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第20話 俺TUEEEしている人がいました

お読み頂きましてありがとうございます。

「それで、このお金どうするの?」


 結局、宝くじの換金は2人にお願いしたところ、東京に上京したついでに第二勧銀の本店の頭取室に連れていかれた。例の支店長の件があった所為か俺にまでペコペコされてしまった。普通に換金したいだけなのに。どうしてこうなった。


 その場で紫子さんにお金の使い道を聞かれた。特に予定はない。不動産など高い買い物は戸籍が無い俺には難しいだろう。


「取りあえず預かっといてよ。何処か信用の出来るところで運用してくれると嬉しいな。」


 時間が止まっている『収納』スキルの中が一番安全なんだよな。でも同じ物は999枚までしか入らない。『無限収納』スキルの中はどれだけ劣化するか解らないので貴重品は入れづらいのである。


 異世界転生ノベルでは建物を移築したり、大量の土砂を運べたりと多彩な活躍が見られるが現代世界では使いづらいことこの上なさそうだ。


 現金は静香さんと紫子さんのどちらからも引き出し易いように半分ずつ渡す。これでデート費用は割り勘でと言えるし、手持ちの現金も多少はあるので俺がエスコートするときは払わせて貰えるよな。


「良かった。私たちがしつこいから嫌になって出て行くのかと思った。」


 確かに先を争うように2人でデートに出掛けたがる。出来れば3人、いやアキエちゃんも入れて4人で遊びに行けたらいいと思うんだけど無理そうだ。


「そんな心配していたのか。静香さんも紫子さんも俺の大切な人だし、ずっと傍に居させて欲しいな。」


 お金があっても、この世界で頼れるのは2人だけだ。恐らく独立したいと言えばさせてくれる気がするけど、お金はいつか無くなるものだし。無くなったからといってまた近付くっていうのも違う気がする。


 今の距離感が心地良いんだよな。


「それってプロポーズ?」


 矢継ぎ早に問い返される。そんなふうに聞こえるように言ったつもりはなかった。出来るだけ誠実に答えただけなんだけどな。


「ゴメンね。結婚は出来ない。どちらかを選んであげられないからね。2人とも欲しいんだ。言ってみれば家族かな。もし嫌だったら言って。そのときこそ独り立ちするよ。」


 どちらと結婚しても家族になれる気がするが戸籍が無ければ結婚も出来ない。戸籍が無いって本当に困る状態だ。日本が島国というのも痛い。外国へ渡航して戸籍を得ようにもパスポートも作れないんじゃ。詰んでるよな。


「そう。」


 そのうち、吊り橋効果も切れるだろうから、どちらにも手を出していない。そんな期待させるようなこともしていないつもりだったんだけど、どうすればいいのか悩んでいる。


「ところでこの高層マンションはどうしたの?」


 第二勧銀本店の次に連れていかれたのは日本で2番目に高いと言われている千葉県のマンションだ。1階には外国ブランドの有名高級スーパーが入っているらしい。


「都心の新しい拠点にしようと思って購入を打診しているの。」


 普段は静香さんとアキエちゃんが普段住んでいるという茨城県のマンションを拠点にしている。他にも『渋沢グループ』所有の本宅もあるらしいのだが普段は使用されていない。紫子さんが新しいマンションを見に行くというので静香さんはボディガードと共に茨城県のマンションの様子を見に行った。


「打診って、マンションって不動産屋が仲買するものじゃないんだ。」


「ここの低層階のマンション部分は1人のオーナーの物なんだけど、信用できる知り合いにだけ融通しているのでセキュリティーに優れていると言われているわ。だから今日はそのオーナーと会って貰うわよ。」


「どうして俺が?」


「貴方にも住んで貰うからよ。家族になりたいんでしょ。」


 なんだろう。家族になりたいなんて今日初めて口にしたんだけど、前々から2人の中では決まっていたことのようだ。それなら嬉しいんだけど。


「そのオーナーって、どういう人なんだ?」


「貴方も会ったことがあるはずよ。パーティーで紹介したでしょ。元副総理で今は実業家に戻っている山田ホールディングスの山田社長よ。」


「ああヴァーチャルリアリティ空間の提唱者だという人。」


 前世には無かった技術だ。そのため、一時期は未来に来てしまったと考えた俺だ。事態はそれよりも深刻な並行世界転移となってしまったがこの2人が傍に居るのだから楽観的だ。


「それだけじゃないの。グアム島のスペースコロニーも、そのグアム島と各国を繋ぐ『ゲート』も彼が提唱して作り上げたのよ。しかも先の大地震で発生した津波の被害を『ゲート』技術により防いでくれたヒーローでもあるのよ。」


 紫子さんは嬉々として、そのときのニュース番組の映像を見せてくれる。


 ニュース番組の解説者が『ゲート』技術を説明してくれるがその技術の大半が企業秘密になっているようで要領を得ない。


 それを行うには多額の費用は掛かるがどんな大きな物であっても地点間の移動が可能であること、山田社長の持つ開発中の小型版なら持ち運び可能であり、津波をも削り取ることが出来たという。


 実際に『ゲート』を通る旅客機の羽根をもいだ乗り物が日本の飛行場からグアム島の飛行場に移動した映像や米軍が開発したというジェット噴射装置を背負い、津波に向かって行く社長の姿の映像が映し出されていた。

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