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タイタンレイダーズ  作者: 南ノ森
COW BELL
12/50

CAREN

レイダーズ本部、整備ドック。

「なるほど……これがシリウス重工の機体か……」

「あの時の動き、凄かったよな」

 ウィルソン財団の『カウベル』の2度目の襲撃から2日後、シリウス商会の送り出した『ストームレイダー』とそのパイロット、カレン・オルソンは、今後もレイダーズのチームとして一緒に戦ってくれる事になった。

 ブレアは詳しく話しをカレンに聞くために格納庫を探していると、シリウス商会の技術班のメンバー達が機体のメンテナンスをしていた。

 その光景を見て、カレンは呟くように言った。

「やはりフランクリン会長の商材は素晴らしいですね。この技術があればどんな戦場でも対応できるでしょう」

「あっ、カレン……!」

 ブレアがカレンを見つけると、彼女は微笑みながら手を振った。

「やあ、ブレアさん!もう体調は大丈夫ですか?」

「ああ、カレンが来たおかげでなんとかピンチを逃れたよ……」

「それは良かったです!」

 カレンは安心した表情を見せると、再び話を続けた。

「そういえば、あなたはどうしてここに? わたくしに何か用事でしょうか?」

「そうだ! 実は聞きたいことがあってさ……」

 ブレアはカレンに、シリウス商会について思っている事を聞いた。

「なあカレン、シリウス商会ってのはよ、武器商人なのか……?」

「いいえ、シリウス商会は人間の人間による、人間のためになる商品を取り扱っている商会です!」

 カレンの言葉を聞いて、ブレアは少し納得できなかった。

「だけどよぉ、こんなレイダー作って、武器も使って……なんか気になるというかさ……」

 ブレアの疑問に、カレンは答える。

「確かに、レイダーという兵器を使っていますし、武器も売ってます。しかし、それは全て誰かのために作られたものです」

「じゃあ、なんでそんな物騒なものを作ってんだ!?」

「それは、商会の武器は、武器に留まらない技術で作られているからです!例えばこのレーザーマチェットの光刃は鉄を切り出すために必要なレーザーカットに転用出来ますし、機体の衝撃吸収剤は車や飛行機などに転用出来ます!つまり、戦いが終わっても決して力のみが残る事はなく、人の役に立つものを残す事が出来るのです!!」

 熱弁するカレンに対し、ブレアは気圧されてしまい黙り込んでしまった。

 するとカレンは、何か懐かしむように語り出した。

「フランクリン会長は素晴らしい方です……わたくし、『来訪者』の襲来で家族を失いました。そして、私の周りにいた、関係のない人たちも……そして、脚も」

「…………」

 カレンの話を聞き、ブレアは何も言えなかった。

「ですが、わたくしはシリウス商会の商品に出会い、脚を失っても再び歩く事が出来るようになったんです!見てください、この義足を!!」

 カレンはスカートをめくる動作をし、義足を見せた。

 義足の膝部分には球体状の機械があり、それが駆動音を立てていた。

「この義足にはシリウス製の最新型の人工筋肉とエネルギーパックが搭載されています。これによってわたくしは今までのように歩けるようになりました!!だから、わたくしはこのシリウス商会に感謝しています!!そして、これからもこの会社を支えて行きたいと本気で思っています!!!」

「カレン……」

 カレンの熱い思いを聞くと、ブレアは自分が聞いた疑問に少し罪悪感を覚えた。

「そっか……そういうことだったのか……悪かったな、変なこと聞いて」

「いえ、構いませんよ」

 カレンは笑顔でそう言うと、ブレアは頭を掻きながら笑った。

「まあ、俺もお前らのそのレイダーに助けられちまったもんなぁ……」

「ふふっ、そうですね」

 カレンが笑いながら同意すると、ブレアは恥ずかしそうな顔をしてカレンから目を逸らした。


レイダーズ本部、渚の研究室。

「なるほど……これがシリウス商会の機体か……」

「この機体コンセプト、なかなか面白いわね」

 研究室では、勇と渚がハンスの持ってきた資料を眺めながら会話をしていた。

「ああ、ストームレイダーはパワーと耐久力こそ無いが、その分軽く作られているためスピードに特化している。それに各部にスラスターも付いているため移動速度も速いし、コーナリングも小さい」

