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「私、卑怯者なんです」
「どういう意味だよ?」
「私、昨日までは家に帰ってもお父さんやお母さんをずっと無視してて、ウザくて死んじゃえばいいってずっと思っていたんです。それなのに今日、二人が殺されたらやっぱり嫌だ、悲しいだなんて……。こんな卑怯者な私だから、死んでもかまわないんです。いいえ、殺されることが罪滅ぼしなんです」
分かってしまった。
三上の卑怯者って言葉は自分への言葉だったんだ。
人の醜い行動を見るたびに自分に重ねて口から出てしまった自分に対する言葉だったんだ。
だったらこいつの気持ちも分からなくもない。
「けど、やっぱ行かせらんないよ。そんな失敗は誰だってする。俺だって高校の時は親に反発ばかりしてた。三上と違うのは親がその時に殺されたか殺されなかったかだけ。俺だって同じ罪を犯しているんだ。それに三上が親に対して罪悪感を持っているように、ここでお前を行かせたら俺にも似たような罪悪感が生まれちまう」
「小野寺君の言う通りだ。確かに君はご両親と酷い別れ方になってしまった。だけど親ってのは子供を嫌ったりしないし、死を願ったりしない。こればっかりは親になってみないと分からないもんだけどね」
警察官の衣を脱ぎ捨てた宇崎さんはそこらにいるおじさんとなんら変わらない顔つきでやわらかく言った。
俺もまだ子供はいないけど、だけど宇崎さんの言葉に嘘はないと思えた。
本当に優しい純粋な言葉だったんだ。




