぐに戻ってくるさ」
「そうね、今は私たちだけでも出来る限りの準備をしましょう」
『カウベル』襲撃予測時間まであと6時間。
アメリカ某所、月面観測所。
「……これは!成層圏付近からTEの群れを確認!!降着予想地……日本!!」
「くっ!!奴らめ、十分に衛生さえ生きていれば事前報告が出来るのだが……!!」
「不味いな……今日本では対『カウベル』の作戦準備中なんだぞ」
「このままでは『カウベル』とTEの板挟みか……」
日本、レイダーズ本部、会議室。
先程の月面観測所からの連絡を受けたレイダーズ一同は、再び作戦会議を行っていた。
「みんな、今度はTEの群勢が日本に降下してくるわ」
「んなっ!?こんな時にかよ!!」
「こういう事態は覚悟していたが……実際そうなると一層『カウベル』に腹が立つな」
トードの言葉に一気に場の空気が重くなる。無理もないだろう、こんな時に人間同士が命をかけて争っている場合ではないからだ。
「とにかく、まずはこっちが先決よ。降下予測地点は千葉……この場所ね。ハンス、勇が居ない今、指揮はあなたに頼むわ」
「おうよ、任せた」
「ハンスさん、私もサポートさせてください」
「ジュウォンか、助かる!」
「じゃあ早速だけど出撃してちょうだい」
「「「「了解!!」」」」
『カウベル』襲撃予測時間まであと4時間。
千葉某所、商店街。
勇を除いたレイダーズ一同は、ハンスとジュウォンを乗せた輸送機と4人が乗る各レイダーで千葉に向かっていた。
「この辺りだな」
「はい。確かにこの近辺にTEが降着したようです」
しばらく商店街を進んでいくと、複数の巨影が建物の隙間から頭を出す。
「ちょっとこれって……多くない!?」
「ああ……20から25……かなり面倒だな」
「ハンスさん、もし必要なら私も出られますが」
「いや……ジュウォン、お前はまだ待機だ」
「……了解です」
「それより、問題はあいつらどうやって倒すかだぜ」
「とりあえず、建物の隙間に退避させましょう。極力表に出なければ見つからずに対処できるでしょう」
「そうだな、それしか無いだろう」
勇を除いたレイダーズ一同は、ジュウォンの指示を受け建物の間に身を潜める。
『カウベル』の襲撃まで残り1時間。
レイダーズは建物の影から次々にTEを対処していくが、その数は一向に減る気配がない。
「クソッ!全然数が減りやがらねぇ!!」
「ねえ、あとどのくらい残ってるの!?」
「ざっと見積もって10体前後と言ったところでしょうか」
「……そうか、なら俺に考えがある」
通信でトードが全員に作戦内容を話し始める。
「よし!それでいこうぜ!!」
「えぇ、それが最良だと思います!」
「オッケー!!」
作戦開始と同時に、全員が一斉に動き出す。
「いくぜカレン!俺に続け!!」
「はい!」
ブレアとカレンは建物の影から飛び出すと、次々と敵の注目を集めていく。
「おらおらこっちだ!!」
「私たちが相手ですよ!!」
「うおおぉ!!」
ブレアは機関銃を撃って相手を誘い込み、カレンはワイヤーを使って飛び回って敵を翻弄する。
「トード、ジェネレーターの出力はどんな感じ?」
「ああ、十分だ!いつでも撃てる!」
「OK、2人とも!タイミングは任せるぜ!!」
「任せろ」
建物の影に隠れていた、ハオとトードの同乗するアトラスレイダーがビルの屋上に出てくる。
「トード、待たせたな!」
「ああ、いい感じだ。ハオ、引き金は任せた!」
「うん!」
ハオが返事を返すと、アトラスレイダーはシールドを腕に展開、身を低くして四つん這いのような形態に変形し、背中から『速射型超高威力電磁砲』を展開、カブトムシを彷彿とさせる形になる。
「照準……よし!」
トードが狙いを定めた先には、ブレアとカレンの誘導に引き付けられたTEが一直線に並んでいた。
「ハオ、撃て!」
「了解!サンダー・パルフェ・ガン!!」
アトラスレイダーの背部に展開している『速射型超高威力電磁砲』から一発の弾丸が発射されると、その衝撃によりアトラスレイダーの立つ建物が崩れる。
発射された弾丸はそのまま敵の列に向かっていき、そのまま一体目に直撃すると瞬時に貫通、一直線上の全てのTEに直撃して大爆発を起こす。
「好っ!!やった!!」
「いいぞ!よくやった、ハオ!」
「やっぱネーミングはそんな感じなんだな……」
「みなさん、油断しないでください!引き寄せきれなかった敵がまだ残っています!」
カレンがそう言うと、残りの数体のTEがこちらに襲いかかってくる。
「ああ、そうだな!こいつらをさっさと片付けないと……」
ブレアが身構えようとした次の瞬間、上空から何かがTEに迫って行き、そのまま貫いて撃墜した。
「……え?」
「これは……?」
何かが降着した方を見てみると、そこには1機の黒いレイダーが立っていた。
「あれは……『カウベル』の機体か?そんな、予測より30分早い……!」
「いや、左肩に鈴のペイントがない……もしや『牛飼い』……カルドネン・エランか!?」
しばらくすると、さらに上空から3機のブラスティレイダーが降りてくる。そちらは全て『カウベル』の鈴のマークがペイントされていた。
「やはりお前は……『牛飼いのカルドネン』!!」
『ああ、そうだ。『カウベル』の裏切り者の家畜よ』
「俺はもう『カウベル』でも財団の兵士でもない。レイダーズの隊員だ!」
「トード……」
『まあいい、役に立たなくなれば殺すのみだ。では……』
カルドネンは、ゆっくりと右手を上に上げる。
『お前たちを血祭りにしてやる……!!』
「ああ、やってみろ……!!」