「なるほどね……」

「だが、これだけ見れば財団のブラスティレイダーと比べれば性能差で劣っているように見えるが?」

「まあ、実際そうなんだがな。しかしこのストームレイダーはパイロットの実力がモロに反映される機体だ。つまる所、カレンの操縦テクニックが財団の『カウベル』の奴らに勝っていたというわけさ」

「なるほど……カレンの操縦技術が高かったからこそ、あれだけの戦闘ができたということか」

 勇が感心していると、渚が横から口を挟む。

「それは分かったわ。ハンス、あなたがこの機体に関する情報の開示、さらにシリウス商会の事細かな詳細の説明……信頼に値する材料は揃ったわ。それより……今まであなたがシリウス商会のスパイだった事を黙っていた事への説明はどうしてくれるのかしら?」

「うぐぅ……」

「まあまあ、落ち着け。今となっては、もう過ぎたことだろ?」

「……それもそうね。でも、もし次に同じような事があったら覚悟しておく事ね」

「お手柔らかに頼むぜ……」

 ハンスは苦い笑みを浮かべてそう言った。

 するとその時、警報音が鳴り響いた。

『緊急事態発生!警戒レベル3発令!繰り返す、緊急事態……』

「『カウベル』か!?」

「いや、この警告は『来訪者』の方だ!」

「どっちでもいい!勇、出撃だ!!」

「ああ!!」

「行ってらっしゃい、頑張ってね」

 渚はそう言うと、勇の肩を掴んで強く引き、頬に軽く口を付けて送り出した。

「……なあ、あんたらそこまで行ってたのか?俺はてっきりウブな関係なのと思ってたんだかな?」

「……さあね?どうかしら」

 勇が格納庫まで走るのを見送った渚はタバコに火をつけて誤魔化した。

「やれやれ、見せつけてくれるねぇ……」

 ハンスは呆れた様子でそう呟くと、自分の持ち場に戻って行った。


レイダーズ本部、整備ドック。

 勇が格納庫に到着すると、ブレアが何やら慌てていた。

「あ、隊長!ハオを見ませんでしたか!?」

「いや、見てないが……」

「あーもう!ハオのやつ、いくら落ち込んでるからって出撃拒否なんて……」

「大丈夫です、ハオさんなら連れてきましたよ!」

「え?」

 カレンの言葉に驚くブレアの前に、ハオが現れた。

「……」

「ハオ!大丈夫なのか!?」

「……ごめん、やっぱりまだ戦えない……」

「な、なに言ってんだよ!敵が地球に来てるってのに……!」

「いいの、私には無理……」

「何を……」

 ブレアが言いかけた時、カレンがブレアを手で静止し、ハオに近寄ると平手で顔にキツい一発を見舞わせた。

「!?」

「いっ……!な、何……」

 突然の事に驚きを隠せないハオに対し、カレンは変わらない笑顔で言った。

「目は覚めましたか?」

 一緒に驚いていたブレアは慌てて2人の間に割って入った。

「お、おいおいいきなり何をやって」

「いえ、寝言をおっしゃられていましたので」

「ええ……」

「ハオさん……あなたは、何を恐れて、何に苦しんでいるのかは存じ上げません。ですが、今は成すべき事を成す時です。あなたもそれを分かっているから、今ここにいるのでしょう?」

