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 小洒落た催し物は泉太朗には無縁であり、記者だと言い侵入したわりには誰の話も聞くことはなくただただひたすら食べ続けた。

 そして食べるだけ食べると思い出したかのように藤園と談笑するセレブたちの写真を幾枚も撮った。

 残念ながら泉太朗単体では相手をしてもらえなかったのだ。

 泉太朗は藤園に対し藤園のおかげとか思いたくないとは思いつつ、藤園を入れて写真を撮るのも癪なのだ。

 カメラを向けると決まってこう言う。

「太朗さん、俺は写さないで下さいよ」

 藤園はいつものように少しふざけたように話す。

「何でだよ。せっかく良いべべ着てるのに」

「苦手なんです。昔から」

「別に魂取られるわけじゃないぞ」

「でも嫌なんです」

 また一瞬、藤園の顔が曇ったように見え、適当人間の頑なな意思を尊重することにした。

 だが1人だけ写さないと言うのは不自然なことになるので、左半身が写るだけとか半分切れてるように撮るなどの処置を取ることとなった。



 泉太朗1人ががっつき、その他の来賓が上品な時間を過ごした。

 あっという間にお開きの時間となり、来賓たちは皆帰って行く。

「太朗さん」

 車を取りに行ったはずの藤園が走って戻って来た。

「車は?」

「それが…」


 家の前で話し込む2人を不思議に思ったのか、屋敷の初老の執事が現れた。

「どうかされましたか?」

「タイヤがパンクしてしまったようで…」

「それは困りましたね…。修理を手配しましょう」


「あ」

 突如雨が降り出し2人はずぶ濡れになる。

「太朗さん疫病神なんですか?」

「お前が疫病神って可能性は疑わないのか?」

 鞄を抱き抱えながら睨んで来る泉太朗に藤園はやれやれと笑う。


「騒がしいわね」

「奥様」

 執事の後ろから三崎美咲が現れる。

 何処までも上から、そして薔薇の棘のような視線で見ている。

「上がりなさい。風邪を引きます」


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