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アンナの街・到着

「ありがとうございました」

「世話になった」

「いんや、ついでだからね、大したこと無いよ。じゃあいつか、また会おう!」

 まだ日が昇る前からてっぺんを超えるまで荷馬車に揺られている間にすっかり仲良くなったおじさんと別れを告げ、ようやくたどり着いた街を仰ぐ。

「へえ……すごい立派なお城だ。相当大きな傭兵団の根城だったんだな」

 街にたどり着くまえからずっと見えていた城は、近くによればよるほどその威圧感を増してくる。

 お前は敵なのか? お前は敵なのか?

 塔が何本も突き出ているような、絵本で見るお城とは違う。飾り気の無い無骨なフォルムはそれがつい最近まで、いやもしかしたら今でも現役で「利用」されていることを無言で示していた。

「いや、この城が建てられたのはかなり昔だ。使われなくなった城を勝手に乗っ取ったか、もしくは安く買ったかのどちらかだろうが……

 しまったな。街に着いたはいいがどうしたものか。とりあえず職を探さないといかんな……」

 突然スタスタと人に近づき、話しかける。

「聞きたいのだが、ここらに兵士の募集を行っている傭兵団はあるだろうか?」

 なんと単刀直入な。それに聞くにしてももっと人を選ぼうよ。何もそんな筋肉でムッチムチな人に聞かなくても……

「ああ? 傭兵団に入りたいってあんた、女だろう? 今時女を雇うほど余裕のある傭兵団なんかねぇよ。働きたいなら飯屋にでも就いておきな」

「勘違いしているようだが、私は冒険者だ。兵士として、傭兵団に入りたいと言っている」

 うわ、すっごい怪訝な目で見られてる。

「兵士? よせよせ、そんな細っこい腕で何が持てる。ナイフでお肉を切ったことがあっても、人を切り裂くことはできないぞ」

 自分の冗談に自分で笑ってるよこの人。

 その男は背を向け、笑いながらじゃあななどと手を振り、離れようとして……

 固まった。

 男は動こうとしている、しているが動けない。

 これは……あの海岸で感じた殺気と同じだ。いや、違う。これは殺気なんて曖昧なものじゃない。もっと確実な、何かの圧力。

 そしてその発生源は間違いなく、まゆ一つ動かさずに立っているヒルデだ。

 キリキリと、命を握られている感覚。しかしそれは始まった時と同じく、突然に終わった。

「これでわかってもらえただろうか。私は兵士として傭兵団に入りたいんだ。もう一度聞くが、ここらに兵士を募集している傭兵団は無いか?」

「あ、ああ、わかった教える、教えるさ……だけどまず一つ質問させてくれ。あんた、この街は初めてか?」

「? ああ、そうだが。それがどうした」

「ならまだ長に会ってないだろう。ここで働きたかったらまずは長に会って許可を貰わなきゃならねぇ。いくら来るもの拒まずの方針をとっているとはいえ、本気でヤバイ奴に入ってこられちゃ不味いからな。

 長はいつも城にいる。門番に言えば通してくれるはずだ」

「そうか。親切にすまないな」

「いいや、当然のことよ。俺も食っていけなくなってこの街に助けられたやつの一人だ。俺だけじゃねぇ、この街の連中のほとんどが長に感謝しているし、そして新たにここを訪れるやつを助けたいと思っている。恩返しみたいなもんだな。

 だいたいが傭兵から流れてきた奴らだから見た目はアレだが……みんないいやつだ。ここは間違いなく帝国内で一番の街よ」

「ずいぶんとこの街を誇りに思っているみたいだな」

「おうよ。あんたもここに住んでみれば分かるさ。じゃあ、健闘を祈る」



「すっごくいい人だったね」

「脅してしまったのは申し訳ないな。いつか機会があればしっかりと謝りたいが……名前を聞いておけばよかった。

 しかし脅されていたというのに、まるで恐怖しているように見えなかったのは少し気になるな。もしかしたらかなり腕のたつ者だったのかもしれん」

 確かに言われてみれば……ってそうだ。

「なあ、脅してた時に出してたすごい殺気? というか圧力? あれは一体何なの?」

「はあ……この街で師を探して一度魔法について教えてもらったほうがいい。

 魔法っていうのはつまり「世界」の力の一端を借りる行為だ。お前もステータス確認(ステータス)を使った時に感じただろう?」

「ああ、あの世界がつながってくる感じというか……」

「いい感覚をしている。が、すこし違うな。

 もともと人と「世界」は水路みたいなもので繋がっている。しかし普段は門が閉じられていて、「世界」の力が放出されることは無い。

 魔法はその門を開くことで、「世界」の力を放出しているんだ」

 ふーん。意外と単純なんだな。

「人の魔力の強さは、その水路の太さで変わる。弱い者は水路が細く、強いものは水路が太いってことだ。

 でさっきの圧力のことだがな。あれは簡単に言うと、門から漏れてる「世界」の力だ。魔法を発動するかどうかのギリギリの状態にすることで、中途半端に門を緩めてわざと力を漏らしていた。

 水路が太いほど、門から漏れる力の量も多くなる。さっきは脅しとして使ったが、人の魔力の強さを測る一般的な方法だな」

「それって一歩間違えば魔法を暴発することになるんじゃ」

「下手な者がやればそうなるな」

 怖っ。

 魔法について教授されながら曲がりくねり煩雑とした道を歩いていると、ようやく太い道へ出た。

「ここから城門まではまっすぐか。面している店の雰囲気も違うね」

 屋台から焼き鳥のいい匂いが漂い、空っぽの胃を刺激してくる。

「さっさと行こう。店を襲いたくなる前にな」

「賛成だ」

一週間も休んでしまってすいません……いや、リアルは全然休んでないんだけどね!

地獄の一週間を無事生き延びることができたので、ペースを戻して投稿していきたいと思います。……3日に一回のペースで。

いや、このあともいろいろ用事があって忙しかったりするんだよ……仕方ないんだよ……

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