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訳ありな試験後

ピンポーン

「川崎先生かな?」

試験後でも疲れてない体をドアに運んでなんて言うかわからないあの穴を覗く。

あの穴って本当になんて言うんだろ?覗き穴?安全確認外確認装置とか?

そんな馬鹿みたいな考えは吹っ飛んだ。

黒川嶺華が立っていた。

立秋の柔らかい秋風に髪をなびかせ立っていた。

思考を停止させた状態で無意識にチェーンを静かに付ける。

なんで黒川がここにいる。告白か?告白なのか?だったらラブレターが良いのでポストに入れて帰ってください。

ピンポーン

ピンポーン

ピンポーン

ピンポーン

ピンポーン

「なんなんだよ!!」

あ、思わずドアを開けてしまった。

「あら。今日はご不在かと思ったわ」

なら何回もインターホンを押さないでくれ。

「何の用だ?告白ならラブレターを書いてポストにお願いします」

初めに牽制球を投げておく。

黒川の瞳が細くなりこちらを睨む。

怖い。とても怖い。

何こいつ狂いすぎて存在を確認できないわと黒川の瞳が語っていた。

「ちょっと意味不明すぎてあなたが目視で確認できなくなってしまったわ」

何こいつ本当に言葉に出しやがった。瞳だけにしてくれよ、心が痛む。

まぁ僕にも非があるんだけどな。

「それより女の子を玄関先でいつまで待たせるの?少し寒いのだけど」

そう言いつつ玄関に入り勝手にドアを閉める。

「上がってもいいかしら?」

黒川は首をかしげて言う。それはどこかの芸術家がみたら是非モデルにさせてくれと頼み込むほどに美しく可愛かった。

しかし!僕は動じない。

「入るのはいいいんですけど。あ、あの。どどどどういったご要件で」

めっちゃ噛んだ

「少し話があってね」

告白か?

じとっ

黒川が睨む。何こいつ脳内の言葉が聞こえるの?超能力者かなにかですか?


とりあえずリビングの椅子に腰をかけてもらって話を聞く。

「私と勝負して欲しいの」

「は?」

「そうねゲームでもいいわよ」

「いや、そういう問題じゃなくて。なんで僕と勝負するんだ?」

訳がわからないよ。僕と契約して魔法少女になってよと言いそうな猫のようなものが脳内によぎる。

「私と勝負して勝った方が相手になんでも命令できる。負けた方は命令を実行する」

「ちょっとまて。質問に答えてな…」

ん?ちょっとまつのは僕の方だ。あいつは「なんでも」と言った。なんでもはなんでもなんだろうな?ぐへへ

「追加ルールで肉体への関与は無しよ」

黒川が慌てて乱れていない襟元を直す。

いやそんなこと考えてないよ。うんほんとほんと。

ユウタウソツカナイ。

「勝負は受けないぞ?なにより僕にメリットがない」

「あらそう?例えば私を彼女にして友達に自慢すればいいんじゃないかしら」

「なんで自慢できる前提なんだよ。それに自慢する友達もいねぇよ」

なんだこいつ。自意識過剰もいい加減にしろよな。確かに可愛いからムカつくけど。

「もし勝負をしたとして黒川の望みはなんだ?」

「あなたにこれから〝学校に登校〟してもらうわ」

は?

「なんのために?」

「理由は勝負に勝ってから言うわ。あなたの得意なゲームでいいわよ」

こいつ舐めやがって。高校入学から試験以外はゲーム漬けの生活をしてきた僕を舐めてやがる。

「それじゃあこの『俺と彼女の放課後ラプソディー』で」

『俺と彼女の放課後ラプソディー』は、主人公の彼女と幼なじみ前世の結婚相手、先輩、若大家さんなどの計5人に囲まれて幸せを掴み取るゲーム!いわゆる恋愛シミュレーションゲームである。

「白沢くん。ギャルゲーでは勝敗は付けられないよ?知らなかったかしら?」

なんで知ってんだよ。夜まで誤魔化して帰らせてやろうとしてたのに。学校に行け?ふざけるな。学校なんて必要ない。

「そうねこれでいいかしら」

僕の考えを制するように黒川が手に取ったのは『ストリートファイティング』プレイヤーの実力がでやすいタイマンバトル形式。

確かにこれは決着が出やすいな。

「あまりやったことがないのだけどこれでやりましょう」

ふっ。勝ちはもらったな。このゲームほど経験による実力が発揮されるゲームは数少ない。なんでもいうこと聞かせてやるよ。



準備完了。

ゲーム開始三秒前。カウントが始まる

3

2

1 黒川の指が目で追えない速さで動く。そして僕は確信した。これは…

Readily Fight!!!!

黒川が打ち込んだコマンドはカウントダウンの1からの1秒間に❮上上下下左右左右BAXYY下YX上上X右上❯を打ち込むことで開始直後に超振動波動砲を打てる超難易度のコマンドだ。

しかし僕は黒川の動きを確認できたことで体力を半分まで削られたものの耐えることができた。

「あら?これをかわすなんてあなたが初めてだわ」

「あまりやったことがないなんてよく言うよ。まったく人が悪いなお前」

本当にそうだ。こんなコマンドをあまりやったことがないやつができる訳が無い。

「私は他にやってきたゲームに比べればって意味だったのだけど。勝手に勘違いしてたんじゃないかしら」

打ってきた波動拳をかわす。

昇龍拳をかましてやる。

あぁ、これはコントローラーが2つ壊れるなと考えながらコマンドを打ち込み続ける。

黒川の動きがまた早くなる❮上上下下左右左右BAXYY下YX上上X右上❯距離は限りなくゼロに近い。ただ回避スキルを振ってある僕のキャラはなんとか耐える。

後ろに下がろうと後方へジャンプすると

「おいおいまたかよ」

❮上上下下左右左右BAXYY下YX上上X右上❯着地した瞬間に放たれた超振動波動砲がHPゲージを削る。ゲージは黄色から赤に変わり最後は真っ黒になった。



「それじゃあ明日から学校に来てね」

黒川が清々しい笑みを向ける。

「待て。理由を言ってくれ」

黒川は瞳孔を左下に向けて少し黙り

「白川くんに来てもらいたかったからよ」

そう言って微笑む

「そうかよ」


瞳孔を左下に向ける動作は右利きが嘘を考える時の動作だ。

しかし、僕は聞けなかった。

黒川は口元こそ笑っていたが目の光は清々しい笑みを見せた時とは比べ物にならないほどに失せていた。そして聞かないでくれと訴えていた。

まぁいいさ。ただの口約束だから破っても大丈夫。

「あぁ約束破られると困るから明日迎に来るから準備しておいてね」

「お前エスパーかよ…」




はろーまいねーむいずくー

今回はいつもより長くなっちゃったけどこれからようやく学園に行くんだしいいよね!

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