「……うん」

「ならば、さっさと行きなさい。あなたはレイダー乗りなのでしょう?レイダーに乗る理由があるのであれば、戦いに行きなさい!」

「……!」

 カレンの叱咤に、ハオはハッとした表情を見せると、両の手で自分の頬を叩く。

「……ありがとう、目、覚めたよ」

「いいのですよ」

 カレンは優しく微笑むと、勇に視線を移した。

「では、勇様。参りましょう」

「ああ、分かった」

 勇は力強く返事をする。

「よし、行くぞ!!」

「はい!」

「了解!!」

 4人はそれぞれの機体に乗り込み、出撃準備に入った。


日本、関東某所港。

『勇、目的地は見えるか』

「ああ、バッチリだ。敵さんもよく見える」

『そりゃ50mのデカい的が7体もいればな。だが熱源はまだひとつ上空9000mで確認されている。気をつけろよ』

「了解」

 通信を終えると、勇は機体のレーダーを確認した。

「敵影確認。全機、戦闘態勢!」

「「「了解!!」」」

 それぞれの機体が戦闘態勢に入る。その中の1機、ストームレイダーが積み重ねられたコンテナの間を縫って一体の歩兵TEに向かって行く。

「カレン、参ります!」

 カレンのストームレイダーがワイヤーを射出、そのまま敵にぶら下がりながら跳ぶと、レーザーマチェットを即座に展開して一瞬にして脚を2本切り落とした。

 そして着地と同時に敵の胴体にレーザーマチェットを突き刺し、レーザーカットで上半身と下半身を切り離す。

「すごい……あんな動きが出来るのか……」

 ブレアはカレンの動きを見て驚愕していた。

「俺達も負けていられないな。まずは俺がやる。援護してくれ」

「はい!!」

 勇はそう言うと、ブースターユニットを起動させ、敵陣へと突撃した。

「さあ、来な!!」

 勇が叫ぶと、グリフィンレイダーの背後にいた歩兵TEがレーザー砲を向けて迫り来る。

「当たらん!」

 勇は機体を操作して、砲撃をギリギリの所で回避すると、一気に接近してソーンマチェットを振るった。

「これで終わり!!」

 勇はマチェットを振り抜き、歩兵TEの砲身を切断する。

「これで!!」

 そしてそのまま二振りのマチェットで残った4本の脚部を切り落として行動不能にさせた。

「ちょっと2人とも美味しい所持ってき過ぎだろ!」

 そう言ってブレアが勇の機体を飛び越えながら叫ぶと、そのまま次の目標まで滑走する。

「俺だって良い所見せたいんだよ!!」

 ブレアは腰に装備されたバスター・チェーンソーを起動させ、回転の熱で紅く輝く刃を敵に振り回す。

「おおりゃぁぁあ!!!」

 ブレアが雄叫びを上げながら一回転すると、歩兵TEの上半分と下半分が綺麗に切り離され、地面に落ちた。

「……ふぅ」

 ブレアが額の汗を拭うと、その隙をついて歩兵TEの巨大な足が真上から接近して来た。

「危ない!!」

 カレンがそう叫んだ瞬間、ブレアの機体がカレンのストームレイダーにより押し倒され、そのおかげでブレアは助かった。

「あ、ありがとなカレン」

「礼は後です!!それよりも、早く立ち上がってください」

「あ、ああ……」

 ブレアをカレンが抱えて立たせていると、反対側からもTEがやってくる。

 しかし、その動きは無数のミサイルにより阻まれ隙を作った。

「今だよ、みんな!!」

 ミサイルを放ったのはハオのレイダーだった。

「ナイスだ、ハオ!」

「ハオさん、感謝します!」

「サンキュー、ハオ!」

 3人がそう言うと、勇はソーンマチェットを構え、カレンはパワーライフルで狙いを定め、ブレアはショットガンを構えた。

「さあ、終わらせようか!!」

 勇がそう言うと、3機は一斉に攻撃を開始した。

 勇はグリフィンレイダーのスラスターを吹かし、敵機との距離を詰める。

「ふんッ!!」

 マチェットの刃は次々に敵を切り刻み撃破していく。

「カレン、決めるぞ!」

「はい!!」

 カレンはブレアの合図と共に、残りの敵に一斉射撃を浴びせた。

「喰らえぇえ!!」

 ブレアはショットガンで最後の一体の胴体を吹き飛ばすと、敵は沈黙した。

「やったか!?」

 ブレアがそう言うと、勇はレーダーを確認する。

