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第21話 呪われたようです

お読み頂きましてありがとうございます。

 既にこの世界で俺TUEEEしている人が居たよ。『ゲート』は転移系の何かだろうし、津波は『無限収納』スキルで対応できそうだ。


 スペースコロニーのことをスマートフォンで調べてみると山田ホールディングスの子会社が開発したミスリルという合金やオリハルコンという合金で作られているらしい。怪しいことこの上ない。


 それにこの人は評判が悪い。その容姿端麗な肉体を使い、経済界の大物からアメリカ大統領までも誑し込み、その権力を使い放題で一時期経済犯として逮捕されたにも関わらず大統領のごり押しで釈放させたという憶測まで流れていた。


 先の衆院選では、当選させなければ彼の持つ技術を外国に売り渡すと脅したらしい。しかも日本の検察当局が1階にある高級スーパーの経営者を誤認逮捕した際には、年間1千億円以上の利益を生み出す会社の株式を外国に譲り渡し売国奴と呼ばれたこともある。


「紫子さんも誑し込まれた口?」


 突然、頑強な地面だと思っていたところが脆いかもしれないことに気付く。その巨額の資本で企業買収され、泣きを見た経営者も多いらしいのだ。


「嫉妬してくれるの?」


 どうも違うらしいのでホッとする。山田社長の悪口を言うと被害者は必死に庇うことが多く、山田社長の良いところを誇大に主張するという週刊誌の記事があった。その記事を丸呑みする訳じゃないが洗脳されている人は大概そんな反応をするものだ。


「もちろん。でも随分評判の悪い人なんだね。俺は自分の目で確認するたちなんだ。どんな人間か会うのが楽しみだ。」


 そんなことを言いながらも悪い人間なら正体を暴いてやるつもりだ。


「どうしたの?どうしたのよ。大葉くん。気分が悪いの?」


 突然眩暈が襲ってきた。立つことも出来ないくらい周囲が真っ暗になり、深酒したかのように目が回る。


 おかしい。なんだこれは、スマートフォンで調べた際に見た3流週刊誌の与太記事を思い出す。マンションの敷地に入った途端、呪われたというのだ。まさに症状も俺が今経験している症状と全く同じだ。


 目を開けているはずなのに見えない。


 いやうっすらと何かが見える。カーブした線が地面に網目状に広がっていた。これはまさか・・・魔法陣?


 異世界モノのアニメに出てきた魔法陣に似ている気がする。俺は無意識に『魔導解析』スキルを使ったようだ。意識して解析していくと特定の人物に悪意を持つ者に対して方向感覚を狂わせる魔法陣だった。


 さらに解析していくと魔力で遮断出来ることまで解ったので『超歩行』スキルを使うとようやく正常に戻った。このスキルは足に魔力を這わせることで水の上でも空中でも自由に歩けるのだ。


「大丈夫。寝不足かな。少し疲れていただけさ。」


「管理人さん。大丈夫なようです。お騒がせしました。」


 目の前には小柄な女性が立っていた。しかも『超鑑定』スキルを使ってもウインドウには鑑定不能という結果が表示される。何者だ・・・この人。










「ここが表のスーパーからマンション部分に入る通路です。」


 そこには変哲も無い管理人室があった。ただ違っていたのは、スーパーの総菜売り場横の商品搬入口を逆に辿ったということだけだ。


 管理人室に辿り着くまでの通路はスーパー内部とは思えないほど整備されていたが幾人かの従業員と顔を合わせている。見かけない人物が入り込んだら一発でバレるのだろう。


「この管理人室にはいつも誰かが居るのですか?」


 まずはマンション部分の説明から行われた。質問するのは紫子さんだ。


「ええ、24時間3交代制で誰かが常駐しております。」


「では大賢さんのような若い女性も?」


 管理人さんは大賢渚佑子(しょうこ)という女性だった。


「私も暇なときは居るようにしておりますが他の業務も御座いますので、いつもではありません。」


「意外と手薄なんですね。」


 確かに暗証番号を入力させるようなものは無かったが、『魔導解析』スキルによると各所に魔法陣が設置されており、要塞と言っても過言じゃ無い。しかも現代世界の科学技術も取り入られているらしく。ICタグ読み取り装置といったものも随所に設置されている。


「心地良い住環境という意味で頑強な警備員は配置しておりませんが、別室には待機しておりますので、ご安心ください。それに低層階は身元確かな従業員の住まいとなっております。」


 そのまま管理人室前を通り抜け、エレベーターホールに到着する。


「これだけのマンションのエレベーターが3基だけなの?」


「いいえ。エレベーターは11基御座います。当マンションの特徴である五角形の各角に2基ずつ、本エレベーターホールに従業員専用が1基配備しておりますのでご安心ください。まずは3階レストラン街に向かいます。」


「え・・・マンション内部にレストラン街ですか?」


「はい。当マンションの商業施設は地下の家具、及び1階の食料品売り場を除き全てマンション側にもスペースを持っており、外部の人間と顔を会わせずに飲食や買い物をしていただける設計となっております。


「凄い。完全なプライベート空間なのね。」


「ですから一般の方が住まわれている21階以上の高層マンション部分とは一線を画しており、11階から20階の分譲部分には芸能人から政治家、王族まで住まわれております。」


 これはプライバシー重視だから住人同士、お互いに尊重しろというわけだ。

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