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ステータス確認

「まあ、記憶が‥‥それは大変でしたでしょうね」

 あ、そうか別に記憶を失っていることを隠す必要はないんだ。

「大変なのは私の方だ。私の見たところサンジュは魔法に関する知識をすべて失っている。こんな大きな人間に魔法を教えるなんて、考えただけで気が遠くなる」

「名前は覚えていて魔法を完全に忘れている? そんなこともあるんですね……ではジョブを知らないのも?」

「そもそもステータス確認(ステータス)を忘れているんだろう」

「それじゃほんとに全部……」

 女将さんの深刻な表情を見ると冗談を言っているわけではないようだ。

 でも魔法って……

「なあ、さっきからいったいなんの話をしてるんだ? まるで魔法が存在するかのような……」

「馬鹿なことを聞くな。頭が痛くなる」

 あ、だよね。

「私はサンジュの親じゃない。そもそも魔法とは何なのかから逐一教える気はないし、懇切丁寧に説明してやることもできない。だが魔法なんて使えればいいんだ。こういうのは実際に自分でやってみるのが一番だからな。ほら、私の後に続いて言ってみろ。ステータス確認(ステータス)

「え? す、すてーたす?」

 昨日も思ったけどヒルデは一人でことを進めすぎる。話についていくのも大変だ。

「そうか、ここも説明しないとならないのか……自分の状態を確認するような想像をしながら言うんだ。もう一度言ってみろ。ステータス確認(ステータス)

「は、はい……ステータス確認(ステータス)

 すると突然、脳に何かが起こった。

 この世に生を受けてから初めての感覚。世界が体に繋がり、未知の何かを差し込んでくる。

 それは不思議と不快ではなく、ただどうして今までこれを知らなかったのか疑問だった。

「これが……魔法」

「あまりに基本的すぎて魔法とも言えないがな。成功したなら頭に入ってきたものを自分で読み取れるイメージに変換してみろ」

「変換? そもそもこれは一体何をしようとしてるの?」

「ああ……それは自分の情報を見るための魔法だ。自分の名前、レベル、ジョブ、各種能力値、すべてそこから確認できる」

「だからジョブって何。それにレベルって……」

「ああもう! とにかく自分の名前を思い浮かべようとしておけばいい!!」

「わ、わかった……」

 何か怒らせうようなこと言ったかな、俺。

 とにかく名前だ。俺の名前は……カキサンジュ?

 あれ、カサキジュンとどっちがいいんだろう……と思った瞬間には、頭の中でイメージが出来上がっていた。


 名前 :カキサンジュ

 レベル:17

 ジョブ:冒険者

 能力値: 筋力:53

      耐久:46

      敏捷:63

      魔力:32

 スキル:なし


 名前がカキサンジュになっているのは、もしかしたら初めに思い浮かべたほうが選択されたってことだろうか。

 それでいいのかな……まあいいや。

「すごいな、これ。いったいどうなってるんだ……」

「成功したか。なら能力値以外でいいからそこに書いてあることを読み上げてくれ」

 読み上げると、女将さんが首をひねっている。

「レベル17? サンジュさんはおいくつなんですか?」

「ん? 確か17だったと思いますけど……」

 なんで気まずそうな雰囲気になってるんだ。

「ま、まあそういうこともあるだろう。

 あとはスキルについても教えておかないとダメか。今のサンジュはまだ何もスキル−−魔法とも言うが−−を覚えていないようだが、新しいスキルを身につけるときはステータス確認からスキルを登録する必要がある。これがステータス確認がすべての基本の魔法と言われる所以だな」

「へぇ」

 返事はしたけれど実はよくわかってない。

 スキルを登録するような場所は見当たらないし、そもそも魔法ったってどんなものがあるのか検討もつかないからだ。

「はじめはよく分からないかもしれませんが大丈夫ですよ。何せ生きていくうえで魔法なしには暮らせませんから。否が応でも理解することになります」

 冗談めかして言ってるけどちょっとコワイ。

「とにかく、これでサンジュも人間になれたんだ。喜ばしいことだな」

「人間になれた?」

「魔法を使えるのは人間だけですからね。人間と動物の違いは魔法を使えるかどうかだ、と言われているんです」

「なるほど」

 さっきまでの俺は人間じゃなかったのか。

「母親の真似事をする日が来ようとは思わなかったが……まあいい。そろそろここを発つ頃合いか」

「あら、ご昼食はとらないのですか?」

「金がないからな。泊めてもらった上に食事まで頂くのは申し訳ない」

「お金がないのにここを出ても何も食べられないじゃないですか。そんなことおっしゃらず食べて行きなさいな」

「しかし……」

 む、意外と頑固だな。

 昨晩から何も食べてないんだ。正直なところありがたくごちそうになりたいんだけど。

 食欲に任せて口を開こうとしたとき

「あ、ヒルデさんだ!」

 突然、後ろから元気な女の子の歓声が聞こえた。

ただの説明回。しかもこのステータスやら魔法やらはあまり内容に絡んできません。

正直RPGみたいにする理由もないんですけどね……重要ではないところで変な設定を作るよりも、よく使われる設定を使う方が変に小難しくならないで済むと思いこうしました。テンプレ臭が濃くなるだけでよくないかもしれませんね。


話のスピードが遅すぎるので、次で導入部分は最後にしたいと考えています。

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