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プロローグ


新作、始めました!



ーーーーーーーーーーーーーーーーピピピピピピピ



授業の終わりを知らせる合図と共に、みな一斉に教室を飛び出していく。


昼休みとはまったりとし賑わう至高の時間………などではなく、苛烈な購買争いが行われる血と抗争に塗れた戦いの時間である。


そんなチャイムを目覚ましに、俺は目を覚した。

「ふわあああぁぁぁ……………ねむ」と大きな欠伸をしながら上を向くと、そこには人相の悪い不良がいた。

うん。これは夢だ。そう思いながらまた机に突っ伏すと、俺は新たな夢の世界へと旅立っていくのだっ「おまっ、まだ寝るのかよ!」


…………何だこいつ。俺の睡眠を妨げるとか玉かっ切ってやろうか?あ"?


そう思い無言で筆箱からカッター取り出すと、「ちょっ、まて!自殺なんて早まるなって俺ぇ?!やちょまてほんとにやめてくれ?!」という聞き覚えのある声が聞こえてきた。


ぐいっと顔を上げるとそこにはいつものやつ(不良っぽいアホ)がいた。


「ん−−−−−−−−−−おはよ、柏木。なんでそんなに顔が青いの?頭大丈夫?」と腕を伸ばしながらいう。


「いやいや、え?お前、自分が何したか忘れてるの?それとも寝ぼけてたと?それはそれで危険だろ…………………って頭は大丈夫だよ!ざけんな!」といつにも増してうるさい柏木(アホ)がつっこみ?をしてくる。


なんかやったのかな、俺。


てか寝起きの頭に響くんだけど。


「柏木。うるさい。俺が寝起きなのを知らないとか万死に値するよね。はいこれ、カッター。

刺しやすいように刃を出しといたからスパッとかっ切ってね?切腹ふぁいと?」といって刃の出たカッターを手渡す。


するとうやうやしく受け取った柏木が「ん。ありがと………………ってなるかいボケ!誰が戦国武将じゃ!確かに居そうだけど!戦国武将に居そうな名前だけどね?!切腹は嫌だあああぁぁぁぁ!!」と叫ぶ。


なんでこいつこんなにテンション高いの?まぁ切腹だけは許してやるか。


そう思って柏木からカッターを取り上げて刃をしまう。


途中スッ、と向けたら「ヒェ?!」という奇声を上げていて笑ってしまった。


まぁそんなことは置いといて。


「んで、なんのよう?柏木。俺は新たな夢の世界へと旅立つ途中だったんだけど。というか眠い。起きてそうそうなんで不良の顔を見なきゃいけないの?美少女ならまだましだけどさ。 」といって話を始める。


コイツは一応友人に分類されているのだが、基本的には声をかけてこない。


なんでも不良が気の弱い生徒にカツアゲしてるように見えるんだそう。

実際はカッター程度に驚くオタク(アホ)なのにね。


まぁそんなわけで普段はあまり話しかけてこない柏木だが、何か面白い情報があるとすぐに教えてくれる。

最初俺が周りに不思議くんと呼ばれてることを教えてくれたのは柏木だ。


笑いながら言ってたからとりあえず肘打ちしてノックアウトさせたのは記憶に新しい。


何故俺が不思議くんと呼ばれてるかといえば、なんでも目が完全に隠れているはずなのに周りが見えるのはおかしいとか不良が絡んでるのに仲良さげだとか不良より強いだとか……………これってあだ名の7割くらい柏木のせいだったのかな?


「気づいたよ柏木……………このあだ名ってほとんど柏木のせいだよ。きっとヤンキーと不良の中間にいるチャラ男なのに弱いから俺が不思議くんなんて呼ばれてるんだ……………責任を取って切腹ね?」


そう言って俺は2本目のカッターを取り出し柏木に渡す。

すると今度は緊張した様子で受け取った。


「拙者。殿に無礼を働いてしまった始末。我が命を以て償いまする……………ってなんでやねん!重い!重いよ!罰が重い!それに不良でもないしヤンキーでもない!というかこのカッター色違うんだけど!お前何本持ってんだよ!」


「俺のカッターは53本だ」


「怖い!怖いよ聖火(せか)!って話がズレまくってるんだが?!一体誰のせいだよ!」

と喚き散らす柏木。


きっとコヤツは世紀末のモヒカンの……………転生体とか何かなのだろう。きっと特殊進化『モヒカン』の素材でも集めたのだろう。

この場合は退化だけど。

というか柏木の家系の問題ではないだろう。

だって柏木のお父さんは厳格そうだったしお母さんはふわっとしていた。


こんなチャラ男は突然変異に違いない。


因みに俺は確かにカッターを53本持っている。


色はカラフルに赤色、青色、黃色、若草色、黒色、白色、水色、茜色、藍色、ねずみ色、若竹色、若苗色、若葉色、若緑色、山葵色、わすれなぐさ色、瑠璃紺色、瑠璃色、煉瓦色、緑青色、萌黄色、萌葱色、柳色、桃色、山鳩色、山吹色、駱駝色、雄黄色、抹茶色、松葉色、蜜柑色、水浅葱色、水色、緑色、海松色、紫色、紅赤色、紅色、紅海老茶色、牡丹色、鶸茶色、深川鼠色、深緋色、藤色、二藍色、緋色、向日葵色、薔薇色、金色、銀色、銅色の53本だ。


