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宝物(パンドラの子宮)

作者: ののみやゆい(またはののちゃ、のの1号、高木眞弓)

私は 愛してしまったのか 

この創りものの人の形をした人形に」


天才化学者として、人々に尊敬され恐れられた、この私が......



闇に浮かぶ青い星 その星を猊下に見下ろす

宇宙ステーション


我等の故郷の惑星は 遥か彼方


実験室へのドアを開ければ

青い星を模した、木々や緑の森の中へと私は足を踏み入れる。


創られたといえ、美しい緑が私を包み込む



そして、 その緑の奥にいた少女が私に気づく......


少女が私に向かい微笑んでこちらに駆けてくる


私を慕い、嬉し気にその小さな両手で、抱き締める少女の身体

から甘い薫りがしていた。


美しい少女の形をしたもの

愛くるしい大きな瞳  風にそよぐ長いしなやかな金の髪

柔らかで、しなやかな曲線を描く身体



彼等の気が知れない......私と同じあの化学者ども


星に住む猿どもから遺伝子を改良し、あろうことか

我々と同じ人間の形を創りあげた


たしかに その手腕は誉めてやろう......



だが......我々の人口が少々、減少した......

子供が、この数年生まれない


その程度の問題で 創りものの人間の形をした猿どもとの間に


我々の子孫をつくるだと......

だから 私はこれを創ったのだ


さまざまな病と破壊的な性格を持ち合わせる......

子供達が産まれてくるだろう


悪夢のような遺伝子を埋め込んだ

この可愛らしく無邪気な少女にだ......



生まれてくる子供達


奴ら..他の科学者どもに気づかれぬように細工はした


数世代ののちに表れるように



その遺伝子が広がるように


      

寿命はせいぜい30年位だろうか

     

老化も早くなる。


      

暴力的、破壊的人格を持った人間も多く表れるだろう


......仲間である同じ人間あるいは

みずからを破壊してゆく為に......


あの時 なぜ あの少女を創り出してしまったのだろう......


なぜ......

こんなにも深くあれを愛してしまったのだろう......


私を慕う可愛らしい少女 見詰められ その瞳を逸らせなかった

認めるべきだったのだ......自分の気持ちに......



皮肉にも....移住して来た我々に 

再び子供達が産まれてきた......


とあるウイルスが原因とわかり、その治療に成功したので......

そして 彼等は計画を中止したのだ....全ては破棄された......そう...そのはずだった.....

      

         彼等にしてみれば.....


あの時の私同様、しょせん,まがい者の子孫など...

欲しくはなかったのだろう


今はこの星の辺境の片隅で、破棄されたはずの実験体の彼等と

     ひっそりと暮らし研究を進めてる。



長く気の遠くなる年月が過ぎ去り....もう少女はいない....

少女は、ある男を愛した

    そして....遺されたのは面影を映す子供達



私は少女の遺伝子を持つ幼い子供達の為に、私はみずからの罪を償う為


研究を進め....そして 多くをこの子達に伝え学ばせる...


なぜなら 私は間に合わないかもしれぬ...

確実に病が私を蝕んでいたから...


もし、私が間にあわなければ...この子達は自身が、みずからを

癒さなければならないのだから.....


少女の名前はパンドラ....遥か彼方の星の古い言葉...「宝物」の名前を与えられた...


     わたしの....大切な....




FIN 



ギリシャ神話  パンドラの箱のイメージが 子宮を連想して、話が出来上がりました。

2001年前後の古い作品 多重投稿作品です^^;



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