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仕事探し

 振り返ると、憧れのアイドルに出会ったように瞳を輝かせている、十数歳ぐらいと思わしき女の子が立っている。

 短く切った髪と、よく運動をしているのだろう、しなやかな体つき。おそらくさっき女将さんが話していた子だ。

「う……」

 ヒルデが変な声を漏らし、一瞬固まるのを俺は見逃さなかった。

「ヒルデさんまだ出発してなかったんだ!」

「ええ、ここでお昼を食べてから行くことにしたのよ」

 女将さん、なかなか強引。

 ヒルデは何か言おうとしているけど、女の子の追撃が入ってくる。

「やった! じゃあもっとお話できますね!」

「い、いや、昨晩十分に話したではないか」

「でもドラゴンを倒したところで終わりになっちゃってたじゃないですか!」

「しかしだな……」

 おお、ヒルデが相手のペースに乗せられてたじたじになってる。いいぞもっとやれ!

「まあまあどうせお昼ごはんまで時間はあるんだからさ。話してやればいいじゃないか」

「サンジュ…!」

 キッと睨みつけてくるが、この場で殴りかかってくることはできまい。

 ん、ドラゴン?

「なあヒルデ、ドラゴンなんか倒したのか?」

 それはドラゴンなんて存在するのか、という問いも含んでいたのだけれど……

「ほら、お兄さんもヒルデさんの話に興味があるようですし!昨晩の話の続きといきましょう!」

 なんだか俺まで女の子のペースに巻き込まれ、ヒルデの冒険譚を聞くこととなった。



 ヒルデは料理が運ばれてくるまでずっと話し続けていた。話が一段落つくたびに「それで? それからどうなったの!?」とせがまれ続け、止められなかったからだ。

 これを昨晩やられていたのか。なるほど朝が遅くなるわけだ。

「おいしいな」

 本気で嬉しそうな声色の半分は、開放された喜びに依るものだろう。

 にしても女将さんの料理、本当に美味しい。

 サラダはどの野菜もついさっき畑でとってきたかのようなみずみずしさ。味付けは薄いのに、シャキシャキとした感覚と本来の味で野菜とは思えない甘みを感じる。

 この米みたいな、でも米よりも粒は小さく丸まっていて粘性はもっと高い、主食と思わしきものもとても甘い。

「こんなに甘い野菜、初めて食べた……」

「それはよかった。魔王が討伐されてから野菜が急においしくなりましてね。きっと野菜も魔王が倒されたのが嬉しかったんでしょうね。

 あれから5年経っていろんなことが起きましたけど、野菜の甘さだけは変わってなくてね。魔王が倒されただけましなんだ、とか思うんです」

 魔王? 魔王ってなんのことだ?

「5年? 魔王が倒されてから5年経ったと言ったか?」

「え、ええ。確かに5年前のはずですけど……」

 ヒルデはヒルデでずいぶん変なところに反応している。

「そうか、変なことを聞いた。すまない。私はかなり辺鄙な土地で引っ込んでいてな、魔王討伐の知らせを聞いて出てきたんだがずいぶん遅れた情報だったらしい」

 へえ。

 あれ? でもヒルデはなんで砂の小島で寝ていたんだ?

 俺が寝ているのを見て一緒に眠った……のはないか。じゃあヒルデが眠っている横に俺があとから横たわって、そこで記憶を失った…?

 もしくはヒルデが俺の記憶を消して、そしらぬふりをして隣で寝たとか。いや、馬鹿馬鹿しすぎるだろうその仮説は。

 何か釈然としない。あとで聞いてみるかな。

「まあ私の話なんてどうでもいい。それより1つ聞きたいのだが、この近くで何か仕事はないか?」

「仕事、ですか? そうですね……この村での仕事と言ったら基本土いじりですから、夏の今はあまりないと思います。それに冒険者のジョブでやることでもないでしょうしね」

「そうか……それは困ったな」

 そうか……金を稼ぐには仕事なんてする必要があるのか。それは困ったな。

「仕事を探すのなら、この村よりもアンナの街に行ったほうがいいと思いますよ」

「アンナの街?」

「はい。魔王が討伐されたのに伴って魔獣が激減しまして、魔獣を討伐することで生計を立てていた冒険者や傭兵の方が世界中で職にあぶれてしまいましてね。そういった方々が集まってできたのがアンナの街です」

「職にあぶれた人たちが集まってできたって……それは貧困街みたいみたいなこと?」

 すっごく治安が悪そうだ。ケンカとか俺は苦手なんだけどな……

「それがですね、町長さんがとても優秀な方らしくて。鍛冶や交易などの産業を興してどんどん豊かになっていったんだそうです。その噂を聞きつけて人が来て街が発展して噂が広がって……いまじゃ帝国でも有数の人口を誇る街だと聞いていますよ」

「なるほど。確かにそれは良さそうだ。ここからどのくらい離れているんだ?」

「ちょうど明日の朝、アンナの街へ向かう荷馬車が出ますので、それに同乗して行けばお昼過ぎくらいにはつくはずですよ」

 となるともう一晩明かさないといけないな……

 淡い期待を込めて女将さんの顔を伺ってみる。

「そんな顔なさらずとも、泊まって行きなさいな」

「すまない、恩に着る。金が貯まったらこの恩は必ず返そう」

「まあ、それは楽しみです。ヒルデさんからはなんだか大成しそうな空気を感じますし、きっとすごいお返しが来そうです」

「はは、期待に答えられるといいが」

 あ、実はヒルデの笑顔を見るのはこれが初めてなんじゃないか。美人×笑顔なんて最強だ……

 でもそこには何かを懐かしむような、すこし悲しげな陰りがあるような気がした。

更新遅れてすいません。最近忙しくて、これからも二日に一回のペースは維持できなさそうです(4日空くようなことはもうないと思うけど……ないといいなぁ)

文章ってどうやって書けばいいのか、いまだに分からない。たぶんこのお話が終わるころにも見えてきてなさそうだ……

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