正直この色を全て集めるのに2年ほどかかっている。


まぁ50本ほどはコレクションとして家に飾ってあるのだが。


なんか妹が「これあれば強盗が逃げるどころか泣いて土下座しそうだね」と若干引いた声で言っていた。


それはともかく、確かに話がズレた。でも柏木のせいだろ。


俺は悪くない。


「それで?話って何?何もなければ寝るんだけど」といって机に教科書を反転させる。


これは良き枕である。


「まぁまぁ、待てって。今回の情報は凄いから!なんと!()()雪嶺さんがとうとう付き合い始めたらしい!相手は隣のクラスのあのサッカー部のイケメン、裕翔らしいぜ?」と少し大きめの声で言う柏木。


その言葉に意識を取られ、クルッと顔を横に向ける。

すると少し怖い顔をしながらビクッと震えている雪嶺さんがいた。


氷の女王、高梨(たかなし) 雪嶺(ゆきね)


彼女はうちのクラスにいる、学年…………学校内一の美少女である、らしい。


正直俺は参加していないから分からないが密かに行われた『学校内美少女No.1投票』で1位になったらしい。

そして彼女が氷の女王と呼ばれる由縁は、全ての告白を断り続けていることだろう。


なんでもバスケ部のエースをふっただとかサッカー部の部長をふっただとかアイドルをふっただとか例を上げたらきりがない。

そんな彼女がとうとう付き合い始めたということに俺は………………特に影響はないしいいか、と思った。

例え氷の女王だろうが好きな人は出来るだろうし例えそれが学年一のブサイクだったとしても驚きはしない。まぁ周りは騒ぐだろうが。

そもそも前提として間違っているのは人の色恋沙汰に干渉することだ。

大体誰がどこで恋愛をしようが自由だろう。


まぁ世の中的に駄目な恋愛もあるのだが。


そんな考えに達っした俺は、柏木に「はい。しょうもないから切腹ね?」といって最後のカッターを渡し、周りの声をシャットアウトしながら夢の世界へと旅立っていったのだった…………………



ーーーーーー



「ん、んん…………あり?ここは?って教室なのは分かるんだけど……………まさか学校終わってたのかな?柏木、起こしてくれないとかあとで嫌がらせ確定だな」と言いながら目を開けて辺りをグルンと見ようと立ち上がる。

すると俺の隣の席から「う"う…………う"うぅ………………」という泣き声が聞こえてきた。

ん?と思いながら横を向くと、そこには昼に話題に出た雪嶺さんが泣いていた。


俺は少し驚いたものの「ねぇ、大丈夫?どうしたの?」と声をかけて、雪嶺さんの背中をツン、と突つく。


すると「うひゃあらわひゃっ?!!」という声と共に彼女が立ち上がり……………見事に椅子に足を引っ掛けてしまった彼女が後ろに向かって倒れていく。

反射的に彼女の腕を掴んだ俺は、「ふっ」という声を出し、気合いを入れてこちらに引っ張る。

すると立ち直った雪嶺さんと向かい合うことになり………………俺は凄く気まずくなっていた。

お互いに無言で見つめ合うこと数分。


再起動した彼女が「ひゃわ?!」という可愛らしい悲鳴をあげて俺の手を振りほどく。


失くなってしまった感覚を取り戻した俺は、先ほど手を握っていた右手をグーパーしながらも雪嶺さんのほうを見る。


するとプルプル震えてながらドス黒い声で「見たの…………?私が泣いてるとこ。見たんでしょ?」と聞いてくる。


まぁ確かに見た俺は「うん。まぁ見たけど」と普通に返答する。


すると彼女が「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」という声にならない悲鳴をあげて、真っ赤になった顔を隠す。

その姿を見て少し可愛い、と思ったものを記憶の銀河に投げ捨てて、俺は彼女に「大丈夫。俺誰にも言わないから。

知ってるかもしれないけど俺は(やなぎ) 聖火(せか)

柳は………説明しづらいけど聖火は聖なる火、オリンピックとかでよく出てくる感じと同じだよ。

君は雪嶺さんだよね?まぁ苗字は知らないけどそこは俺の興味が無かったということで許してほしい。

まぁとりあえず、良かったら話聞くよ?」と言って自己紹介する。

まぁ人とのコミニケーションは自己紹介から始まるからね。

じいちゃんはとりあえず屈服させてそれから服従、洗脳、支配するのが友達作りの基本だって言ってたけど。

それはともかく、少しだけ目を出した彼女が「…………聞いてくれるの?」と少しキラキラした目で見てくる。あれ?若干印象と違うんだけど…………


そう思いながらも俺は「うん。まぁ何かの役には立てるかもしれないしね。」と答える。すると彼女は一拍置き、少しずつポツポツと話始めてくれた。



ーーーーーー



「なにそれひどい」


これが、俺の話を聞いた感想である。


なんでも雪嶺さんは、裕翔の告白を何度も断っているらしい。しかし全然諦めない裕翔は強硬手段として『雪嶺と裕翔は付き合っている』という噂を流したらしい。


そのせいで裕翔が好きな女子が逆恨みをして、靴の中にドブを入れられたり水をかけられたりと様々な嫌がらせを受けたらしい。

そのせいで今、一人になった(俺がいた)教室で泣いていたらしい。


もう正直言って、こんなことは許されないだろう。

しかしうちの学校は面倒ごとは適当にはぐらかされるためすぐにもみ消えてしまう。そんなわけで、彼女への嫌がらせは続いているらしい。

「私…………どうすればいいのかなぁ?」と弱々しく泣く彼女の手を掴み、歩き出す。


「えっ?ちょちょ、待って?!ねぇ!どこに連れてく気?!」という声が聞こえるが「いいからついてきて!」といって、手を握ったまま俺たちは校舎を出るのだった。





記念すべき十作目。それは希望か、はたまた量多過による絶望か…………


まぁ面白くできたんでどうぞよろしく。希望があれば何日か後に更新します。

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