「いや、まだだ!奴が上空から降下してくる!」

「え!?」

 ブレアは驚いて上空を映し出すモニターをズームして見ると、確かに敵の姿があった。

「なんだありゃ!!?羽根が生えてるぜ!!」

「虫……かな?それとも鳥?」

「『飛行型TE』でよろしいのではないでしょうか?」

「とにかく、あのデカブツを落とすぞ!」

「「了解!」」

「……って返事したものの、どう落とすんだ?あれ……」

「お任せください!」

 カレンが指をパチンと鳴らす。すると、何処からか輸送車が現れ、コンテナが開き二つの武器が転送されてきた。

「い、いつの間に!?」

 皆の反応を見たカレンは満足げに答える。

「こちらはシリウス商会の開発した『ビッグミニガン』と『速射型超高威力電磁砲』になります!」

「『ビッグミニガン』……ミニじゃなくね?」

「細かい事は気にしないでください」

「まあ、いいけどさ……」

 ブレアはカレンの自信満々な様子に圧倒されていた。

「では、早速……」

 カレンがそう言ってビッグミニガンを手に取ると、敵に向かってブースターを噴射し向かっていった。

「ね、ねえ!こっちのやつは!?」

「そちらの装備はストームレイダーのパワーでは発射の衝撃に耐えられないので非対応となっております。どちらかと言えば、重装型かつジェネレーターの増設されているハオさんの機体が最適かと」

「つまり、私がこれを使えって事?」

「はい」

「……分かった」

 ハオは少し躊躇したが、カレンの言葉を信じる事にした。

「よし、行くよ!」

 ハオはカレンに言われた通り、背部のパルフェ・ガンの砲身を外し、代わりに大型のレールキャノンを装備した。

「ハオさん!わたくしはまず『飛行型TE』を近くまで引きつけます!うまく狙いを付けてレールガンを撃ってください!」

「分かった!」

 ハオはそう返事すると、レールキャノンを起動させる。

「よし、来た!」

 カレンは『飛行型TE』に近づくと、敵はこちらに気づいたのかレーザー砲を向ける。

「遅いです!」

 カレンの機体が急旋回すると、レーザー砲は空を切った。

「一発で……決める!!」

 徐々に近づく『飛行型TE』。やがて射程圏内まで入ると、ハオはトリガーを引いた。

「今だ!!」

 轟音と閃光を放ち、撃ち出された砲弾は一直線に敵へと向かって『飛行型TE』に直撃し、そのまま落下していった。

ハオ!!狙い撃ち成功っ!!」

「やりましたね、ハオさん!」

 カレンがそう言いながらハオの機体の元へ駆け寄ると、ハオの機体から煙が立ち上がり始める。

「あらあら、ショートしてしまいましたね……」

「えー!?そんなぁ」

 ハオの嘆きも虚しく、機体は動かなくなってしまった。

「でも、任務完了ですね!早く基地に戻りましょう!」

「でも機体動かなくなっちゃったし……」

「仕方ない、輸送機を呼ぶか」

 勇がそう言うと、本部基地に通信を繋げて輸送機を待つ事にした。


3分後。

「任務後のカップ麺ってのも乙だよなぁ〜」

「だな」

 任務を済ませた一同は、輸送機を待つ間に食事をする事にした。

「しっかしハオ、お前調子戻って来たんじゃないか?」

「うん、なんかもう大丈夫みたい」

「なら良かったぜっ」

「あははっ、ありがとう!」

「ハオ、これからも頼んだぞ」

「はいっ!」

 ハオを励ます一同をカレンは微笑ましく見ていた。

「でもね、これってカレンのおかげなんだよ?」

「わたくしですか?」

 カレンがそう言うと、ハオはカレンの手を取り、自分の手を重ねる。

「カレンが励ましてくれたから、私立ち直れたんだよ。だから、カレンにもお礼がしたいなって思ってたの。カレン、本当にありがとう!!」

「いえ、お役に立てたのであれば何よりです」

「まあ、アレは励ましって言うよか叱咤だよなぁ」

「ブレア、言うな」

「あはは……」

「皆さん、お話も良いのですがそろそろ輸送機が到着するようですよ」

「おっと、そうだったな」

 4人は食事を終えると、勇達は輸送機に乗り込んだ。

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