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第13話 活躍出来ませんでした

お読み頂きましてありがとうございます。

 何度か『超感覚』スキルが睡眠の邪魔をしてくれたが午前2時前には目が覚めた。『体内時計』スキルのおかげで身体は万全で徐々に思考の回転速度が上がってくる。


「何をしているのかな。」


 いつの間にか静香さんが俺の上にのし掛かる形で寝ていて目を開けた途端、唇を奪われた。


「可愛いらしい寝顔ね。」


 俺が目を覚ます随分前に起きていたらしい。懐き過ぎだって!


 味方だと全く疑って無いようだ。まあこういう人なんだろうな。事前に聞いていた通り過ぎる。


 しかし、よくこんな女性を騙せるよな。後ろ暗いところがある俺は良心が疼く。今回の誘拐のように金目当てで始めから騙すつもりだったか。もしくは見栄を張りすぎて結果的に嘘をつくことになったのだろうか。


 俺の場合、後者に陥りそうだ。この人に見合う男になれるまで近づかないほうが身のためだ。


「止めましょう。もう直ぐ助けが来ますから。」


「警察? 違うよね。まさかSPたちが来るの?」


「そうだ。」


 『超感覚』スキルが土を踏みしめる音を捉え、扉の鍵穴に何かを入れる音がする。鍵師もいるらしい。


「あの人たち、爆弾とか煙幕とか、とんでもない手段を使うんだよね。気をつけたほうが良いよ。」


 いくらなんでもそ・・・。『超感覚』スキルが一瞬大きな音を捉えると建物自体が揺れる。鼓膜が破れないように『超感覚』スキルのほうが音を抑制してくれるが立て続けに爆発音が3回鳴った。


「マジ?」


 普通、鍵師が時間を掛けて開けたりするんじゃないの?


 あれは『隠密』か。しまった『忍者』と言えば火力を使った陽動作戦が有名だ。ここが崩れやすい廃墟だという認識は無いのか。


「催涙ガスも平気で使うのよ。何度も助けて貰ったけど、毎回酷い目にあったわ。」


「大丈夫だ。俺のことを信じろ。」


 また嘘を吐いてしまった。『超結界』スキルで物理的に隔離されているから大丈夫なはずだ。そう言いながらもイマイチ信じ切れてない。


 ピロリン!


 メールの着信音だ。スマートフォンを確認すると「扉の反対の壁から離れろ。1分後に爆破する」とメッセージが入っていた。俺は咄嗟に扉付近でソファをひっくり返すと静香さんを押し込む。


 念のため、『金剛力』スキルも使い自分の肉体も硬くした。数秒後、爆発音が再びして目の前の壁が崩れ落ちた。危なかったメール着信に掛かる誤差を考慮していないらしい。


 周囲は粉塵で何も見えない。心なしか結界内にも入り込んできている気がする。『魔導士』スキルを使い風魔法で吹き飛ばしたいが無限大の魔力を捧げたら、どんな威力になるか想像も出来ないので何も出来なかった。全く役立たずなスキルだ。


 とりあえず視界が広がったところでソファの下から、静香さんの引っ張りだして抱きしめ、『超結界』スキルの結界を少しずつ移動させながら壁から抜け出た。


「無事か?」


 建物から十分に離れたところで結界を解除する。無事かじゃねえよ。この怒り誰に向ければいいんだ?


 兎に角、こんなところに居たくない。俺は静香さんを抱き上げると『超探索』スキルでウインドウを開き、今居る場所を確認しながら『飛躍』スキルを使ってパーキングエリアの方向へ文字通り飛んで走った。












 某日某所。


「なにっ。見失っただと。しかも監禁場所の建物は崩壊していて、あいつらは生き埋めだと。どうせ捨て駒だ。匿名で警察と消防に通報してやれ。とりあえずクラウドに保存しておいたバックアップを起動させるしか無いか。」


 『隠密』の頭領は激高したと思ったら一瞬にして冷静になった。


「頭領。どうしたんですか?」


 傍に居た優顔の男が怪訝そうな顔になっている。


「監視していた『影』によると監禁場所が相手にバレていたらしく。娘は助け出されたそうだ。しかも、どんな手段を使ったか解からねぇが『影』の目を盗んで逃げ切ったらしい。」


「下部組織の奴らは?」


「建物は崩壊して生き埋めだ。そんなことはどうでもいいが、あそこにはランキングサイトのアプリとデータが置いてあったんだ。1時間ごとにクラウドにバックアップを取ってあったから、良かったもののこれからサイトを切り替える必要がある。」


「そんなことって。」


「ああ兎に角、資金源であるサイトは最優先だ。あとのことは頼んだぞ。」


「サイトのことは超インテリの頭領しか解らないからな。仕方が無いか。」

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